オーバーロード ~死を司る者~   作:かみか宮

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22.待機組

アインズ達が冒険者モモンとして名声を広めている間、ナザリック地下大墳墓では……

 

「今日もいい天気です」

 

「ソウダナ」

 

第八階層でドゥルガーとコキュートスが武器の手入れをしていた。本来ならコキュートスは第五階層にいるのだが、ドゥルガーに一緒に武器の手入れや手合せをしませんか?と誘われたので第八階層にやって来たのだ。第八階層にはクロムの館以外は特に何もない階層だ。いると言っても自動でポップするモンスター位だ。そういう訳で、第八階層で先程まで手合せをしていたのだが、今は武器の手入れを行っている。

 

「コキュートスは相変わらず強いです」

 

「ドゥルガーモ十分強イ。ソチラノ間合イハトテモ広イカラナ」

 

「いえいえ、貴方の武器には負けますよ。至高の御方の一人であり貴方の創造主であられる武人建御雷様の装備していた武器、斬神刀皇。凄まじいですね」

 

コキュートスは21個の武器を所持している。その中でも一番コキュートスが愛用しているのが、自分の創造主が使っていた斬神刀皇だ。手入れをする時は一番時間をかけている。そんな二人が武器の手入れをしていると、

 

「失礼します。ドゥルガー様、少々お話したいことが……」

 

それはクロムの手によってアンデッドとして転生したニグンだった。

 

「どうしたですニグン。何か問題でも発生したのですか?」

 

「い、いえ!そのようなことはありません!実は……クロム様に言われていた神人についての情報なんですが」

 

「ああ、そのことですか。それで何か分かりましたか?」

 

つい先日、クロムからの伝言(メッセージ)で神人について何か知っていることはあるかとニグンは尋ねられたが、神人については何も知らなかったので情報を集めろとの命令を受けたのだ。その際、情報収集の為に影の悪魔(シャドウデーモン)を三体ほど新たに配下に置かせてもらったのだった。その三体を使い、今まで情報を集めていたのだろう。

 

「法国で神人について書かれた書物があるかもしれないとの情報を入手しました。ですがこちらはあくまであるかもしれないとのことなので、信頼度は低いです。次にバハルス帝国に13英雄を知る老人、フールーダという魔法詠唱者(マジック・キャスター)がいるらしいです。なのでこの老人ならば、神人について何か知っている可能性が高いと私は見ています」

 

「……そうですか。わかりました。私がクロム様に伝えておきます。貴方は引き続き館の管理を」

 

「はっ!……あの、たまにでいいので魔法の練習をする許可を頂けますか?」

 

ドゥルガーは少し考える。ニグンを戦力の一部として数えるのならば死者の大魔法使い(エルダーリッチ)としては今の体になれていて貰いたい。ただし、ただの実験体ならその必要はない。そう考えたが、今までのクロムの動きと未だに転生者を作っていることから一応は戦力としているのだと考えた。

 

「わかりました。許可しましょう。クロム様には私から伝えておきます」

 

「承知しました」

 

そう言ってニグンは館へと戻って行った。

 

「今ノ男……確カクロム様ガ転生サセタ者ダナ」

 

「ええ、そうです。今はナザリックに忠誠を誓っていますが、この館に来る前はいかにも裏切ってやるぞって顔していましたから……もう、斬り捨ててしまおうかと思いましたよ。ですが、忠誠を誓ってからの彼は変わりましたね。積極的に魔法を覚えようとしているのは見かけたことがあります」

 

「ソウカ。マア、裏切ッタトコロデ無事二ココカラ出ルコトハデキナイダロウガナ」

 

「ですね」

 

と言って笑いあったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、第一階層ではシャルティアが暇を持て余していた。

 

「……退屈でありんすね~」

 

昔なら、沢山のプレイヤー達がこのナザリックを襲ってきたことがあったが、この世界では一度も襲われない。マーレが見つからないように偽装した為、誰にも発見されないのだ。これはアインズにとってはとても助かることだが、シャルティアやナザリックにて待機を命じられている者には退屈でしかなかった。だが、至高の御方の命令に逆らう訳にはいけないのでひたすら我慢するしかなかった。

 

「……あー、退屈。ホント退屈。わたしもナーベラルやシュルツみたいに同行したかったでありんす」

 

「暇そうですねシャルティア様」

 

シャルティアが目を開くと、目の前にカボチャ頭が浮いていた。

 

「うわあぁぁぁぁぁ!」

 

「きひゃひゃひゃ!そんなに驚くことはないですか」

 

「お、オー!?な、何でこんなところに!?」

 

ジャック・オー・ランタンの一人、オーがなぜ第一階層にいるのかシャルティアには分からなかった。

 

「あ、あなた、普段は地下にいるんじゃないの?」

 

「ええ、そうですよ?ですが、ウィルを生産をするために外に出ないといけないんですよ」

 

「ウィルの生産?」

 

「はい。ウィルは自然に生産できるわけではありません。外にある魔力を取り込み、このランタンの中にある魔力と混じりあってウィルになるんです。まあ、正直どういう原理なのかは分からないんですがね。きひゃひゃひゃ!」

 

「……そ、そう」

 

「では失礼しますよ」

 

そう言ってオーは外へと出て行った。あれでも裏階層守護者の一人、聞いた話だとジャック、オー、ランタンはそれぞれのパラメーターが違うらしい。ジャックは近接特化、オーは召喚特化、ランタンは魔法特化と別れているらしい。館の地下で戦うのはもっぱらジャックに任せられている。あの狭い室内でうまく戦えるのはジャックだけなのらしい。オーとランタンは広い場所で活躍できるので、ヴィクティムが倒されたときに現れるようになっている。

だが、侵入者が現れない今ではどの階層守護者も暇を持て余しているのではないか?と思えるぐらいだ。戦いに特化した守護者は戦う以外に何をしていいのかわからないので、見回り位しかやることが無いのだ。シャルティアは自分の配下の吸血鬼の花嫁(ヴァンパイア・ブライド)を呼ぼうとしたが、

 

「シャルティア様」

 

プレアデスの一人、エントマがいた。

 

「クロム様からの伝言(メッセージ)で、武技を使える者を一緒に捕獲しに行くぞ。すぐに戻るから準備をしておくように、とのことです」

 

「く、クロム様からの?や、やったー!」

 

シャルティアはこの暇な日々から解放される喜びと、クロムに自分が選ばれたことがとてもうれしかった。シャルティアはうきうきしながら出かける支度をするのだった。

 




さて、次はブレインの登場だな!

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