銀魂 真選組の新隊員 作:残月
刹那が似蔵に襲われてから数日間、刹那は目を覚まさなかった。
医者の話では肉体的なダメージより精神的なダメージがデカいとの事。
刹那は真選組の個室で眠り続けていた。その部屋の扉を開け、庭が見える様になっており庭では近藤が木刀で素振りをしていた。
「やはり高杉の一派か」
「ああ、攘夷志士共の動きが活発になってきてる……刹那をやったのもソイツ等の誰かだろう」
素振りしていた近藤に報告をしていたのは土方。
「なるほど、刹那は真選組でも隊長クラスの実力。それをこんなに出来るのは高杉の一派くらいなもんってわけですかい」
人を小馬鹿にした様なアイマスクを着けながら沖田は刹那と同じ部屋で寝ていた。
今でこそ落ち着いているが刹那が保護された日は大騒ぎだった。
近藤は完全武装で江戸中の攘夷志士を狩りに行こうとした。更に隊士達も近藤に従い同じ様な状態になっていた。
土方は暴走気味の近藤や隊士達を止めたが、土方の目も血走り危ない状態になっていた。
沖田はいつも通りを装っていたが攘夷志士達に向けるバズーカの量が増えていた。山崎は攘夷志士達の情報を集め、刹那を襲った犯人捜しに尽力していた。
斉藤は眠る刹那の側に居続けて、看病していた。
「どーするんですかい?刹那をやった犯人捜しは?」
「高杉の一派が犯人とわかってんなら斬りに行くのが一番だろうがな」
「今、山崎が情報を洗ってる最中だ。それを待つしか無いか……」
「つーか、刹那を襲ったのが誰かはわからないですけどね」
話し合う近藤達。話が攘夷志士の逮捕から刹那を襲った犯人への報復がメインとなり始めていた。
「おのれ……よくも刹那を……」
「土方さん、近藤さんが呪いを始めましたぜ」
「究極にアナログな方法をチョイスしたな」
近藤は頭にハチマキをして蝋燭を刺していた。手にはワラ人形と五寸釘と金槌のセット。
土方と沖田はソレを引いた様子で見ていた。
「ん……あれ?」
「っ!刹那!?」
そこで刹那は目を覚ました。まだ意識がハッキリしてないのか寝ぼけた様子で辺りを見回す。
土方は急に目覚めた刹那に驚くとタバコの火を消して刹那に歩み寄る。近藤も蝋燭やワラ人形を投げ捨てると部屋に入り、沖田は部屋で寝てたのでアイマスクを取ると刹那と向かい合う。
「大丈夫か?意識はハッキリしてるか?」
「刹那、何があったか覚えてるか?」
「俺とザキで運んだんだぜぇ」
「えっと……話すから待って……」
近藤達に詰め寄られて言葉を詰まらせる刹那。
その後、刹那は説明をした。
鍛冶屋から刀を貰った事、辻斬りに襲われた事、辻斬りの名は岡田似蔵である事、負けそうになったが桂に助けられた事を。
「人斬り似蔵の名を持つ岡田か……確かに奴なら刹那にも勝てるか?」
「違う……確かに岡田は強かったけど……」
土方が納得したかのような表情になるが刹那は首を横に振った。
「じゃあ、他に何かあったのか?」
「触手プレイされた」
近藤が他に何があったのかを問うと刹那は紅桜の触手に痛め付けられた事を話した。
伝え方に難があったが。
「許さん、許さんぞ高杉ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」
近藤は怒り狂い、先程のワラ人形と五寸釘を拾い上げると木にワラ人形を押さえ付けると五寸釘を打ち据えた。
「近藤、いつもとテンションがおかしい」
「今はある程度、落ち着いてたんだがな。他の連中も同様だ。テメェの心配してたんだよ」
土方はタバコを口に咥えると立ち上がる。
「土方も?」
「……さぁな」
刹那の言葉に土方は振り返らずにそのまま部屋を出ていった。
「アレで心配して、しょっちゅう顔見に来てたんだぜ」
「……沖田も?」
「俺は寝てただけだ。ほら、もう少し寝てな」
「わぷ」
沖田が土方の事をバラすが土方の行動を知ってると言う事は沖田もこの部屋に居たと言う事になる。
沖田は照れ隠しなのか刹那を再び布団に押し込んだ。
少々乱暴に布団に押し込まれた刹那。
しかし、その表情は僅かに緩んでいた。
自分の初めての居場所となった場所の暖かさに刹那の心に温かい物に包まれていた。