まだプロローグなので、あまり本編とは関わってきてません。
今回は3500字ほどなので、自分の他の話と比べると長くなっているので、ご注意下さい。
そして、小町視点です。
どうぞこれからよろしくお願いします。
おはよ~、小町だよ。
昨日、夜更かししたせいで起きられない自分がいます。
頭の中でそんなことを考えていると、部屋のドアが開く音がした。
.....ん、部屋に誰か入ってきたのかなぁ?
「おい小町、起きろ。遅刻するぞ。」
お兄ちゃんか.....
「あと一週間くらい寝かせてよぉ...」
「あと一分みたいな感じで言うんじゃねぇよ。置いてくぞ」
「あ~。お兄ちゃん冷たいねえ。でも小町、すごく愛されてるって思うよ」
お兄ちゃんの、はぁー、という呆れる様なためいきがした後にまた声がする。
「じゃあ好きなだけ寝てろよ、変態」
今度はドアが閉まる音がした。
えっ?
置いてかないでよ、お兄ちゃん。
...とはいっても眠いしなぁ、ちょっとならいいよね。そう思っている間にも眠気が襲ってきた。
駄目だ、小町。負けるな、小町。...うぅ。睡魔には勝てそうにないよ.....
小町は目の前が真っ暗になった。
なんか、ポケモンみたいだね。
.....気がつくと椅子に座っていた。
ここは学校?そっか、もう学校終わったんだ。今日は早く帰ろうっと。
その時、微かに声がした。
「...おい、起きろ。小町!」
何でお兄ちゃんの声がするんだろう...?
奉仕部はどうしたのかな。
「起きろ、もう八時だぞ」
八時、はちじ、八時?
夜の八時にしては明るいし、まさか...へっ!?
「ふわぁっ!!」
目を開けると自分の部屋だった。
朝って、たまに遅刻するかもしれないっていうストレスのせいで、すごく怒りを感じたりしちゃうよね。
とりあえず今日は、それをお兄ちゃんにぶつけてみようと思います。ストレスは貯め過ぎるとよくないっていうからね!
「何でもっと早く起こしてくれなかったの!?」
お兄ちゃんは、はぁ?って言ってから私のおでこをピンとはじきながら言う。
「あっ、痛い!お父さんにもぶたれたことないのに!」
「いいから、下らないこと言ってないで早く支度しろ」
「は~い」
ん~、お兄ちゃんは妙につれなかったりするからねぇ。なかなかそこらへんの扱いがまだ難しいんだよね。
今だって、知ってる数少ない昔のアニメネタ使ったのに、あれだからね。ああいう反応されると、こっちが傷つくよ。
まあ、そんなぼっちな兄への愚痴を頭の中でつぶやきながらもせっせと着替える。
その間、お兄ちゃんは、マッ缶もどきを飲みながらテレビをじーっと見てる。そんで、時々「マジか」とか「おおっ」とか一人で言いながらにやけてる。
.....なんだろう、この変な兄は。電車で一緒の時とかは、こういうのやらないで欲しいよね。一人の時なら、どうぞご自由にって感じだけど。
そういえば、最近の私の新発見!じゃじゃん!「友達に『マックスコーヒー』を『マッ缶』って言っても通じなかった」
いや、これはびっくりしたよ?
だって誰にも通じないんだもん。むしろ、その場にいた友達全員に否定されたよ。「あれ甘すぎるよ」って、味までも。
ちなみに、お兄ちゃんにこのことを言ったら「そんな奴ら、千葉県民の恥だな。俺はそいつらを同じ千葉県民だなんて認めねぇ。マッ缶は千葉の象徴で神聖な存在だから、汚しちゃいけねぇんだよ。これ、受験で頻出だから覚えとけ」みたいなコメントされて、その時、結構本気で引いちゃったよ。
そんで「やめてお兄ちゃん、気持ち悪い.....こんな兄に育てた覚えはないよ?」って言ったら「そ、そんなに俺、気持ち悪いかな.....」ってなってて意外と面白かった。
「お兄ちゃ~ん。着替え終わったよ~」
そうすると、私とお兄ちゃんはカバンを持って外に出る。でも、お兄ちゃんが家に鍵をかけた後に私はよく重要なことに気付く。今だってそうだね。
「あっ、小町、朝ご飯食べてない!」
お兄ちゃんは自転車の準備をしながら答えた。
「うわ、お前、気付いちゃったの?とにかく、もう間に合わないからこれでも飲んどけよ。俺の形見だと思って感謝しながら飲めよ?」
そう言って渡されたのはもちろん、千葉県の象徴こと、マッ缶だった。うわー、朝からこれってどうなんだろう。そう思いつつも、お腹を空かせないために受け取って、感謝と疑問を言う。
「ありがと~。でも、『形見』って死んだ人だけじゃないの?お兄ちゃん、自分で死亡フラグ立てたの?それとも、目が本体なの?」
「ちげぇよ、そんな趣味ないし、俺はそんなどこぞの寄生するヤツじみてないし、生きてても普通に使うぞ。死亡フラグってのはな『俺、帰ったら妹と結婚するんだ!』とか、そういうやつだ。でも、寄生って意味だとヒモも似たようなもんか?」
よく分かったけど、フラグのくだりの例えにちょっと引いた。いや「かなり」かな。
「あー、うん、分かった。でも、例えが小町的にポイント高いっちゃ高いけど高すぎて逆にマイナスだよ。小町の言いたいこと分かる?」
「そ、そうだな.....分かったぞ?」
そんな会話の後、自転車に乗りながらマッ缶を飲む。うげぇ、やっぱり甘いや。でもこういうのって、たまに飲むと美味しかったりするんだよね。
学校が近づいてくると、コーヒーの残りを一気に飲んだ。
「ぷはーっ。うっ!!げほげほっ」
もしかして、むせるかなー、とは思ってたけど、案の定むせた。
「だ、大丈夫か、小町?」
「げほっ。うん...げほ。...大丈夫」
お兄ちゃんに校門の前で降ろしてもらうと、満面の笑みで空き缶をお兄ちゃんに渡す。
「お兄ちゃん、これを小町の形見として大切にしてね!」
「ああ、そうだな」
ものすごく嫌そうな顔だったものの、受け取ってくれた。空き缶を持った兄を見送ってから、少し急いで教室へ向かう。幸い、ホームルームまであと五分あった。
そいやさー、何でホームルームって言うんだろうね。普通に朝の会でいいのに。帰ったら、お兄ちゃんに聞いてみよっと。
***
ホームルームこと、帰りの会が終わった後の、みんなの行動を見るのは結構面白いんだよねぇ。
一人で即帰る子も居れば、すぐに誰かの所に行って一緒に帰ろうとする子も居る。でも、後に言った人達の方が多数派かな~。
私がどうかっていえばね、一人で居ても五人ぐらいが寄ってくる感じ。それで、いつも同じ様なメンバーで帰ってるんだよ。
家に帰っても、もちろん誰も居ない。
お兄ちゃんが帰ってくるまで勉強したり、携帯見たり、たまにゲームしてたりもする。
えっと、今日は.....何しようかな?
宿題やってから、ゲームして、お兄ちゃんが帰ってくるまで寝てよう。
......数学の宿題は想像を絶する難しさだったので、五分ほどで次の行動に移った。今度は~ゲームだよ~、と一人で歌ってしゃぎながら新しいゲームをプレイしてると、ひとつ思ったことがありました。
これ、全然進まない。なんか変なムービーばっか流れて、しかもそれが長いもんだからなおさら進まない。
勉強もダメ、ゲームもダメとなると、するのは一つ.....寝る!
***
青くて大きなブルーベリーアイのキャラクターが青鬼みたいに追いかけてくる夢をみた。
要するに、悪夢だけどね。
.....ん、何か聞こえる。なんだろ。
音からするとアニメかなぁ。
まだ起き上がるほどの元気もないので、近くに居るであろうお兄ちゃんに話しかける。
「.....これ、何てアニメ?」
すぐに、お兄ちゃんが少し驚いた感じで返す。
「起きてたのか。これは、そうだな.....花が咲く話だ」
「どんな花?」
「悪の花」
すぐに目が覚めた。
「小町が寝てたのにあんなのつけないでよ!」
「いや、良い睡眠学習になるかと思ったんだけどな。どうだった?」
「ああ、あの悪夢そういうことなんだ.....あと、あのアニメから何を学習するっていうの?」
夢と環境の関係を身をもって体験させられちゃったよ。
「まあ、落ち着け。コーラやるから」
そう言ってお兄ちゃんはペットボトルを持って来て渡す。
そんな優しいであろう兄に、今日の疑問を訊ねる。
「ねぇ。ホームルームって何でホームルームっていうの?」
「ちょうど今日、俺もそれについて考えてたんだが、わからん」
うん、どうでもいっか。次は.....お兄ちゃんの学校での生活が気になってきたから、それでいっか。
「お兄ちゃんって今日、誰と帰った?」
お兄ちゃんがぼっちだと知っておきながらこんな風に聞くなんて、小町、恐ろしい子!
まぁ、実際は奉仕部の人と帰ったか聞きたいだけなんだけどね。
「仲良く自分の影と帰ったぞ」
「それって、要は一人じゃん.....しかも仲良いんだ.....」
もう引いちゃうよね。アイムダウンだよ。
「ああ。知らないのか?影はぼっちの一番の友達だぞ」
お兄ちゃんは、いっつもこうだからなぁ。
お兄ちゃんの視点で周りを見たら、どんな風なんだろう、その時、少しだけそんなことを思ってしまった。
いかがでしたでしょうか。
まだプロローグなので、これからです。
感想や質問、ご意見等ありましたら、ぜひお願いします。
読んで頂きありがとうございました。