銀魂 真選組の新隊員   作:残月

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上司が駄目だと部下が恐ろしく成長するもの

 

 

 

 

北大路は刹那の煎れた茶を飲み終えると手を合わせた。

 

 

「美味い茶を煎れて貰った後に戦うのは気が引けるがこれも若の為なのでな」

「タバコ吸いてぇな、灰皿ないか?」

 

 

北大路に対して土方はタバコを吸おうとしたが灰皿ないのか、周囲を見回す。

そして二人は同時に立ち上がり、木刀を振りかぶった。

 

 

「灰皿の前にごちそうさまは……なっ!?」

「お、お前……」

 

 

しかし、北大路と土方の木刀は振り抜かれる事は無かった。何故なら刹那が間に入り、土方に木刀を北大路にお盆を突き出して動きを止めたのだから。

 

 

「おい、なんのつもり……」

「食べ物粗末にしちゃ駄目」

 

 

北大路が刹那を咎めようとしたが刹那は首を横に振ると思った事を口にする。

土方と北大路が勢いを付けようとテーブルを踏もうとしたが、そうすれば残った料理は駄目になってしまう。

 

 

「何を生ぬるい事をこれは戦なんだぞ!」

「さっき北大路は達人は食事の作法でも違いが解るって言った。料理を粗末にするのが柳生家の作法?」

 

 

北大路は刹那を怒鳴ろうとしたが逆に刹那は北大路に問い掛ける。

 

 

「じー……」

「いや、だからな……」

 

 

刹那は北大路を見詰める。北大路は何かを話そうとするが上手く言葉が出ない。

 

 

「じー……」

「………戦とはな」

 

 

刹那の真っ直ぐな瞳に北大路は遂に目線を逸らした。

 

 

「わかった……俺が悪かった。ちゃんと外で戦うからそんな目で見ないでくれ」

「根負けしたよ!子供の純粋な目に耐えきれなくなったよ、あの侍!?」

 

 

北大路は刹那の視線に負け、料理を台無しにしない為に庭へ移動を開始した。そんな北大路に新八は驚く。

 

 

「へっ、柳生家も大した事ねーな」

「土方も同じ。それと携帯灰皿を持ち歩くようにして」

「………はい」

 

 

北大路を鼻で笑う土方だが刹那に言われて不満げにだが返事をした。

 

 

「正論で大人二人論破したよ、あの子!?」

「まあ、アレだ。家庭内でお母さんに勝てないのと同じだ」

 

 

驚く新八を後目に近藤はポツリと呟いた。

 

 

「最近、刹那は屯所内の家事を取り仕切ってる状態になっててな。料理も始めたし……」

「刹那ちゃんに任せきりなんですか?」

 

 

うーむ、と悩む仕草を見せる近藤に新八は尋ねる。

 

 

「いやな、昔は屯所内は隊士が清掃してたんだけど刹那が指揮し始めてから厳しくなってな。洗濯も業者に頼んでたんだけど刹那が真選組予算で洗濯機買ったし……それに料理も食堂のオバちゃん達に混ざって作ってるな」

「僕はどっちかと言えば、そこまで刹那ちゃん任せなのにショックなんですが……」

 

 

真選組が刹那の面倒を見ると言うよりも刹那が真選組の面倒を見ていた事実に新八は少なからずショックを受けていた。

 

 

 


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