銀魂 真選組の新隊員 作:残月
寺門通を一日局長としてイメージアップを図ると言う、近藤の発案により真選組の車を宣伝カーに改造して街中へと出ていた。
近藤が道行く市民に「戸締まり用心、テロ用心!」と叫ぶが反応無し。
そして間髪を入れず、近藤の隣に立ったお通がマイクを通して「戸締まり用心、火の用じん臓売ったりゃんかぁぁぁぁっ!」と叫ぶと先程とは打って変わって市民からの反響が凄かった。
その後、寺門通のライブが始まると市民は熱狂的に人が集まり始めた。
「トシ、やっぱり呼んで良かったナポリタン」
「そんな訳、ねーだろッキーⅢ炎の友情」
市民の食いつきを見た近藤は土方に賛同を求めるが土方はタバコを吸いながら、否定した。
因みに彼等が話しているのは『お通語』
語尾にシリトリ風に言葉を付ける、知能指数低めな会話術である。
「近藤、土方。ライブが終わったら局長訓示に移行する?インダストリー」
「なんで、お前は即座に馴染んでんの?」
書類を抱えた刹那が今後の予定を話すが既に馴染んでる刹那に土方がツッコミを入れた。
その後、刹那の言葉通り寺門通を一日局長としてイメージアップを図る事となり、局長訓示となった
その際に舞い上がった隊士達がお通にサインを求めるが近藤の拳が叩き込まれた。
近藤は隊士達に「これから市民に浮かれんなって言うのに……テメー等が浮かれてどうすんだ」と凄む。
凄むが近藤の制服の背中にはお通のサインが入っていた。
当然の如く、近藤と隊士達の喧嘩に発展したが安兵衛の新作『ベアークロー』を装着した刹那が超人レスラー顔負けの技で全員を叩きのめし鎮圧した。
「なんで、そんな殺傷性の高いのをチョイスした?」
「死んでない。残虐超人時代なら兎も角、正義超人になってからはむしろパロスペシャルの出番が増えた」
刹那はベアークローを装着しながらもプロレス技で隊士達を沈めていった。時折見えたスカートの中を気にしてやられた隊士も多かったが。
「率先して喧嘩しないで」
「ギャァァァァァ!痛たたたたっ!?」
刹那は近藤を咎めると同時にインディアン・デスロックを決めていた。
「喧嘩を止めてくれたのは良いんだけど、喧嘩は駄目だよ!今日は喧嘩禁止!」
「……ん」
お通は喧嘩を止めてくれたのは感謝するが刹那に喧嘩禁止と命令する。
「小娘が、御山の大将気取りか?コイツ等はそんな事で止まる奴等じゃないんだ。口の利き方には気を付けな」
「そうだぞ、口の利き方には気をつけた方が良い……まだインディアンが決まってるから……」
フゥーとタバコの紫煙を吐く土方。因みに近藤は刹那のインディアンから抜け出せず這い蹲った状態だったりする。
その後、お通から武装解除を申し付けられたり、お通語を常に話せと言われたりと最早真選組らしさは微塵も残らない状態となってしまう。
切腹は侍らしさと言う事で残されたが一番物騒な物が丸々残る形となってしまった。
そして、お通は更に親しみやすさを出す為に真選組のマスコットキャラを考えてきたのだと言う。
そしてその真選組マスコットキャラが姿を現した時、お通を除く全員が絶句した。
現れたのは白髭白髪で上半身裸の老人。下半身は馬の物で背中には少女の死体を背負っていた。
一言で言えば矢が刺さった死体を背負ったケンタウロス。
しかもその瞳は何があったのか、とても悲しげな瞳をしていた。
「これが真選組マスコットキャラ?」
「そうだよ、名前は『誠ちゃん』」
誠ちゃんを見上げる刹那の両肩に手を乗せ、嬉しそうに語るお通。
無表情で誠ちゃんを見る刹那と悲しげな瞳で刹那を見詰め返す誠ちゃん。実にシュールな絵図だった。