銀魂 真選組の新隊員 作:残月
新八は決定的な証拠が納められた携帯電話を床に叩きつけて破壊する。
「ち、ちくしょー!沖田さん、やったの誰だー!」
「し、新八君!?なんかテンションが変だけど!?」
新八は冷や汗を流しながら目が泳いでいた。その光景に違和感を感じる近藤だが新八は逃げるように犯人捜しを始める。
「…………言いづらい」
そんな新八を見て刹那は先程の神楽の犯行現場を見ているだけに告げるべきかを悩みながら新八と近藤の後を追っていた。
どんどん屋敷の中を探索していく一同だが、ある部屋の襖を開けて凍り付いた。
そこで見た物とは土方と敵である柳生四天王の北大路斎がテーブルを向かい合わせに食事をしている光景だった。
「何してんだテメー等!何、仲良く食事してんだ!?」
「……………」
そんな光景に新八はツッコミを入れると刹那はスッとその場を離れた。
近藤は木刀に手を掛けようとしたが土方が制止する。
「お前等、手を出すな……これは俺のチャーハンだ」
「って、チャーハンかい!」
ズレた土方の発言をツッコむ新八。
「ふん、貴様等凡人には解るまい。達人戦では食事の作法でも違いが分かる。箸の持ち方、食の進み方、様々な要素を取り込んで戦いとは成立する物だ」
北大路はそう言うとオムライスに大量のケチャップを掛け始めた。
「俺は周囲から生粋のケチャラーと思われているがそれは違う。俺はトマトの類が大嫌いだ。だが俺はトマト類を自ら食すと決めた。その理由は自分のトマト嫌いを逆手に取り、何にでもトマトケチャップをかけて食べる一種のメンタルトレーニングの結果、今ではトマトにケチャップをかけて食べる程の大のトマト好きになった」
ドヤ顔でケチャップを掛ける理由を話す北大路。だが客観的に見ればそれはただの不摂生である。
そしてそれに対抗するかの様に土方はチャーハンにマヨネーズを掛け始めていた。
「な……チャーハンにマヨネーズだとっ!?」
「俺は周囲から生粋のマヨラーと思われているがそれは違う。俺はマヨネーズの赤いキャップを見るだけで吐き気がする。マヨネーズを大量に掛ける事で食事の時に刹那に避けられ気味だがそれは俺の精神を鍛える為だ」
マヨネーズをチャーハンに掛ける事に驚く北大路を後目に土方はドヤ顔で説明を始めた。負けたくない一心での嘘だと近藤と新八は見抜いていたが。
更に食事の際に刹那に避けられている事も己を鍛える為だと見栄を張る。
「それは互いにただの不摂生」
その場を少し離れていた刹那は土方と北大路の所にお茶を置いた。
「お、悪い」
「ん、ああ……すまない」
お茶を出された二人は食後のお茶を堪能する。
「刹那ちゃん……居なくなったと思ったらお茶を煎れに行ってたの?
「ご飯の時はお茶が居ると思って」
新八は先程、刹那が離れた理由がお茶を煎れに行ったのだと解ると少し唖然とした。刹那は前掛けのエプロンを身に纏い、お盆にお茶を乗せて戻ってきたのだ。そして土方と北大路に振る舞った。
「はい、近藤と新八も」
「おお、すまないな」
「え、あ、ありがとう」
お盆の上に残された湯飲みを近藤と新八にも渡す刹那。
「ほう……上手い煎れ方だ」
「お茶の葉っぱが良かった」
北大路はお茶を一飲みすると上手く煎れた刹那を誉めた。対する刹那はお茶の葉っぱが良かったと言うが土方は首を横に振った。
「いーや、刹那の煎れ方が良かったんだ」
「うん……嬉しい」
グリグリと頭を撫でる土方に嬉しそうにする刹那。
先程までの殺伐とした雰囲気は薄れていた。