銀魂 真選組の新隊員 作:残月
攘夷志士にカレー作りを命じられた真選組は窮地に陥っていた。
テロリストの言いなりになり、カレーを作り、モノマネやロボットダンスをしなければならない屈辱。
更に土方と沖田が殴り合いの喧嘩にまで発展していた。マスコミからは「落ちた真選組!最早、見る影無し」とさえ言われている。
「局長、なんかイメージどんどん悪くなってるんですけどって、きょくちょぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」
「局長がカレーの国に逃げたぁぁぁぁぁっ!」
隊士達は近藤に意見を仰ごうとしたが近藤は現実逃避する様にカレーを食べていた。
「おかわりはどうだい誠ちゃん?」
近藤は隣に座る誠ちゃんに話し掛ける。
「やっちゃったなぁ……アイツ等……やっちゃったなぁ……」
「やっちゃったもんは、しょうが無いよ誠ちゃん」
近藤は半分諦めた様な口調だが、何処か焦りも見えた。言うまでも無く刹那の事が気になっているのだ。
「誠ちゃん、もう帰って良いよ。後は俺等で何とかするから」
「そーもいかねぇ、俺は真選組のイメージマスコットだからな。お通ちゃんからは前払いで金貰ってるし、刹那にも借りを返したいからなキッチリやらねーと」
近藤は後は自分達が何とかすると言うが誠ちゃんはそれを拒んだ。
「イメージマスコットって何?俺等ってそんなイメージなの?」
「こんな感じだろ」
「どんな感じだ?」
近藤の問いに誠ちゃんは全身を気怠げに見せる。
「バカで物騒で江戸の平和を守る感じ」
「いや、バカな感じしか出てないんだけど」
誠ちゃんの答えに納得がいかなかった近藤。誠ちゃんには確かにバカな感じしか出ていない。
「さて、行くか……おい、カレー用意しろ」
「おい、何処に行く誠ちゃん」
誠ちゃんはカレーをトレーに乗せると寺の方に向かって歩き出す。近藤はそんな誠ちゃんを呼び止めた。
「言ったろ、誠ちゃんはお前等のイメージマスコットだ。バカで物騒で江戸の平和を守る」
そう言い残した誠ちゃんの背を近藤は見送った。
その頃、一方。
「ん……」
刹那は体を捩り攘夷志士にバレない様に縄を解く、足の拘束も同様だ。
流石に手錠は外せなかったがそれ以外は大丈夫だ。
今なら隙を見て、攘夷志士達を壊滅させられるかもしれないが隙を伺う事にした為に暫くは動けない。
「おい、次はどうする?」
「ならば近藤を斬らせるか」
暫く様子を見ると考えていたが攘夷志士達の会話を聞いて刹那の頭は真っ白になった。
今、コイツ等は何を言った?
近藤を斬る?
そんな事、絶対にさせない!
そう思った時、刹那の中で何かが弾けた。