オーバーロード ~死を司る者~   作:かみか宮

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12.今後について

「ふふ~ん♪」

 

「クロームさん、機嫌いいですね」

 

「まあな。いいことあったからな」

 

「いいこと?あ、それって……昨日言ってたあの二人消しちゃったこと?」

 

「こらこらエクレ、こんな街中で変な冗談を言うな。誤解されるだろ?」

 

「ごっめ~ん。でも本当に機嫌いいね。昨日何があったの?」

 

「まあ、話そうと思ってたから喋ってもいいんだがな……街中じゃ喋れないな。って、お?あそこにいるのは……組合長のギリアムじゃん。おーい、ギリアムー」

 

クロムの視線の先には、買い物をしているギリアムがいた。ギリアムはこちらを見て、ぎょっとした顔になった。そしてすぐにその場から逃げ出そうとしたが、クロムがどうやってかは分からないが、ギリアムの逃げようとした方向に立っていた。

 

「人の顔見て逃げることはないだろ?それに、昨日言い忘れたことがあったんだよ~。ちょっとそこの酒場で話そうや」

 

「わ、私には仕事があるんだ!」

 

「嘘はいけないよ組合長さんよ……昨日、あんたの机に置いてあったスケジュール帳をチラッと見させてもらったが、今日はオフの日だったぞ?」

 

「い、いつのまに……」

 

「という訳で、お話しよっか」

 

クロムは笑顔で言うが、ギリアムからすればクロムの笑顔は悪魔のものだとしか思えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そ、それで言い忘れていたこととは何なんだ?」

 

「昨日言ったよな?お前の体の中には特定の言葉に反応して内部から肉を食い破る寄生虫がいることを」

 

「あ、ああ。今も私の身体にいると思うとゾッとするがね」

 

「それとは別の蟲を監視させてるんだよね。あんたが俺の正体を誰かに教えないようにね」

 

「何故……何故別の蟲に監視させているんだ?」

 

「何故って?言葉しか伝える方法がないとでもいいたいのかお前は。モノに書いて教えるとい方法もあるだろうが。それをさせないための蟲だ。ちなみに名前は爆殺蟲、その名の通り標的を爆殺するのさ」

 

爆殺蟲、外見は蠅のような蟲だが、標的に接近すると腹の部分が膨れ上がり爆発する蟲だ。スピードは無いが、その代わり、機動力と回避力に特化した蟲だ。爆発の範囲は小さいが、その威力はダイナマイトに匹敵する。

 

「あ、あと《伝言(メッセージ)》の魔法を使っても無駄だからな?お前の体内にいる蟲は《伝言(メッセージ)でも反応するから」

 

「……」

 

ギリアムはクロムの話を黙って聞くが、その顔は青ざめていた。

 

「で、聞きたいことがあるんだが……今、バハルス帝国にはアダマンタイト級の冒険者っているのか?」

 

「い、今のところはいない。それに帝国では冒険者よりも魔法詠唱者(マジック・キャスター)を育成する方に力を入れているんだ。魔法詠唱者(マジック・キャスター)の素質がある者は入学するからバハルス帝国では冒険者の数は多くはないんだ。アダマンタイトではないが、オリハルコン級の冒険者はいる。それにワーカーにはオリハルコン級の元冒険者が沢山いるって話を聞いたことがある!」

 

「へぇー?じゃあ冒険者とワーカーだとどちらの方が目立ってる?」

 

「そ、それは……遺憾ながらもワーカーだ。あるワーカーチームには竜狩りをしたご老人がおられるらしい」

 

「竜狩り……ね」

 

「その他にも腕の立つ者が沢山いる。だからこそ、帝国だとワーカーに依頼が回ることが多い」

 

「そっか、ありがとな。あ、そう言えば……これ返しとくわ」

 

そう言ってクロムが懐から取り出したのはシュルツとクレマンティーヌのプレートだった。

 

「こいつら俺が冒険者やめたって言ったらなら自分達もやめるって。という訳で返却しておく」

 

「ちょ、ま、待ってくれ!」

 

「いんや、待てないね。俺達にはこれからやらなくちゃいけないことがあるんでね。それじゃあまた今度なー」

 

そう言ってクロム達はギリアムだけを残して酒場から出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前ら、俺達は今日から冒険者じゃなくてワーカーとして生きてくぞ」

 

「ワーカー……ですか?失礼ですが、何故ワーカーなのでしょうか?」

 

「さっき組合長も言ってたろ?ワーカーの方に依頼が回りやすいって。それに、人間に俺達の名前を広めることが今回の目的なんだ。別に冒険者でなくても、ワーカーで名を広めればいい。それにだ、名前を広めると同時に俺は他のプレイヤーの捜索も行ってるんだ」

 

「ぷれいやー?それって、神人のこと?」

 

「ッ!クレマンティーヌ!お前プレイヤーについて何か知ってるのか!?」

 

「いやー、そのぷれいやーってのは既に亡くなってるはずだよ。でもその子孫ならいる筈だよ。どこにいるのかまでは分からないけど……漆黒聖典の中に神人の子孫がいた筈だけど……確証はないから何とも言えない」

 

(亡くなっている?どういうことだ……?俺達がこの世界に来てからまだ三週間程しか立っていない筈だ。それなのに既に死んでいて、尚且つ子孫を残している。どうやらその神人についても調査しないとな)

 

「クレマンティーヌ、神人についての文献は残っていないか?」

 

「文献か……残っている筈だけど、持ち出すのは無理だと思うよ」

 

「あるということが分かればいい。影の悪魔(シャドウデーモン)

 

「お呼びですかクロム様」

 

クロムの影から影の形をした悪魔が現れる。現在、ナザリック外で行動している者の影の中にはこうして影の悪魔(シャドウデーモン)が待機しているのだ。

 

「お前はナザリックに帰還しろ。そして八階層にいるニグンに神人の文献について何か知っていることはないか聞け。知っていたらその文献を奪取してこい。知らなければセバスに伝言(メッセージ)で伝えるようにアルベドに頼むのだ」

 

「承知しました」

 

そう言って影の悪魔(シャドウデーモン)は影の中に戻っていった。影の悪魔(シャドウデーモン)は影を経由してナザリックの方へと向かって行った。

 

「さて、シュルツ。お前にはウィルを回収してきてもらおう」

 

「ウィルの回収ですね、承知しました」

 

「クレマンティーヌ、俺達は情報屋に行くぞ。ワーカーについて聞き出したいことがいっぱいあるからな」

 

「んふふ、それってアタシの出番ってことだよね?任せて!クロム様の為ならアタシ一肌どころか全部脱いじゃうから!!」

 

「脱がなくていいからな?」




ワーカールートでいきますよー!
さて、次回はサキュバスのクレマンティーヌ大活躍の話となるのか!?

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