森の賢王を配下にしたことにより、薬草が沢山見つかり、予定よりも大量の薬草の採取に成功したモモン達。
「ふぅ、こんなにたくさんの薬草を採れるなんて……モモンさんが森の賢王を配下にしたおかげですね」
「え、ええ、そうですね」
本当は配下にしたくはなかったが、名声を高める為に配下にしたのだ。それに、クロムにこの魔獣のレベルを確かめてもらいたいのだ。この魔獣、森の賢王は話によるとかなり強いらしい。つまりはこの魔獣のレベルがこの世界での強いという基準になるとも言えるのだ。
「モモンさんは森の賢王に何か名前を付けないのですか?」
「名前……ですか。まあ、一応は考えているんですが」
まずは大福。その理由は体型からだ。そしてもう一つはハムスケ。安直だが、シンプルでいい。この二つの名前、どちらがいいと思うとナーベラルに尋ねてみると、
「至高の御方から名づけられるのであれば、どんな名前でも喜びましょう」
と言われた。だからクロムに相談しようと思うのだが、周りの目がある為
「では、エ・ランテルに戻りましょう。……あの、モモンさん。一つ尋ねたいことがあるんですがいいですか?」
「何でしょう」
「その……森の賢王を森の外に出すのですか?」
「ええ、そのつもりです」
「そ、それだと森の賢王が居なくなったことで動きが活発になるモンスターが出るということになるのではと思うんです」
「……そこのとこどうなんだ?」
モモンが森の賢王に尋ねると、
「そうでござるな………まあ、確かに影響はあるでござるな」
「だ、そうですが、私には関係ないことです」
「で、ですが!この森の近くにあるカルネ村に影響が!」
「その心配はないでしょう」
「え?」
「あの村には
「ちょ、ちょっと待ってください!カルネ村は普通の村ですよ!?彼らに戦う力なんて「ありましたよ」……!?」
モモンはンフィーレアの発言を論破する。
「ど、どういうことですか?」
「実はあの村はつい最近、どこかの国が偽装した騎士による虐殺にあいました。まあ、コレは聞いた話なんですけどね」
「……知っています。僕もエンリ……この村に住んでいる知り合いに聞きましたから」
「それなら話は早いですね。あの村をちゃんと見ましたか?今、あの村では少しずつだが、補強されていっている。いずれは木の壁が出来上がっている可能性もあるでしょう。それに……村人全員が二度とあんな事態にならないように、戦えるように訓練しているのを見ませんでしたか?」
「訓練だって!?で、でもあの村には戦闘員は……!まさか!」
「ええ、あの村にいるのは人間だけではありません。そう、
「………」
「お分かり頂けたかな?」
「……はい。確かにあの村には力が無いわけではないということは分かりました。ですが!彼らは元々は農民です!」
「だから?」
「農民がどれだけ訓練を積もうとモンスターに勝てる確証はありません!」
「ンフィーレアさん、あなたは何か勘違いをしていないか?」
「……え?」
「私は別にモンスターに勝つ力があるとかそういうことを言っているのではないんだ。彼らにはモンスターから自分の身を、村の人を守る力があると言いたかったんだが……こちらの説明不足だったようだ」
モモンがそう説明すると、ンフィーレアの顔はまるで茹で上がったタコのように真っ赤になった。
「す、すすいません!!変な勘違いしちゃって!」
「いや、こちらも説明不足だった。すまない」
「そ、そんな!モモンさんが謝ることなんてないです!」
「いや、もっと分かりやすく説明をすべきだった。……まあ、こうやって言い合っていても過ぎるのは時間だけだ。そろそろ移動しようではないか」
「あ、そ、そうですね。本当にすいませんでした」
「……ンフィーレアさん、私は気にしていないから大丈夫だ。……ん?あー、すまないがンフィーレアさん、先に行っていてもらえるか?」
「え?どうしてですか?」
「森にちょっとした忘れ物をしたようでね……ナーベは護衛に残すので、先に行っていてほしい。私のせいで無駄な時間を使う訳にもいかないのでね。行くぞ、賢王」
「はいでござる」
「あ!モモンさん!………行っちゃった」
「なーに、モモンの旦那なら大丈夫だろ」
「ええ、私達は言われた通り先に行きましょう」
「……わかりました」
ンフィーレア達はこうしてモモンより一足先にエ・ランテルに向かうことになったのだった。
「ここまで来ればよいか………で?何の用事なんだクロムさん」
『いやー、依頼途中に悪いね』
モモンが嘘をついてまでンフィーレア達から離れたのはクロムからの
「別にかまわないさ。依頼は簡単だからな」
『ヒュー!流石アインズ・ウール・ゴウンのギルド長。そこに痺れる憧れるぅぅぅぅ!っと、ふざけてる場合じゃなかった。なあ、アインズ。確かお前の依頼主の名前ってンフィーレアとか言わなかったか?』
「そうだが……何か問題でも?」
『……うん。ちょっとした部下の暴走みたいなものかな?』
「ちょっと!?どういうことなんだ!」
『アインズがいない間に名声を上げる方法考えててな?そこでズーラーノーンの組織を利用しようって話になったんだが……困ったことに連中が動きたすためにはンフィーレアが必要なんだわ』
「ンフィーレアが?何故?」
『ンフィーレアは
「そのアイテムを使うためにンフィーレアが必要という訳か……だが、それでどうして部下が暴走したんだ?シュルツはクロムさんに従順だったじゃないか」
『……えー、非常に言いにくいことなんだが……冗談でンフィーレアを先に連れてきた方に褒美を与えるって言ったら、シュルツとクレマンティーヌどころかウィル達までンフィーレアの確保に向かっちゃった☆』
「………は?」
『ごめんね☆』
「……ば、馬鹿野郎ぉぉぉぉぉぉぉ!!何やっちゃってんの!?」
『うん、だからゴメンネ☆後言っておくけど、クレマンティーヌは戦士としてならアインズよりも上。それにウィル達が集まってイグニスになったら……多分どころか絶対に大変なことになるから気を付けてね☆』
「気を付けてね☆じゃないです!!クロムさん!アナタも早く三人の後を追ってください!いいですか!これはギルド長の命令ですからね!!」
『おっと、ギルド長の命令じゃあ仕方ないなぁ。んじゃ、追いかけまーす。そっちが先に遭遇することになったら対処任せていい?』
「ダメです!!」
『…へーい』
「賢王よ!私を乗せて一刻も早くナーベ達の元へと行くのだ!」
「わかったでござるよ殿!!」
森の賢王に跨り、ンフィーレア達の後を追うモモンだった。
あー、大変なことになってるなー。
さて、今年はあと何回投稿できるかなー