オーバーロード ~死を司る者~   作:かみか宮

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15.モモン達の実力

「では、モモンさん、漆黒の剣の皆さん。警護よろしくお願いしますね」

 

「ええ、お任せください」

 

「我々がンフィーレアさんを必ずお守りします」

 

モモン達はエ・ランテルを出て、薬草捜しに出た。ンフィーレアの依頼内容は、薬草を採取しに行くのだが、その薬草のある場所までの道中に現れるモンスターから守ってほしいとのことだった。モンスターと言っても、そこまで強いモンスターは現れないので、初心者でも任せられる依頼だそうだ。

 

「それでは出発しましょう」

 

ンフィーレアとニニャを中心に、モモン達が前を歩く。モモンはエ・ランテルに残してきたクロムの事が気になったが、依頼の最中に別の考え事をしている場合ではないなと思い、依頼に集中することにした。

そして、しばらく歩くとナーベラルを口説いていたルクルットが真面目な顔つきになった。

 

「……どうやらおいでなすったみたいだぜ」

 

「む?」

 

ルクルットの視線の先には大きな森がある。よく見ると、木の陰からこちらを見ている者がいる。その人物達はこちらを視認するなり、森から飛び出してきた。

 

小鬼(ゴブリン)人食い鬼(オーガ)か……私たちの敵ではないな。なあ、ナーベ」

 

「はい、その通りですね」

 

「ちょっとちょっとそこのお二人さん?武器を構えてくれよ。じゃないとやられちまうぞ?」

 

「ふっ、私達が小鬼(ゴブリン)如きにやられると思っているのか?笑わせてくれる。ナーベよ、お前の力を見せてやるがよい」

 

「はい」

 

ナーベはモモンの前へ出る。そして人差し指を小鬼(ゴブリン)に向ける。そして、

 

「《電撃(ライトニング)》」

 

ナーベの指から電撃がほとばしった。電撃は小鬼(ゴブリン)達を貫く。後ろにいた人食い鬼(オーガ)も貫いていた。

 

「す、すごい」

 

「どうだ?これが私のパートナーの実力だ。無論、私もそれ相応の力を持っているがね」

 

そう言ってモモンは背中の剣を抜く。剣を抜いたが、構えることはせずに小鬼(ゴブリン)達に近づいてくる。不用心なモモンを見て、調子に乗った小鬼(ゴブリン)達がモモンに突撃していく。ルクルットが弓矢で援護しようとしたが、次の瞬間、漆黒の剣のメンバー達とンフィーレアは目を疑った。

モモンが剣を横凪しただけで、小鬼(ゴブリン)達が真っ二つになっていたのだ。モモンの剣は、グレートソードと呼ばれるものでとても大きい。その為、範囲攻撃も可能だ。そして、小鬼(ゴブリン)達はモモンによる範囲攻撃でやられたのだと理解した。

 

「さて、残った連中も始末するとしようか」

 

よく見ると、森の手前で今の惨劇を見ていた小鬼(ゴブリン)が残っていたようだ。しかし、腰が抜けているのか立てずに地面に座り込んでいた。

 

「わ、私達も倒しますよ!」

 

「あ、ああ!」

 

ぺテルの指示で動き出すルクルット達。生き残っていた小鬼(ゴブリン)達を逃すことなく、全部倒しきった。その後はモンスターの身体の一部の剥ぎ取りだった。ニニャが人食い鬼(オーガ)の耳の部分を剥ぎ取っていると、モモンがその作業をじっと見てくる。

 

「…あ、あのー……どうかしたんですか?」

 

「いや、クリスタルか何かのアイテムをドロップしていないかと思ってな」

 

人食い鬼(オーガ)がクリスタルやアイテムをドロップするなんて話は聞いたことがありませんね……」

 

「……そうか」

 

「?」

 

こうして、現れるモンスターはモモンとナーベ、二人の力で倒されていくのだった。そして、依頼を受けたときにンフィーレアが言ったように、一日では目標地点まではたどり着けない為、野宿をすることになった。晩御飯は干し肉や、硬いパン、そして即席のシチューのようなものだった。たき火を囲んで食事をとっていると、

 

「モモンさんって凄いんですね」

 

と、ぺテルが話しかけてきた。

 

「いや、そんなことはないさ」

 

「いえいえ、ここまで強いと銅の冒険者だなんて思えませんよ。絶対にアダマンタイト級の冒険者になれますよ」

 

「その通りであるな」

 

「ナーベちゃんみたいな美人と一緒に旅しているなんて羨ましい!って嫉妬してたが……あれだけの強さだもんな」

 

「ええ、あれには驚かされましたよ」

 

「それを言うならナーベの方が優秀だと思うのだが……」

 

「ええ、ナーベさんもアダマンタイト級でもおかしくないと思いますよ。でもそれは魔法詠唱者(マジック・キャスター)として優秀なんです。魔法詠唱者(マジック・キャスター)は素質がある人でないと目指せませんが、その点モモンさんは剣士として優秀なんです!これは大きな差ですよ!」

 

「そ、そうなのか?」

 

「そうですよ!私なんて最初会った時、その素晴らしい鎧を見て嫉妬していたんですが、あの実力では何も言えなくなりますよ。それにモモンさん程の実力なら現在いるアダマンタイト級冒険者達を確実に上回っていますよ!」

 

「それは俺も思うね。蒼の薔薇のリーダーは魔剣を持ってるらしいが、力量差ならモモンの方が上だろ」

 

「魔剣?」

 

「ええ、ちなみに私達のチーム名も十三英雄の一人が使った魔剣の名なんですよ」

 

「ほぉ……?中々興味深い話だ」

 

こうして一晩かけて十三英雄の魔剣について語ることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、エ・ランテルでは……

 

「クロム様ー、こっちこっち」

 

「はいはい、わかったから大きい声を出すなって」

 

「まったく……奴は隠密行動ができないのですかね?」

 

「隠密しなくても大丈夫だって。カジッちゃんは滅多に地上には出てこないし、衛兵達はアタシの魅了で見逃してくれてるしねん」

 

「それでも目撃者がいたら困るんだっての……で?ここが入り口なのか?」

 

「うん、そうだよ」

 

クロム達はエ・ランテルの共同墓地に来ていた。それもこれも、クレマンティーヌの知り合いのカジッちゃんという奴を一目見に来たのだ。

そのカジッちゃんが潜んでいるという場所は、神殿のような建物の地下らしい。クレマンティーヌが石造を弄ると、地下へと続く階段が現れた。

 

「さて、クレマンティーヌ。お前にはこれからズーラーノーンの一員として訪れたことにしてもらう。だからこそ、コレをお前に返す」

 

そう言ってクロムが渡したのは叡者の額冠だった。

 

「私達も透明になって一緒について行くが、余計なことはするなよ?」

 

クレマンティーヌは予想外の行動をすることが多いので、一応釘を刺しておく。

 

「わかってますって。それじゃ、いっきますよ~」

 

クレマンティーヌを先頭に地下へと入って行く。クロムとシュルツはどちらも透明になっている。しかも、気配を遮断、アイテムによる探知魔法、探知アイテムの効果を無効化する。これで確実に相手に見つかることはない。地下を歩いていくと、魔方陣の中心に杖を握って何かを唱える老人がいた。

 

「やあやあ、元気だった?カジッちゃん」

 

「……何をしに来た?」

 

「嫌だなー、これでもアタシ、ズーラーノーンの一員なんだよ?別に仲間の元を訪れも不思議じゃないわよね?」

 

「仲間だと?ふっ、笑わせる。スレイン法国最強の部隊を裏切ったお主など、信用もせんし、仲間だとも思っておらんわ。それにな、ズーラーノーンは所詮、ワシの願いを成就させるための組織だ」

 

「カジッちゃんの願いを成就させるための組織って……ズーラーノーンを作ったのカジッちゃんじゃないでしょ」

 

「そうだが?ワシはこの組織を利用しているのだよ」

 

「ふ~ん?まっ、どうでもいいけどねー。それよりも……お土産があるんだよね。これ、なーんだ?」

 

「そ、それは……叡者の額冠ではないか!スレイ法国の最秘宝ではないか!」

 

「そ、コレ盗み出すの大変だったんだから」

 

「だが、適応者がいなければ使えぬ」

 

「だけど、この街には特殊な生まれながらの異能(タレント)持ちがいるらしいじゃない?」

 

「……なるほどな。それは都合がいい」

 

そう言ってカジッちゃんは懐から禍々しいオーラを放つ宝珠を取り出した。

 

「こいつの負のオーラも溜まりきっていたところだったのだ。それに、近々動こうとも思っていたところだ。お主にはその小僧を誘拐してきてもらおう」

 

「誘拐ね~、まあ、いいよ。……後さ、この下に何かいるよね?」

 

「何の事かな?」

 

「ふーん?とぼけるつもりなんだ。………ふっ!」

 

クレマンティーヌがスティレットを抜き、カジッちゃんを貫こうとした。クロムはクレマンティーヌを止めようとしたが、地面が揺れたことで、体制が崩れ、止めることが出来なかった。だが、カジッちゃんはスティレットには貫かれておらず、そのスティレットの先端は骨に阻まれていた。

 

「……満足か?」

 

「うん。何がいるのか確認できたしね。それに……本気じゃなかったしね」

 

「嘘を言うな」

 

「カジッちゃんだって本気出してないでしょー?」

 

「……」

 

「まっ、誘拐したらまた来るよ。じゃーねー」

 

そう言ってクレマンティーヌとクロム達は地下から出て行った。




……小説を見直してて気づいた。話数途中で間違えてるやんけ……orz
ま、まあ!もう直しておいたから!支障はないんですけどね!

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