クロムが特殊能力を付与させた武器を製造させることに成功してからのナザリックのでの装備は変わっていった。POPするモンスターにも特殊能力付与武器を持たせ、モンスター一体一体が以前よりも強くなった。
「数はそこまでないけど、それなりに戦力はマシになっただろ?」
「そうだな……。だが、これだけの武器をどうやって用意したんだ?」
「それは内緒だ。まあ、ギルド長命令なら教えるけど?」
「……まあ、いい。それでこれからの事だが……」
「とうとう攻めに転じるのか?」
実をいうと、今までアインズが表だって行動していなかったのには理由がある。本当は表だって行動してこの世界にいるかもしれない仲間を探したいところだったのだが、クロムの情報でこの世界にも
もし、この世界にアインズとクロム以外のプレイヤーもいたとする。だが、それがアインズ・ウール・ゴウンのメンバーかどうかは誰にもわからない。むしろアインズ・ウール・ゴウンを憎んでいる者かもしれない。そんな奴がいるかもしれないのに迂闊に動くのは自殺行為だとアインズは判断したのだ。だからこそ、その脅威に対抗するための戦力増強だったのだ。
アインズはアインズなりに戦力を増やし、クロムはクロムなりに戦力を増やした。アインズは人間の死体を媒介にした
「ああ、クロムの転生部隊も今の身体になじんだ頃だろうからな。今こそ攻め時だと思ってな」
「そっか、ようやく攻めれるんだな。最近全然戦ってないからなまってるかなー」
「言っておくが、クロムには私の護衛をしてもらうからな?」
「はぁ!?前線でブッ殺してこればいいんじゃないのかよ!」
「お前を自由にさせておいたら何が起こるか分かったもんじゃないからな。それに、お前はたっち・みーさんと同じワールドチャンピオンだ。だからこそ私の護衛を任せられる」
「……それ昔の話だから」
一応だが、クロムは死神の職業を取る前、ワールドチャンピオンになった。だが、同じギルドのたっち・みーに完全敗北した。ギルド最強と呼ばれる男に手も足もでなかった。それ程までにたっち・みーが強かったということだ。
「それでもまだワールドチャンピオンのままだろ?」
そう、アインズの言う通りまだ職業欄にはワールドチャンピオンは残ってはいる。
「俺敗者なんだけどなー」
「それでもお前が強い事には変わりないからな。そもそも、ちょっと戦場で試してみたいことがあるんだ」
「試したいこと?それって何なんだ?」
「ふふふ……それはその時のお楽しみだ。……アルベド、全員を第十階層に集めろ」
「承知しました」
そう言ってアルベドは部屋から出て行った。
「で?本当に何をやる気なんだ?」
「ですからそれはお楽しみですよ。きっとクロムさんも興奮するかもしれませんよ?何せユグドラシルとは違う世界なんで、どういう結果になるか僕にも想像つきませんし」
「ほー、そりゃ楽しみだな。……ところでさ、戦争の時ソロモン王の指輪使うからよろしく!」
そう言ってクロムはアインズから逃げるように転移した。転移する前に何か言っていたような気がするが、気のせいだろうと判断するクロムだった。
そして第十階層には全ての配下達が集まっていた。
「皆の者、随分と待たせてしまったな。我々はこれより、この世界を征服しようと思う」
そう言ってアインズが玉座から立つ。
「我々は強い。だが、油断は禁物だ。だからこそさらに戦力を増やした。別にお前たちを信用していないわけではない。ただ相手には
新しい戦力は所詮この世界で創ったモノ。お前達と比べると弱い。だからこそ捨て駒として扱える。本心から言って、このような真似はしたくはないが、これも私達が確実に世界を征服する為に必要なことだ」
「その通りだ。俺とアインズ二人でこの結論に至ったわけだが、正直言って相手は弱い。それもここにいる
クロムがそう言うと配下達がざわざわと騒ぎ始めた。あちらこちらから「所詮は人間か」やら「アインズ様やクロム様が出るまでもないな」など聞こえるが、クロムは気にせず話を続ける。
「だが中にはお前達に匹敵する力を持った連中もいた。実際に俺が戦ったわけだが、手加減をしていたがそれでもドラゴンは倒せる俺だが、それでも倒せなかった。つまり、お前達が相手をする奴の中には俺が手加減をしていた状態だが勝てなかった連中もいたということを覚えておいてもらいたい。
それとチャイナ服のような服を着たババアには気をつけろ。ソイツがこの世界に存在する
またしてもざわつき始める。それもそうだろう。アンデッドは精神支配されない種族だから支配されることは普通ではありえない。普通ならの話だが、相手が使うのは
「お前達は自分の力を過信してはいないとは思うが、今話したことだけは絶対に忘れるな。やむを得なく戦うことになった場合はどんな手段を使ってでも逃げろ。
生きていれば仕返しだって、奇襲だってできる。人間相手に逃げろというのはお前達にとっては恥かもしれないが、それでも今回の戦いでは生き残るということが一番重要だからな。死ねばアインズはお前達に対する評価を改めることになるだろう」
そう言うクロムの言葉を聞き、配下達の顔つきが変わった。彼らにとってはギルド長であり、このナザリック地下大墳墓の主であるアインズから失望されることは死に等しい。だから階層守護者達だけでなく配下やメイド達もアインズの失望されないように気を付けている。彼らはこれで本当に強い相手にさえ遭遇しなければ逃げてくるだろう。
「さて、我がギルド長……もとい、我が王から一言」
「……この世界を我々の手に!」
アインズがその手に持つギルド武器、スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを掲げた。
「「「うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」
第十階層に配下達の雄叫びが響く。そして、この日からギルド、アインズ・ウール・ゴウンが表だって動きだすのだった。
さて、ちょっと原作すっとばしだけどイイヨネ?