銀魂 真選組の新隊員   作:残月

56 / 81
今回もオリジナル回です。


バカな保護者にはツープラトン

 

 

 

 

 

「お妙さ~ん!」

「飲み過ぎですよ近藤さん」

 

 

お妙が働くスナックに近藤は飲みに来ていた。

近藤は既にベロベロに酔っており、お妙に猛烈なアプローチを掛けようとするが、お妙は笑顔で右ストレートを近藤の顔面に叩き込んでいた。

 

 

「もう近藤さんったら……刹那ちゃんの事もあるんですからあまり、屯所を空けるのは良くないんじゃないですか?」

「お妙さん……ありがとうございます刹那の心配をしてくれて。でもね刹那に言われたんですよ『私は大丈夫だから近藤も好きな様にして』とね。情けないんですが真撰組の中じゃ刹那に気を使う所か我々が刹那に気を使われてまして……」

 

 

親代わりの近藤が居ないことを心配するお妙だが近藤の発言からむしろ刹那の方が大人だと感じるお妙だった。

 

 

「それに俺とお妙さんが夫婦になれば刹那も義理姉が出来る……皆で幸せになれますよ!」

「刹那ちゃんが妹になるのは歓迎しますけどゴリラと夫婦はお断りします」

「グオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォッ!?」

 

 

近藤の発言にお妙は近藤の腕を捻り上げて間接を極める。更に前屈みの体勢になった近藤の両足に自身の足をねじ込み、近藤の腕を鳥が羽ばたく様な姿勢に固めた。

これぞウォーズマンの必殺技『パロ・スペシャル』である。

 

 

「そのまま顔を地面に叩き付ければパロ・スペシャル、ジ・エンドになる」

「あら刹那ちゃん、いらっしゃい。近藤さんのお迎え?」

 

 

そんな中、突如現れた刹那が技の解説をする。

お妙は近藤にパロスペシャルを極めたまま、にこやかに刹那を迎え入れる。

本来ならお妙の店は未成年立ち入り禁止のスナックだが刹那は酔った近藤や松平を迎えに来る機会が多く、既に顔パスくらいの状態になっていた。

本日は夜のパトロールの途中で寄ったのか真選組の制服のままだった。

 

 

「いつもお疲れ様ね。昨日は松平様のお迎えだったでしょう?」

「ぐふぉ!?」

「もう慣れた」

 

笑顔のまま会話を続けるお妙に床に顔面を押し付けられた近藤が悲鳴を上げる。刹那はこの手の状況に慣れてきたのか普通に会話を続けた。

 

 

「痛たたっ……お妙さんの愛が痛いぜ」

「それは物理的に痛いだけ」

 

 

床に顔面を強打した近藤は鼻血を出しながら刹那を見上げた。そんな近藤に刹那は鋭いツッコミを入れる。

 

 

「ん?……なっ、刹那!」

「えっ!……な、何?」

「近藤さん、どうしたんですか!?」

 

 

近藤は立ち上がると刹那の肩に手を置いて刹那に詰め寄った。突然の事態に刹那もお妙も泡を食う。

 

 

「刹那……刹那にはまだ黒は早すぎる!」

「黒?……あ……」

 

 

近藤の叫びに刹那は当初、首を傾げるが意味を理解して顔を赤らめてスカートをサッと押さえた。その仕草にお妙も近藤の発言の意味を理解する。

そう近藤が刹那を見上げた際に刹那のスカートの中身が見えたのだ。そして近藤は近藤なりの理論で刹那を諭そうと立ち上がったのだ。

 

 

「いいか刹那。黒ってのはだな大人の女性が身に付ける言わば黄金聖衣だ。刹那にはまだ早い。そりゃ背伸びしたい年頃ってのは理解するが……」

「近藤さん?」

 

 

熱く語る近藤。刹那は耳まで真っ赤になっているが近藤は気付かずに語り続けるが、お妙が背後から近藤の肩を掴んで振り向かせる。

 

 

「まあ、近藤さんは刹那ちゃんの保護者ですもの。心配して色々と言いたいのは分かります。分かります……けど」

「……手伝う」

「え、お妙さん?え、刹那も!?」

 

 

お妙は掴んでいた肩を近藤の腰と膝に切り替える。刹那もお妙と同じ動きで左右に別れて近藤の腰と膝を掴んだ。

 

 

「年頃の乙女に注意するなら場所と言葉を選べやコラァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」

「グギャァァァァァァァァァァァァァァァッ!?」

 

 

お妙と刹那のダブルバックドロップボムを食らった近藤は床にめり込む程の衝撃を受けた。

 

 

「まったく……でも近藤さんもデリカシーの欠片も無かったけど確かに刹那ちゃんに黒は早いわよ?」

「………私が買った訳じゃない。前に服屋の店員さんが選んでくれた奴。買って貰ったのに履かないのは……勿体ないと……思って……」

 

 

お妙に説明する途中でプシュ~と顔が赤くなっていく刹那。刹那の服は以前、土方と買い物に行った際に店員がチョイスしたのだが、下着も店員が選んでいた。基本的には年頃の娘が使用するに相応しい物ばかりだったのだが中には黒などのセクシーチョイスも混じっていた。

刹那は買って貰ったのに履かないのは勿体無いと思い着用したのだが運悪く、その下着を着用した時に近藤に見られてしまったのだ。

 

 

因みにお妙と刹那のツープラトンによるバックドロップボムで完全にKOされた近藤は動けなくなり、結局刹那が真選組屯所に連絡をしてパトカーで迎えに来てもらい近藤を運ぶ事になった。

土方が運転をして刹那は助手席に座り、近藤は後部座席で横になっていたのだが刹那は時おり、後ろを振り向き近藤を見るがすぐに視線をそらして頬を膨らませながらツンと近藤から視線を外した。

そんな刹那の仕草に今回の事情を知らない土方は怪訝な表情でタバコを吸っていた。




『パロ・スペシャル』『パロ・スペシャル、ジ・エンド』

キン肉マンの登場人物ウォーズマンの必殺技。
ウォーズマンがキン肉マンとの戦いで披露した際は技を外そうとするキン肉マンのパワーを吸収し、自分のパワーに変えて更なるダメージに反映させていた。
『パロ・スペシャル、ジ・エンド』 は『パロ・スペシャル』を極めたまま相手の顔面をマットに叩きつける派生技

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。