銀魂 真選組の新隊員   作:残月

27 / 81
刹那の恋愛教室

 

 

 

 

サンプラザ銭高改め、安兵衛は刹那に詰め寄る。

 

 

「嬢ちゃん、なんで鉄子に刀を頼んだんだ?」

「少し前に知り合ってお願いした。私が求める刀は鉄子に打って欲しかったから……でも少し前から会ってない」

 

 

安兵衛の質問に答える刹那。

 

 

「会ってないって……何があったんだ?」

「私が外に出れなかったのもあるけど、鉄子は身内に不幸があって会いに行きづらい」

 

 

刹那は静かに首を横に振る。その事で安兵衛も悟った様だ。

 

 

「そーか……んじゃ……会いにはいけねーな」

「私が刀を受け取る時に声、掛けようか?」

 

 

安兵衛は諦めた様子で空を仰ぐが刹那の言葉に反応し、肩を掴む。

 

 

「本当か!?本当に一緒に行ってくれるのか!?」

 

 

安兵衛の熱意に言葉を出せない刹那はコクコクと頷く。

 

 

「アブドーラ・ザ・ブッチャーはなんで鉄子に会いに行かないの?」

「ハゲってだけで呼び方をいちいち変えるな!つーか、よく知ってたな!?」

 

 

※アブドーラ・ザ・ブッチャーは昔のプロレスラーの名前

 

 

「なんつーか、昔は良く会いに行ってたんだがなぁ……」

「要は惚れた相手に会いに行くのが恥ずかしいだけだろう」

 

 

安兵衛の言葉を店主が一刀両断した。

 

 

「るせぇ!そんなんじゃ……」

「じゃあ連れて行かない」

「すいませんでした」

 

 

反論しようとした安兵衛だが刹那の一言で土下座をしていた。

 

 

「井上準は鉄子が好き?」

「だからいちいち呼び方を変えるな!大体俺のはハゲじゃなくて剃ってんだよ!」

 

 

呼び方を変える刹那にツッコミを入れる安兵衛。あくまで剃ってるハゲだと主張した。

 

 

「好きなら会いに行けばいいのに……」

「あーいやな?俺は鉄子の兄貴と同じ歳なんだがな……昔っから鉄子は妹みたいに思っててな……んで鉄子も俺の事は兄妹みたいだって言っててよ……年の差を考えちまうとなぁ……」

 

 

刹那の言葉に安兵衛はハァと溜息を吐くと座り込んでしまった。

山崎と店主はなんで年下の刹那に恋愛相談してんのコイツと思っていたが口に出すのは野暮である。

 

 

「……近藤が言ってた……誰かを好きになったら理屈じゃなくなるって。好きになったらロンドンもパリもニューヨークも関係ないって」

「それは『年の差』じゃなくて『都市の差』だね。つーか、刹那に何教えてんの局長?」

 

 

刹那にツッコミを入れる山崎。そして近藤が刹那にズレだ恋愛感情を教えているのでは?と心配になり始めていた。

 

 

「そっか……そーだな。何を弱気になってたんだか」

 

 

安兵衛は自身の頭を手を置きパチンと音を鳴らす。

 

 

「嬢ちゃんが鉄子に会いに行く前に俺は鉄子に会いに行くぜ。アイツの鍛冶の腕も見なきゃだからな」

「………ん、眩しい」

 

 

キラッと歯を輝かせるかの様な笑顔を見せた安兵衛だが刹那が安兵衛を見上げると部屋の明かりに照らされた安兵衛の頭から光が差し込んでいた。

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。