銀魂 真選組の新隊員   作:残月

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名も無き少女に名前を

 

近藤の言い分で少女は真選組預かりとなった。

土方は最後まで反対していたが最後に渋々折れた様だ。

 

 

「さて……じゃあ名前を考えなきゃな」

「…………名前?」

 

 

近藤が少女に向かって柔やかに笑顔で話すが少女は小首を傾げるだけで頭には?マークが浮かんでいた。

 

 

「いつまでも『お嬢ちゃん』なんて呼べんだろう。名前を考えなきゃな」

 

 

少女に名が無い事も問題である。服は近藤が渡したメイド服を着ているから問題ないとしても名が無いのは生きる上で必要不可欠だ。

 

 

「じゃあ『ロドリゲス』とかでどうですかい」

「なんで一発目にロドリゲスをチョイスした?」

 

 

沖田のとんでもネームに土方はツッコミを入れた。

 

 

「うーむ、『涼宮ハ○ヒ』とか」

「そりゃ他の雑誌で使われてる名前だろ」

 

 

次は近藤だが危険な名付けはアウトである。

 

 

「じゃあ、『金色のヤミ』で」

「同じジャンプなら許されると思うなよ。大体コイツは銀髪だろうが」

 

 

最後に山崎。土方のツッコミは容赦なく続く。

 

 

「だったらトシ。お前だったらなんて名を付けるんだ?」

「って俺も考えるのかよ」

 

 

矛先が自分に向き、焦る土方。

 

 

「駄目ですよ近藤さん。土方さんなら『マヨ子』とか付けますぜ」

「流石に『マヨ子』はなぁ」

「勝手に俺の意見にするんじゃねーよ!」

 

 

沖田が土方が付けそうな名前を予想し、近藤がそれに乗り、土方がツッコミを入れた。

 

土方はタバコに火を付けて思案する。暫く悩み続け唸った後にポツリと呟いた。

 

 

「…………………『刹那』でどうだ?」 

「……せ…つな?」

 

 

土方が出した名前を少女は反復する様に口にする。

 

 

「刹那か……確かにこの子に似合った名前ですね」

「なんでい土方さん。マトモな名前考えられるんじゃないですか」

 

 

山崎が名を気に入り、沖田は土方が上手く名付けた事に驚いた様子だった。

 

 

「決まりかな?よし、今日からお前の名は刹那だ!」

「………刹那」

 

 

近藤は少女が唯一、土方の発した『刹那』の名に反応したので、この名が良いのだと判断した。

近藤は刹那を抱き上げると高い高いをする様に持ち上げた。

そして刹那は自身に与えられた名を呟くのだった。

 

 

「でも良いんですか副長。名前まで付けたら刹那はずっと此処に居る事になりますよ。大体許可も取ってないのに」

「今更だろ。それにあの様子じゃ一般常識も知らなそうだ。余所に行かせるにしてもある程度教えなきゃ駄目だろうからな」

 

 

山崎の発言にタバコの火を消しながら言葉を返す土方。

なんやかんやで刹那を思っての行動だった。


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