銀魂 真選組の新隊員   作:残月

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見たかった笑顔

 

 

平安京エイリアンの術で大半の敵を沈めた刹那。そこから銀時達の加勢をしようとしたが既に決着は付いていた。

銀時が九兵衛の皿を割り、敏木斎が銀時の隙をつき皿を割った。更にその直後、新八が敏木斎の皿を割ったのだ。

あまりにも早い決着に刹那が加勢をする前に戦いは終わってしまったのだ。

 

その後、刹那に敗れた輿矩が残りの門下生を引き連れて現れたが敏木斎に止められる。

九兵衛はお妙に膝枕をされながら今までの人生が辛かった事を吐露した。守られていた事も知っていた愛されている事も理解していた。だが女の子でありながら男として育てられた事を恨んでいた事も。

九兵衛の流す涙に柳生家の者達は何も言えずただ話を聞くしかできなかった。

 

 

「刹那……ちゃんだったね。すまなかった」

 

 

九兵衛は立ち上がると両手を前に出した。容疑者が手錠を付けられる様な仕草をしている辺り覚悟を決めた様だ。

 

 

「………必要ない」

「あ、おい!?」

 

 

その様子を見た刹那は先程の罪人状を土方が吸っていたタバコに押し付けて燃やし始める。それを見た九兵衛は驚愕した。

 

 

「九兵衛の言う通り、真選組も少し情けなかったのかもしれない。けど怪我をさせた隊士達には謝って」

「だが……しかし……」

「逮捕状を持ってきた刹那がそう言ってんだ。従っとけ」

 

 

逮捕状が灰となり、そのままその場を後にしようとする刹那に九兵衛は戸惑ったままだが土方が後押しをした為に九兵衛の罪は一時的に帳消しとされた。

 

 

「いやぁ、ありがとうございます。この東城歩、感謝の言葉しか……」

「逮捕状は帳消しにするけど貸しはいつか返して貰うから」

 

 

九兵衛の罪が帳消しになった事を感謝しようとした東城だが刹那は東城を見上げながら告げる。

後に東城はこう語る「あの背中はいぶし銀だった」と。

刹那は帰り際に十夜から「また怪我を診るからいつでも柳生家においで」と言われた。その事に頷いた刹那だったが親バカが炸裂した近藤が十夜を睨み、刹那のアッパーが近藤の顎に的確にヒットするのだった。

 

 

その後の話をすると本来、行われる筈だった近藤とバブルス王女との結婚式は中止となった。

それと言うのも刹那が今回の一件を松平に話したからである。近藤には惚れた人がいると話し、今回の見合い話を無しにしてもらったのだ。更に話をややこしくさせた件も含めて柳生家からの口添えもあり、近藤とバブルス王女との結婚式は中止となり、柳生家は真選組に貸しを一つ返した事となる。

 

二つ目に真選組と柳生家、そして万事屋とお妙を交えて親睦会が開かれた。これは迷惑をかけた代償として柳生家主催で開かれた物であり、九兵衛が真選組隊士に頭を下げる場として設けられた場でもある。

謝罪後に本格的な親睦会となったのだが刹那の腕前に惚れ込んだ柳生四天王が刹那を柳生家に率いれようと話を始める。

これには九兵衛も乗り気になってしまっていた。

何故ならば九兵衛からしてみれば、お妙との繋がりを更に求められる上に妹みたいな存在が出来るのだから旨味ばかりの話である。

当然の事ながらそれを黙って見過ごす真選組ではなかった。

初めは真選組と柳生家の口論だったが酒が進んでいた事もあり、速攻で事態は喧嘩へと向かう。

親睦会の名目は何処へやら今や『真選組と柳生家の親睦会』から『真選組と柳生家の刹那争奪戦』へと変わっていた。

 

遂には乱闘までに発展したのだが、お妙はその光景を見て笑っていた。その笑顔を見た九兵衛はその笑顔こそがずっと自分が見たかった『お妙の笑顔』だったと思い静かに笑みを浮かべるのであった。

 

 

 

 

 

因みに余談だが『真選組と柳生家の刹那争奪戦』は当の本人が乱入し喧嘩両成敗をしてノーゲームとなったとだけ記された。




かなり足早に書き上げましたが今回で柳生編終了です。次回はオリジナル回です。

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