銀魂 真選組の新隊員   作:残月

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今回よりオリジナルキャラを導入します


フリーの鍛冶屋

 

 

 

「………土方」

「駄目だ」

 

 

刹那が土方の名を呼ぶが土方は刹那に視線も移さずに断る。

 

 

「まだ何も言ってない」

「外に出たいってんだろ?駄目だ、近藤さんからも刹那を外に出すなと言われてんだよ」

 

 

布団の中から顔を出した刹那は土方を恨めしそうに睨む。

先日の紅桜騒ぎから三日が経過した。

しかし刹那が怪我をしていた事も有り、全員が刹那を過保護に扱っていて刹那は既に三日間の寝たきり生活になっていたのだ。

 

 

「でも暇……」

「俺だってこんな事したかねーんだよ」

 

 

土方は刹那の監視を含めて刹那の部屋で仕事をしていた。

しかし流石の土方もこの生活に嫌気が差してきたのか溜め息を零した。

 

 

「副長、例の件ですが……」

「山崎、丁度良いな。刹那を連れてけ」

 

 

其処へ書類を抱えた山崎が現れる。土方はこれ幸いと山崎を引き寄せた。

 

 

「良いんですか副長?それに俺、万事屋の旦那の調査が……」

「それと同時進行でいいから刹那の気晴らしに行ってこい。俺はこれから会議だから面倒見切れねーんだ」

 

 

刹那に聞こえない様にボソボソと内緒話をする土方と山崎。土方も会議が有るために刹那の面倒を見切れない為に 山崎に押し付ける様だ。

 

 

「刹那、山崎と一緒に見回りに行ってこい。ただし、山崎から離れんなよ」

「……うん」 

 

 

土方の言葉を聞いた刹那は布団から出ると直ぐに服を脱ぎ始めた。

 

 

「わわっ!?刹那、着替え……ばっ!?」

「見てねーでサッサと部屋から出ろ。刹那、お前も無防備に着がえるな」

 

 

突然の刹那の着替えに狼狽えた山崎。そんな山崎を土方は拳で沈めると山崎の首根っこを掴み部屋を出ていく。

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

先程の騒ぎから一転。刹那と山崎は並んで街を歩いていた。刹那の気分転換に付き合わされた山崎は少々不満顔だった。

 

 

「まったく……副長も勝手なんだから……監察の仕事も有るってのに……」

 

 

実は山崎は銀時の監察を命じられていた。そして銀時が攘夷志士だったら斬れとの命令も。

 

 

「大体、副長だって旦那に負けたくせに……それに刹那の面倒を見れだなんて」

 

 

先程と違い、刹那は山崎の少し前を歩いている。山崎は刹那に聞こえない程度の小さな声で独り言を呟いていた。

 

 

「それに刹那が行きたい所ってこの間の鍛冶屋だなんてなぁ……」

 

 

刹那が山崎に気晴らしに行きたいと言った場所は刹那が様々な武器を貰った鍛冶屋だった。

紅桜の件で貰った武器をまた壊してしまった事を詫びたいのだと言う。

良い子だよなぁと山崎は刹那を眺めた。

前を歩く刹那は真選組の制服を着ているが髪型はいつものストレートではなく、三つ編みにしてある。

三つ編みは犬の尻尾の様に刹那が歩く度に左右に揺れていた。

鍛冶屋に到着した刹那と山崎。

刹那は鍛冶屋に着くなり頭を下げた、店主は多いに慌てた。なんせいきなり頭を下げ謝罪されるなど思わなかったからだ。

 

 

「お渡しの際に言ったとおり全て試作の物なんですよ。お気になさらずとも……」

「でも武器を壊したのは事実」

 

 

店主の言葉に刹那は食い下がる。

 

 

「それに武器を作った者も変わり者でしてね。変わった物を作っては大量に持ってくるので助かってるんですよ」

「持ってくるって……此処で作ってるんじゃないんですか?」

 

 

店主の言葉に山崎が質問する。

 

 

「いえ、フリーの鍛冶屋が居ましてね。自分の工房で作った物を置いて欲しいと頼まれてるんですよ」

「面白いのが沢山有った」

「ああ、刹那はケダモノの槍を気に入ってたね……」

 

 

店主は少し困った様子で話すが刹那はそれらの武器を気に入った様で山崎はそんな刹那を見て、ケダモノの槍を気に入っていたのを思い出して苦笑いだった。

 

 

「そんな訳で……謝られても私共としても……」

「確かに謝る必要はねーな」

 

 

刹那に謝る必要は無いと言う店主の言葉を遮り、一人の男が鍛冶屋に入ってきた。

 

 

「俺の名は銭高安兵衛。フリーの刀鍛冶だ」

 

 

自己紹介をしたのはサングラスを掛け、作務衣を着た男だった。

そして男の尤も特徴的な部分は頭だった。

 

 

「…………天津飯」

「人を見た目で判断するんじゃねーよ」

 

 

安兵衛の頭は向かい合ってると眩しさすら感じる程のハゲ頭だった。

 

 

「ま、俺の頭は兎も角……オメーさんが刹那ちゃんか。店主から聞いてるぜ俺の作った物を使ってくれたらしいな」

「大半、壊しちゃったけど……」

 

 

安兵衛は刹那に詰め寄ると刹那に質問する。

対する刹那は武器を壊した後ろめたさがあった。

 

 

「構わねーんだよ、使われない武器より使われて使命を果たした武器の方が良いに決まってる。お嬢ちゃんも欲しい武器があったら作ってやるよ」

「じゃあ真魔剛竜剣」

「作って欲しいならオリハルコン探す所から始めるんだな」

 

 

安兵衛がリクエストを受け付けると言うが刹那の出した注文は素材捜しが困難な物だった。  

 

 

「リクエストしといてなんだけど……私の専用刀はもう鉄子に頼んである」

「お嬢ちゃん、鉄子を知ってるのか!?」

 

 

刹那の言葉に安兵衛は刹那の肩を掴み、詰め寄る。

 

 

「最近、知り合った……サンプラザ銭高は鉄子と知り合い?」

「誰がサンプラザだ!いや、鉄子とは幼なじみみたいなもんでな……」

 

 

刹那のサンプラザ発言にキレる安兵衛。

意外な事に安兵衛と鉄子は知り合いだったらしい。


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