アインズとクロムがナザリックの外で冒険者をやっている間、ナザリックでは……
「皆の者、この者が新しくナザリックの僕となった者です」
「ど、どうも」
アルベドがアンデッドとなったニグンを紹介する。実のところを言うと、僕や守護者達はニグンの事を認めたくはないが、ニグンを転生させたのは至高の御方であられるクロムだ。至高の御方の所有物にはケチをつける訳にはいかない。
「ニグン……だったかしら?」
「は、はい、そうですアルベド様」
「あなたはクロム様に命令されたことをなさい。案内は……ユリ、あなたがしてちょうだい」
「かしこまりました」
眼鏡をかけたメイドが答える。
「それでは各員、持ち場に付きなさい」
そう言うと、集まっていた僕達はそれぞれの持ち場へと向かった。ニグンはユリに「こちらです」と言われ、その後を黙ってついて行った。話によると、このナザリック内で転移が出来るのは至高の御方と現在は一部の守護者だけだとか。
地下へ地下へと降りていくと、館が見えてきた。
「あちらがクロム様の管理されておられる死者の館になります」
「死者の館?」
「ええ、レイス系のモンスターを大量に配置したクロム様の館です。クロム様は基本的にこちらの館で過ごしていました。そしてあなたの仕事はこの館の管理だとアルベド様から伺っております」
「あ、ああ。クロム様からの直々のご命令…です」
「そして……彼らはあなたの配下として使えとのことです」
ユリが指さす方向には、
「彼らは特別なモンスターです」
「特別……?」
「ええ、この館では至高の御方が作られたNPC以外は会話はできません。しかし、彼らは会話が可能です。もう一人喋れるモンスターはいるのですが……彼はあなたの配下ではありませんので」
「そ、そうですか」
と、言いつつもニグンは冷や汗を流していた。ユグドラシルでは弱い部類の二体だが、この世界では十分の強さを誇っている。だからこそ、ニグンはこんな強いモンスターまでこの墳墓にはいるのかと驚愕していた。
「さあ、自己紹介をなさい」
「はい、私はシュルツ様の部下のレレイと申します」
「私はドゥルガー様の部下、ゴートです。これからよろしく」
「わ、私はニグン・グリッド・ルーインだ。よ、よろしく」
「では、私は他に仕事があるので失礼します」
そう言ってユリは更に下の階層へと降りて行った。
「ではニグン、この館について教えよう」
「よ、よろしく頼む」
「この館は我らが主、クロム様がお作りになられた館。クロム様はアンデッドでありながらもレイスに似た力を持っておられます。そこで作られたのがこの館です」
「この館には私とレレイと同じ
「で、では二階は?この館は外見だけだと四階まであるようだが……」
「ええ、四階と地下があります。二階には
「そして最上階、つまり四階には我々の主、クロム様がおられます。クロム様は最上階にて侵入者を待つという立場です。我々の目的はクロム様の元まで侵入者を行かせないことです。そして地下には、万が一、万が一クロム様が倒された時、地下へと続く階段が三階に現れるのですが、我々は地下に入ることを許可されておりません。話によると、この地下には裏階層守護者が待機しているようです」
「そ、その方の姿を見たことは?」
「……ありません。姿を知っておられるのは至高の御方と階層守護者の方々のみです」
「そ、そうか……それで私は何をすればいいと思う?」
「そうですね。一階と二階の管理をすればよいかと。三階から上は
「では入りましょう」
レレイとゴートが扉を開けると、中では
「全員話は聞いております。まあ、言葉は理解できるんですが喋れないので、私達が代弁しております」
「ではニグン殿、お入りください」
「……ああ」
ニグンは館に入ると、その内装の豪華さに言葉が出なくなった。天井にはシャンデリアがあるし、壁にはさぞ有名な画家が描いたのであろう名画とも言える作品が飾ってあった。
館の中は広く、ダンスホールを思わせられる。一階ではレレイやゴートが言った通り、
「ニグン、ここでは彼ら
「ニグン殿は彼らと同じ強さ、もしくは劣る……いえ、クロム様が転生させたのですから多分彼らの強さを優る可能性が高いですね」
そう説明してくれた。
「で、では三階に配置されている
「当然のことだが、向こうの方が上だ」
「ええ、それは否定できませんね」
「そ、そうか……それ程までに凄まじい強さを持っているのか……ひ、一目見たいんだが……」
「……ちょっと待っててくださいね」
そう言ってレレイが天井をすり抜けて三階へと行った。
「まったく……ニグン、言っておくが、私とレレイはあまり強くはない。だが、この上の階にいる
「つまり?」
「つまり……」
上からドォン!という激しい音がした。そして天井をすり抜けてレレイが現れた。
「…無理無理。死ぬって」
「やっぱりダメか」
「いや、いいって言ってたけど……一対一で戦うのなら上がって来いだそうだ」
「「……」」
「言っておくけど、私達いても何の役にも立たないからね?」
「うむ、その通りだな」
「……やめておく」
「それが賢明だと思います」
「それでは館を掃除するか」
こうしてニグンは死者の館の臨時管理人となったのだった……。
ちょっと番外編風にしてみました!
いやー、未だにクロムをどうするか迷ってて……あ、安心してください!この話を書いている間にどうするかは決めましたから!
よって次の話はちゃんと本編ですよー!!