銀魂 真選組の新隊員   作:残月

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魂を込めた刀

 

 

刀の折れてしまった刹那は動きを止めてしまう。そしてその隙を似蔵は逃さなかった。

 

 

「ルアァァァァァァァ!!」

「しまっ……くぅぅっ!」

 

 

似蔵の左手から放たれたコードの触手は刹那の体の自由を奪い、ギリギリと体を締め付けた。

 

 

「気に入らねぇ……白夜叉も……テメェの魂の色も!」

 

 

似蔵は叫ぶと右手の紅桜を水平に構え、刹那に狙いを定めた。

 

 

「させない!」

「邪魔を……するなぁぁぁぁぁっ!」

 

 

刹那の危機に刀鍛冶の鉄子は似蔵に斬り掛かるが、逆に紅桜の右腕を振られ斬られそうになる。しかし兄の鉄也が身代わりとなり、鉄子は無事だったが鉄也は重傷を負った。

邪魔は居なくなったと似蔵は鉄子達を無視すると刹那と向き合う。

 

 

「ん……んんぅ!」

「し……ねぇぇぇぇぇぇぇっ!」

 

 

刹那はなんとか逃れようと体を捩るがびくともせず紅桜は刹那の体を貫こうと迫っていた。

その時だった。銀時は目を覚まし、似蔵の顔面を横一文字に斬った。

そのお陰で刹那の体を束縛していた触手は解け、刹那は咳き込みながら座り込んでいた。

 

 

「ったく……二度も触手プレイとはお前も運が無いな」

「ケホッ……ケホッ……だから、えっちぃのは嫌い」

 

 

刹那は咳き込みながら銀時の言葉を返した。

 

その後、銀時は似蔵の紅桜を鉄子の打った刀で真っ向から戦いを挑み、勝利した。

その光景を見ていた鉄也は何かを悟った様な雰囲気となっていたが目の前に刹那が現れる。

 

 

「キミが……刹那か。似蔵殿から腕の立つ少女を斬ったと聞いては……いたが……すまない……巻き込んでしまったな……」

「私は真選組。人斬りを捕まえるのが私の仕事だったから巻き込まれたんじゃなくて、私から行ったことだから気にしない」

 

 

鉄也の言葉に刹那は首を横に振る。

 

 

「真選組か……ならば私を捕まえるか?」

「アナタは万事屋に刀を取り返してと依頼を出した。アナタは刀を盗まれて被害者……ただそれだけ」

「…………甘いな。いや、それが私が……余計な物と切り捨てた物だった……のかもな」

 

 

鉄也は自分を捕まえるかと刹那に問うが刹那は首を横に振る。

そんな刹那を鉄也は甘いと言うがそれこそが鉄也が刀鍛冶として人として足りない物なのだと改めて実感していた。

 

 

「私も……最近までわからなかった。でも真選組に……近藤達と一緒に居て……少しわかった気がする。さっき銀時が言ってた『魂』を込める刀と力を」

「そうか……なら鉄子……このお嬢さんに刀を……打ってあげなさい……私では彼女の求める刀は打てん……」

 

 

刹那の言葉に鉄也は顔を上げると力の入らない手で鉄子の手を握り刹那の刀を打つようにと命じた。

鉄子は涙を流しながら肯く。

 

 

「鉄子……良い……鍛冶屋に……な……」

「聞こえない……いつもみたいに大きい声じゃなきゃ………聞こえないよぅ……」

 

 

兄の最期の言葉を聞いた鉄子。泣き崩れ、鉄也を抱きしめ、涙声で叫んだ。

その様子を刹那、銀時、新八、神楽は黙って見ることしか出来なかった。

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

一方その頃、近藤達は打ち棄てられた倉庫街へと来ていた。

 

 

「土方さん、見事にもぬけの殻でさぁ」

「既に引き払った後か……ちっ無駄足になったか?」

 

 

高杉一派を捕まえる為に情報のあった倉庫街へ出向いた真選組だが倉庫はもぬけの殻。

土方は舌打ちをするとタバコを取り出し、火を付けた。

 

倉庫の様子から1週間以上は人が居ないと解り、完全に空振りだったとわかると更に怒りは込み上げていた。

 

 

「ふ、副長!」

「なんだ山崎」

 

 

苛ついた様子でタバコを吸っていた土方の所へ山崎が慌てて走ってくる。

 

 

「港で怪しい戦艦の目撃情報が!目撃者の情報では今現在、攘夷志士同士での戦闘が行われているとか」

「港か……そっちが本命らしいな。攘夷志士同士での戦闘って事は桂と高杉がやり合ってる可能性が高いか」

 

 

山崎の情報を元に土方は港での戦闘が高杉一派のものと判断した。

 

 

「此処には最低限の人数を残して、港へ急げ!山崎、近藤さんはどうした?」

「そ、それが……港との事を伝えたんですが……聞いたら刹那もまだ屯所に帰ってないらしいんです…………それを聞いた局長はパトカーに乗り込んで爆走していきました」

 

 

土方が隊士達に指示を出し、近藤の行方を聞くと山崎は気まずそうに話す。

そして土方も悟った。

港の方に刹那が居る可能性が高く、その事に気付いた近藤は真っ先に港へ向かったのだと。

 




次回で紅桜編終了となります。

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