銀魂 真選組の新隊員 作:残月
刹那が真選組に来てから1週間が経過した。
警邏や攘夷志士の逮捕などの体を使った仕事が性に合う刹那はその持ち前の剣の腕で仕事を見事にこなしていた。
「おい、刹那。今日お前は休みだ」
「おやすみ?」
朝食を食べていた刹那に話し掛ける土方。
未だに食事の際は警戒されてるらしく土方の座った席から刹那は離れた場所に座っていた。
「近藤さんとも話したんだが、お前は真選組に来てから非番の日が無かっただろ。と言うわけで今日は休みだ」
「おやすみ……」
土方の言葉にムゥと悩む仕草を見せる刹那。
「副長、刹那は休みの日の過ごし方が分からないのでは?」
「何を馬鹿な……いや、ありえるか」
休みと聞いて喜ばない刹那に疑問を感じた山崎が土方に進言した。
土方も最初は馬鹿な事とそれを一蹴しようと思ったが、刹那なら充分にあり得る話だった事を思い出した。
「あー、刹那。んじゃ今日は自分探しに行くことだ」
「自分……探し?」
コホンと咳払いをした土方は刹那に、自分探しを命じた。
「難しく考えるな。言い換えれば休日の過ごし方や趣味を見付けろって事だ」
「例えば俺ならミントンやカバディとかね」
土方の話に山崎が自分の趣味を教える。
「ま、他の奴にも色々聞いてみろ。休みの日の過ごし方なんざ人それぞれなんだからよ」
そう言って土方は仕事に行ってしまう。
山崎も密偵の仕事があるとかで行ってしまった。
「……聞いてみる」
刹那は土方に言われたことも有り、それぞれの休日の過ごし方を聞きに回る事にした。
◇◆沖田総悟の場合◇◆
「休日の過ごし方?俺はいつも土方さんの命狙ってるぜ」
◇◆斎藤終の場合◇◆
「………………………Zzz」
◇◆近藤勲の場合◇◆
「ん、休日か?俺は大抵お妙さんの護衛だな。趣味……キャバクラに飲みに行ってるな。あ、お妙さんの店にだからね」
隊士達に話を聞いて回った刹那は屯所を出て町に来ていた。
「皆、バラバラ……」
隊士達に休日の過ごし方を聞いたが帰ってくる答えは刹那に合う趣味とは言えなかった。
当てもなくフラフラと町を散歩する刹那の目にとある屋台が目に入る。
それは土方に奢って貰ったソフトクリーム屋だった。
あの日以降、ソフトクリームが大好きになった刹那は警邏の最中でも買い食いをしたりしていたのだ。
しかも同伴していた隊士達も無邪気にソフトクリームを舐める刹那に萌えて誰も注意しなかったのだ。
「……いつもの」
「おう、刹那ちゃん。今日は仕事はお休みかい?」
既にいつもので注文が通じる辺りに刹那が頻繁にこの店に来ることがよく分かる。
店主も真選組の制服では無い私服の刹那を見て驚いたが柔やかにソフトクリームを作ると刹那に渡す。
「はい、毎度。またヨロシクね」
「………ん」
ソフトクリームを受け取り頷くと刹那はその場から離れようとした。その時だった。
「おい、親父。ソフトクリーム頼むわ」
「…………あ」
店に来た男とぶつかってしまい、刹那の持っていたソフトクリームは刹那の顔と服に飛び散ってしまった。
ショックにうち震える刹那がぶつかった相手を見上げるとそこには死んだ魚の目をした銀髪の天然パーマが居た