銀魂 真選組の新隊員 作:残月
異菩寺の立てこもり事件から数日が過ぎた。
あの日の事件は真選組の良いアピールになり、真選組の事がデカデカと新聞に掲載される程である。
『お手柄、誠ちゃん。犯人逮捕に尽力』と誠ちゃんの写真が映ってる物と『最年少の侍!一人でテロリスト撃破』と書かれた見出しにクールに刀を構えた刹那の写真が載っていた。
その事もあり真選組のPRは良い方向へと向かったのだろう。
そして、その日から刹那の様子は変わっていくのだった。
「おい、山崎。刹那は何処に行った?」
「あ、副長。刹那なら食堂で料理作ってましたよ」
ある日、土方は刹那を探していたのだが姿が見付からず、たまたま見かけた山崎に聞くと刹那は食堂で料理をしている事が判明した。
「はぁ、料理?何してんだアイツは」
「食堂のおばちゃんに料理習ってましたよ。歌を歌いながら」
◇◆数分前◇◆
刹那は食堂のおばちゃんと共に料理をしていた。髪をポニーテールに纏め、上着を脱いでエプロンを纏う姿は可愛さ抜群である。
「~♪」
「お、刹那が料理してるな……楽しそうに鼻歌なんかしちゃって」
調理場で食堂のおばちゃんと料理を作る刹那を見て山崎は笑みを溢す。刹那は楽しそうに鼻歌を歌いながら料理をしていた。
そして、その歌は誰もが知っている『コロッケの調理の歌』である。
そして調理も終盤に差し掛かり、歌も終わりを迎えた。
「ニンジャ、ハァトッリィ♪」
「なにぃー!?」
何故か『コロッケの調理の歌』から突如、『渦巻きホッペの忍者』に歌が切り替わり、山崎は叫びを上げた。
「山崎、うるさい」
「いや、ハットリくんはコロッケじゃねーよ!」
山崎の声をうるさいと言った刹那だが山崎はそれどころではなくツッコミを入れる。
その後、邪魔だからと山崎を調理場から追い出した刹那。
そして時間は土方が山崎を呼び止めた場所まで戻る事になる。
「って事がありまして」
「何してんだアイツは……」
山崎の説明に頭が痛くなる土方。
「最近、刹那の気が緩んでるな……今日なんか寝ぼけて俺の布団で寝てやがった」
「ええっ!?」
土方の発言に驚く山崎。それは昨晩の事だった。夜中にふと目が覚めた土方は右腕に違和感を感じたのだ。それを不振に思った土方は布団を捲る。そしてそこに居たのは寝間着姿で猫の様に丸まり土方の腕を枕にしている刹那だった。
その後、刹那を叩き起こした土方。事情を聞けば夜にトイレに行き、寝ぼけて土方の布団に入って眠ったらしい。刹那は未だに眠いのか目を擦っていた。
「ったく……最近の刹那は気が緩みすぎだ」
「副長、厳しすぎますよ。でも確かに最近、妙にポワーンとしてますね」
最近の刹那の気の緩みに厳しい評価の土方と刹那の態度を不思議に思う山崎。
「トシ、山崎。そう言うな、刹那も漸く年頃の娘みたいになったんだ」
「近藤さん」
「局長」
土方と山崎の会話に加わったのは近藤だった。
「刹那も異菩寺の一件があってから今まで張り詰めていた緊張の糸が切れちまったんだよ。だから今は見守るべきなんだ」
「局長……」
近藤の父親らしく、そして立派な言葉に感動する山崎。
「それにこの間、刹那を連れて遊びに行った時なんか凄かったぞ……例えば……」
◇◆刹那と遊びに行こう・ゲームセンター編◇◆
「一撃でクリアー」
「ゲェー!?ゲームのシステム無視して一撃でクリアしたー!?」
◇◆刹那と遊びに行こう・ビリヤード編◇◆
「ダグラスショット」
「なにぃー!アレは伝説のミラクルショット!別名サイドワインダー!」
◇◆刹那と遊びに行こう・映画編◇◆
「あの映画の主人公って既に死んでるんだよね」
「おぉーい!それ言っちゃイケない部分!映画の冒頭でも秘密にしろって書いてあっただろ!?」
◇◆刹那と遊びに行こう・公園のボート編◇◆
「モンキーターン」
「ウオオッ!?アヒルのボートで前傾姿勢で立ち上がり、舟の外側を蹴るように回り、外側に荷重がかかって通常のターンより高速旋回するとは!?」
◇◆刹那と遊びに行こう・バッティングセンター編◇◆
「予告ホームラン……と見せかけてバント」
「ア、アレは、かの有名な映画のラストシーン!」
楽しげに刹那と遊びに行った事を語る近藤。
「いや、局長は殆どリアクションばっかりじゃないですか」
「と言うか近藤さん。アンタ、この間、有給使ったの刹那と遊びに行く為か」
有給を使ってでまで刹那と遊びに行った近藤を怒るべきか、刹那のハチャメチャ且つハイスペックな行動に驚くべきか悩む土方だった。