銀魂 真選組の新隊員   作:残月

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刹那無双

 

ケダモノの槍を構えて睨む刹那と動けずに居る武市とまた子。

 

 

「ふーむ、その服。その刀……やはり……」

「先輩……いい加減にして下さい」

「だから違うって言ってんじゃん。アレですよ、あの娘が着ている服は真選組の服だって言ってんですよ」

 

 

武市が再度、刹那を品定めする様な目で見る中、また子がツッコミを入れるが武市は刹那が真選組である事に気付いた様だ。

 

 

「真選組!?まさか幕府の犬が此処を嗅ぎ付けて……」

「此処に来たのは別件。迷子と行方不明者を探しに来ただけ」

 

 

また子は動揺した様子で刹那を見るが刹那は首を横に振った。

 

 

「だったらさっさと帰れば良いものを……他に何の様が有るって言うんスか!?」

「人斬り似蔵が紅桜で私に触手プレイしたから斬りに来た」 

 

 

刹那の発言にその場の全員の動きが止まった。

 

 

「せ、刹那ちゃん……それって……」

「……新八!」

 

 

新八が顔を赤らめながら刹那に話を聞こうとしたが刹那はケダモノの槍を新八に向けて投げた。

 

 

「いいっ!?」

 

 

刹那の突然の行動に慌てる新八だが槍は新八の背後に居た攘夷志士に刺さった。

新八が振り返るとそこには新八に刀を振り下ろそうとしていた攘夷志士はドサリと倒れる。

 

 

「新八、神楽を連れて逃げて」

「そ、そうは言っても……」

 

 

刹那や新八の周囲は船の中に居た攘夷志士達に囲まれていた。

あまりの数に新八はビビり、どうしたら良いのか立ち竦んでいた。

 

 

「散々、やらかしてくれたけどアンタ等もこれでおしまい……」

「足りない……私を倒したいなら後、百人用意するか紅桜並の力を持った奴を呼ぶべき」

 

 

また子が刹那達にドヤ顔で語ろうとしたが刹那は刀を抜くと周囲を囲っている攘夷志士に斬り込んだ。

一飛びで刀を振るうと攘夷志士達は数人倒れ、走り擦れ違う度に人が倒れていく様に周囲から動揺が走る。

 

 

「な、なんスか、アレ!?」

「ふむ、小さな動きで最大限の効果が得られる様に戦ってる様ですね。振るう刀角度で複数の刀を叩き落とし、突きで纏めて貫いたりと……やるものですね」   

 

 

また子は妖術でも見るかの様な目で刹那を見て、武市は冷静に刹那の戦い方を分析していた。

 

 

「牙突!」

 

 

刹那は刀を横に構えて弓のように撓るとミサイルの様に突進して攘夷志士を纏めて吹き飛ばした。

 

 

「何してるっスか!囲って一斉に……」

「トマホークブーメラン」  

 

 

また子の言葉の最中に刹那は鍛冶屋から貰った斧を右手に持って振りかぶると勢いよく投げつける。

飛来してくる斧は攘夷志士達の頭上スレスレを走り、髷や髪を切り落として行った。

 

 

「危ねぇ!」

「なんつー物騒な戦い方しやがるんだ!」

 

 

まるで落ち武者や河童の様な髪型にされた攘夷志士達は悲鳴を上げるがその隙を刹那は攘夷志士の頭を刀の鞘で叩き、沈めていく。

 

 

「ガキと思って油断してりゃ!」

「斬岩剣」

「ぬぅおわぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

次々に倒されていく仲間を情け無いと想いながらも巨漢の男が刹那に刀を振り下ろしに掛かるが刹那の放つ技に逆に吹き飛ばされ、やられてしまっていた。

 

 

「す、凄い……刹那ちゃんがこんなに強いなんて……」

 

 

その光景を見ていた新八は刹那の強さを目の当たりにして驚愕していた。

その時だった新八の背後にエリザベスが現れたのだった。

手に『あの娘、強いな』と書かれたプラカードが。

 

 

「エリザベス!来てくれたんだね」

『この船に用事が有ってな』

 

 

新八の言葉にプラカードで答えるエリザベス。

しかしその背後には怪しげな目をした男の影が。

 

エリザベスが振り返る前に男の刃はエリザベスを切り裂いた。

 

 

「エリザベス!?」

「おいおい、いつから此処は仮装パーティー会場になったんだ?ガキが来て良い場所じゃねーよ」

 

 

新八が斬られたエリザベスに叫びを上げる。男はそんな新八に一瞥するだけで視線は刹那に移っていた。

 

 

「やるじゃねーか……その銀髪と強さ……あの馬鹿と似てるな」

「見覚えが有る……高杉晋助」

 

 

エリザベスを斬った男『高杉晋助』に刹那は見覚えがあった。過激攘夷浪士として真選組にもリストが載っていたのを刹那も目を通していた。

 

 

「幕府も落ちきったな……ガキの手も借りなきゃならねーとはな」

「ガキじゃない……桂だ!」

 

 

高杉の言葉を遮る様にエリザベスの中から桂が現れ、高杉を斬り付けた。

完全に不意を突き、高杉を斬った桂だが高杉も懐に何かの本を入れていて深手には至らなかった。

 

その後、桂と高杉は因縁が有るのか睨み合いをしていたが、その間にも刹那は周囲の攘夷志士を倒していた。

そして大半を倒してしまった刹那は桂の側に歩み寄る。

刹那は桂に背を見せたまま刀を構えており、互いに顔は見なかった。

 

 

「……無事で何よりだ」

「お互い様。その髪型似合ってる」

 

 

互いに顔も見ずに交わす会話。

まるで長年連れ添った友人の様だった。


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