銀魂 真選組の新隊員 作:残月
将軍のキャバクラ騒動から数日。刹那は柳生家に来ていた。部屋の中には九兵衛、輿矩、敏木斎、十夜。そして柳生四天王の東城、南戸、北大路、西野。
因みに柳生家に来たのは刹那だけだった。近藤以下、隊士達が一緒に行くと言ったのだがトラブルが目に見えたので刹那が断り、一人で来ていた。
「では……今回はおとがめは無しと?」
「将軍様も今回は楽しかったって言ってた。今回の事は無礼講にするって」
刹那は将軍から松平へ伝えられた事を話す。事の起こりは前回のキャバクラで最後の最後で九兵衛が将軍を川に叩き落とした事だ。
将軍に乱暴したとして柳生家はオトリ潰しの危機に瀕したのである。いくら将軍家のお抱えとは言っても無礼が過ぎた事に当主の輿矩は超慌てた。
そして事の次第を聞き後程、同伴していた松平から柳生家に処分を下すとなったのだ。そして下された処分を聞いて柳生家一同が胸を撫で下ろした。
「ほ、本当に良かった……流石に焦ったぞ」
「すいませんパパ上」
深い溜め息と共にその場に座り込む輿矩。九兵衛も今回の一件……と言うか九兵衛が柳生家に帰ってきてから問題ばかり起きている事に自覚があるのか素直に頭を下げた九兵衛。
「ありがとうございます刹那さん!この東城歩、感謝の気持ちで一杯です!」
「私は仕事をしてるだけ」
刹那の手を握る東城は涙と鼻水でぐちゃぐちゃで刹那は若干引いている。
「でも本当に良かったよ、ありがとう刹那」
「………うん」
同じく話を聞いていた十夜が刹那に話しかけ、刹那はそっぽを向いて返事をする。それを見てニヤリと笑ったのは南戸だった。
「おいおい、刹那の嬢ちゃん。十夜様に対して何……をぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」
「オシオキ、地獄卍固め」
脱出不可能な間接技で苦しむ南戸。刹那は南戸が余計な事を口走らない様にキツめに技を掛けていた。
「耐えろ南戸。その技でお前の顔面も治るかもしれんぞ」
「そうだな。矯正してもらえ」
「いや、病気扱いと怪我扱いのどっち!?」
北大路と西野のコメントにツッコミを入れた南戸。技を極められながらツッコミを入れる南戸は案外余裕なのかも知れない。
「兎に角……今回は柳生家はおとがめ無しだから」
「うん……ありがとう刹那ちゃん」
最後に南戸の首をキュッと絞めた刹那は何事もなかった様に話を締めた。南戸は鶏の首を絞めた様な呻き声を上げた後に沈み、それを無視して九兵衛も礼をした。
その後、帰ることにした刹那だが、近藤が柳生家の塀に張り付いて中の様子を見ているのを見つけて、石を投げつけ近藤を叩き落とすのだった。
『地獄卍固め』
あまりの難技のために使い手がいなくなったと言われる卍固めの原型。相手の背後にのしかかるようにした状態で両腕で片腕を極める。