銀魂 真選組の新隊員 作:残月
あまりにも突然の事態に柳生家の方々は固まっていた。
「す、少し宜しいでしょうか?」
「アナタは?」
罪人状を見た後に柳生家の長髪が前に出る。
「紹介が遅れました。私、柳生家の守護を司る『東城歩』と申します」
「私は真選組隊士、刹那」
深々と頭を下げる東城に刹那も頭を下げる。
「若が犯した罪は私が償います。いくらですか?」
「真っ先に金で買収しに掛かったよ!本当に碌なセレブじゃねーな!?」
東城が小切手を用意し、刹那に歩み寄る。それを見た銀時がツッコミを入れた。
「暴行罪に加えて警察を買収。合わせ技一本で打ち首」
「全然、交渉になってねーよ!?凄い冷静に罪を加算したよ!」
しかし刹那に買収は通用せず却って事態を悪化させた。
「待って待って!本当にこの娘は警察なんですか!?」
「本当だ。真選組の特別隊士に登録されている。因みに局長の近藤さんが保護者で、警察長官の松平が後見人だ」
「ついでを言えば万事屋とも知り合いだし、お妙は妹みたいに扱ってたな」
東城は慌てて刹那の言ってることが真実なのか問うが土方が刹那の説明をする。銀時も追加で情報を出す。
「な、なんて密度の濃い娘だ……」
「つーか、マジでヤバいのか?」
情報を聞いて焦りだしたのは同じく柳生家の守護を司る四天王の西野摑と南戸粋。
「兎に角、罪状は決まってる。お酒の事に関しては原作の話でも未成年がお酒飲んでるシーンがあるから良いとしても、暴行罪は決まり」
「だったら、そちらの道場破りはどうなんだ!暴行罪に当たるのではないか!」
メタ発言を交えた刹那の説明に柳生四天王の北大路斎が反論する。
「そもそも、お妙も納得して此処に来てるの?新八の話じゃ……」
「待て、罪状の件も妙ちゃんの事も全てに決着を付けよう」
刹那の言葉を遮って九兵衛が前に出る。
「暴行罪は確かかも知れないが、それは真選組の隊士が情け無いからじゃないのかい?」
「何が言いたいの?」
九兵衛は試すかの様な視線を刹那に向ける。
「僕達と勝負をしないか?僕達が勝ったら暴行罪は帳消しにして、妙ちゃんの事は諦めて貰う。もしもキミ達が勝ったら、その後は好きにすればいいさ。逃げも隠れもしないよ」
「……………随分と都合の良い話」
九兵衛の出した条件は明らかに柳生家寄りの発想だ。しかも見れば九兵衛の目は少し泳いでいる。
自分でも無理があると思っているのだろう。
「それに人数が足りない。私、近藤、土方、沖田、銀時、新八、神楽で七人。十夜は戦えないから、そっちは五人しかいない」
「心配するな、僕達の方が強いし僕等の大将は此処に居ないだけだ。人数も僕のパパ上を入れれば七人になるから数のハンデは無くなるだろう?」
刹那の疑問に矢継ぎ早に答える九兵衛。己の罪状が掛かっているとなっているから必死である。
「わかった。柳生家の人達を叩きのめしてから処刑場の手配しとくから」
「フッ……もう勝ったつもりか。では勝負の形式は柳生流に従って貰おう。なんせキミ達は道場破りなんだからな」
バチバチと火花を散らしながら試合形式を決めていく刹那と九兵衛。
銀時達は完全に置いてけぼりになっていた。
「おい、もう刹那を局長にした方がいいんじゃね?ゴリラより仕事してるよ」
「出来るわけねーだろ!まだ14才くらいなんだぞ!」
銀時の言葉に土方は否定をするが、強ち否定しきれない事も事実である。