銀魂 真選組の新隊員 作:残月
刹那が鉄子に刀を頼んだ日から数日、真選組には新たな事件が起きていた。
「へーっ『寺門通レコード大賞で新人賞受賞』かースゲーな」
「違う違う、その上の記事」
真選組屯所では近藤と土方が並んで新聞を読んでいた。
「『連続婦女誘拐、またも犠牲者』恐えーな、でもお妙さんは絶対に大丈夫だな」
「違う違う、その右の記事」
近藤は新聞の一面の記事を読み上げるが土方は違う記事だと指摘する。
「『娘の信用を失う父親。涙の告白』俺も刹那の事は気を付けないとな」
「違う違う、その下の記事」
あくまで目を反らし続ける近藤に土方は見せたい記事を指差す。
「へ-、総悟がまたやったか……責任はトシが取ってくれよな……」
「違う違う、アンタのせい」
近藤と土方は冷汗をダラダラと流しながら新聞から目を離す。
「………『お手柄、真選組!?犯人逮捕と同時に店破壊。これで通算23件目』」
「止めてぇ!読まないでぇ!」
後ろからヒョイと顔を覗かせた刹那が記事を読み上げ、近藤が頭を抱えながら畳に転がる。
「刹那、お前は総悟のマネをするなよ」
「沖田からは派手にやれって言われた。どうせ、責任はマヨラーが取るって」
「あのクソガキ……」
タバコに火を灯しながら刹那に注意する土方だが既に沖田の悪魔指導は刹那に及んでいた。
「しかし……本当にどうするんだ近藤さん。このままじゃ警察としても動きずらいぞ」
「うーん……上からも通達が来てるし……何かイメージアップに繋がる事は……」
近藤と土方が悩む中、刹那は新聞に目を通す。
そこには寺門通の記事が載っていた。
「あ、そうだ!良いこと思い付いた!」
「アンタがそう言うと不安しかねーんだが」
近藤は刹那が読んでいた新聞を取ると、ある記事を見て名案が浮かんだ様子だが、土方にはイヤな予感しかしなかった。
その後もモメる近藤と土方を置いて、刹那はその部屋を後にした。
そして屯所を出ると刹那はある場所を目指す。
其処は鉄子の鍛冶屋だった。
「よう、来たか嬢ちゃん」
「………安兵衛、最近ズッと居る」
鉄子の鍛冶屋に来た刹那を出迎える安兵衛に刹那は溜め息を溢した。
「溜め息なんかするなよな。俺だって此処で働く事にしたんだぜ」
「此処で?」
安兵衛の言葉に小首を傾げる刹那。
「安兵衛さんが私、一人じゃ大変だろうって手伝ってくれる事になったんだ」
「ま、俺の優しさだな」
お茶を運びながら説明する鉄子。ドヤ顔をする安兵衛に刹那はお茶を受け取ると安兵衛に向かい合う。
「じゃあ刀を用意して斑目一角」
「誰が十一番隊第三席だ」
「まあまあ、落ち着いて」
刹那の言葉にピキリと青筋を浮かべる安兵衛だが鉄子に止められる。
「安兵衛さんの意見も入れて刹那の刀を打つつもりだから待ってね」
「うん……待ってる」
鉄子の言葉に目を細めて返事をする刹那。
「それよか聞いたけど真選組も大変みたいだな」
「ん……近藤が何か考えてたみたい」
安兵衛が新聞片手に刹那に話を振る。
刹那は少し困った風だったが近藤が対策を考えてると告げた。
そしてこれより数日後。近藤の考えた対策が発表された。
真選組屯所にアイドルの寺門通が来ていた。
屯所には『寺門通一日局長』のテロップが貼ってあった。
「これが対策?」
「ああ……これでイメージアップするんだとよ」
隊士達に囲まれて騒がれているお通を後目に刹那は土方を見上げながら問い、土方は無表情のままタバコを吹かしていた。