オーバーロード ~死を司る者~   作:かみか宮

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34.準備

「セバス様、クロム様からの伝言(メッセージ)で明日、リ・エスティーゼに巣食う八本指とやらの組織を潰すからその準備をする為の館を用意しておいてくれとのことです」

 

「クロム様がですか?承知しましたとお伝えください」

 

「かしこまりました」

 

ソリュシャンは早速クロムに伝える。セバスは手元の資料ならびにこの世界特有の魔法が込められた巻物(スクロール)を見ていた。この世界の魔法は役に立つモノもあれば、戦闘面では絶対に役に立たないような魔法まである。一度アインズに巻物(スクロール)を送って以来、アインズからの命令でユグドラシルになかった魔法の巻物(スクロール)を集めろと命令されている。最近ナザリックが忙しそうだったので送っていない巻物(スクロール)が山のようにある。それと同時に各地で回収したウィルからの情報をまとめた資料に目を通していたのだ。

ウィル達が集めた情報の中には、信憑性が高いモノや、嘘っぽい情報など様々な情報が集められた。その中でもセバスが気になった情報はクロムが明日潰すと言った八本指のことだった。八本指は裏で活動する組織で、簡単に言えば悪の組織のようなモノだ。その組織は麻薬の製造や、娼婦館の経営、暗殺に窃盗、密輸と様々な悪事に手を出している。一番まともそうなのは警護だったが、どうせゴミのような奴等が集まっている程度だろうとセバスは推測する。

 

「ソリュシャン、私は館の購入手続きをしてきます。あなたはこのまま馬車で待機していてください」

 

「かしこまりました」

 

セバスは馬車を降りて館を購入しに向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

その頃ナザリックでは、明日の準備を行っていた。

 

「つーわけで、明日リ・エスティーゼにいる八本指を壊滅させに行くから今回は三人だけ転生組連れてってやるよ」

 

クロムはそう転生した者達に伝える。そう伝えると、

 

「ならワシが行こうかの」

 

「いや、老公はナザリックでゆっくりと体を休めているといい。今回は俺が行く」

 

「いやいや、アンタら新参者でしょ?ここは正妻のアタシが行くから」

 

「はいはい、ちゃんと仲良く話し合って決めてくれー」

 

クロムがそう言うと、全員で話し合った結果、ジャンケンで勝った三人が同行することになった。人間の身体能力を超えた連中のジャンケンは凄まじかった。なんせ全員が驚異的な身体能力なので後だしをしようと高速で自分の手を変えている。その為なかなか勝負に決着がつかなかった。

結局勝ったのは誰かと言うと……

 

「えーっと、今回同行させるのはブレインとヘッケラン、それとロバーテイグだな。残った奴らは館に行ってなさい。そこで地下に入ること許可するからジャック達と遊んでな」

 

「「「……わかりましたー」」」

 

不服そうだったが、全員館の中へと戻って行った。

 

「さて、お前達は出撃の準備をしておけ。分かったな?」

 

「承知しました」

 

「了解です」

 

「わかりました」

 

「じゃ、次は誰を連れて行こうかねー」

 

そう言ってクロムは下へと降りて行った。下に降りると、

 

「く、クロム様!」

 

「ん?どうしたんだマーレ」

 

マーレが待っていた。マーレには特に仕事を与えていないので最近はナザリックでのお留守番の方が多い。

 

「ボ、ボクも連れて行ってください!」

 

「……あー、マーレ。悪いが明日の作戦にお前を連れて行くわけにはいかないんだ」

 

「そ、そうですか……」

 

「そ、そうしょげるなって。大丈夫、マーレには明日の作戦とは別にやってほしいことがあるんだよ」

 

「やってほしいことですか?」

 

「ああ、後でドゥルガーに持ってこさせるから、それに書いてある通りに動いてくれ」

 

「わ、わかりました。第六階層で待っています」

 

マーレは笑顔で第六階層へと向かって行った。

 

「やれやれ、今回の作戦にはアウラやマーレには見せたくないんだよな」

 

「そうだな」

 

「お、アインズ。今日の死の騎士(デス・ナイト)作りはもう終わったのか?」

 

「ああ、かなりの量の死の騎士(デス・ナイト)になったと思う。それで明日には誰を連れていくつもりなんだ?私はシャルティアを護衛に連れて行くつもりなんだが」

 

「今回はシュルツとドゥルガーを連れてくぜ。なんせ壊滅させるのが目的だし、誰一人として俺は逃がす気はないからね?後はブレインとヘッケラン、それにロバーテイグ」

 

「ヘッケランとロバーテイグの二人は連携がなければそこまで強くないだろ?」

 

「いやいや、今のアイツらなら余裕だろ?別にプレイヤーと戦う訳じゃないんだし」

 

「……確かに人間とモンスターではステータスの違いがモロにでるからな」

 

「だろ?それじゃあちょっと外行ってくるわ。リ・エスティーゼの何処にあるか位把握しておきたいし」

 

「わかった」

 

こうして着実に、確実に壊滅させるための準備が進められていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃の八本指はというと……

 

「ったく……コッコドール、奴隷売買部門のお前が俺を呼ぶってことは警護して欲しいんだろう?……何かあったのか?」

 

「そうなのよ~。最近あの黄金姫のせいでさらに商売あがったりなのに、今日奴隷売買の店が一件王国の兵に潰されちゃったの」

 

「そりゃご愁傷様名こった」

 

「それだけじゃないの。何かよく分からない連中にアタシの命が狙われたのよ!」

 

「だから守ってほしい。つまりはそういうことか?」

 

「そうよ。誰か貸して下さる?」

 

「今はヒルマの警護もやってるからな……まあ、王国の兵程度ならサキュロント一人で十分だな。つーわけで、アンタの警護にはサキュロントをつけとくぜ」

 

「一人だけって……あともう一人ぐらい貸してくれてもいいんじゃない?」

 

「馬鹿言うなよ。今はどちらかというとのヒルマ依頼の方が優先度が高いんだよ。アイツもどっかの連中から嫌がらせ受けてるんだからよ」

 

「……わかったわ。で、今度はどこに店を出したらいいと思う?」

 

「んなもん俺が知るか。俺が出来るのは戦うことだけだ」

 

「それもそうね。とにかく、アタシの命もちゃんと守るように言っておいてよね?」

 

「はっ、アイツは六腕の中では最弱だが、王国の兵如きにやられるような奴じゃねえ。安心しな」

 

「アタシのことよりもヒルマを優先するんなら絶対に死なせるんじゃないわよ」

 

「おいおい、誰に向かって言ってる?俺は八本指、警備部門の六腕のリーダーだぞ?そんじょそこらの奴に負けるかよ」

 

そう言って笑う大男、彼こそが八本指最強の男、ゼロだった。だが、彼もこの時は知る由もなかった。明日、自分達があんな目に合うとは……




さてさて、ゼロ達はどうなることやら

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