で、ノリで書きましたので消える可能性ありですから。そこんとこ注意していてください。
VRMMORPG、『ユグドラシル』。かつては大人気だったゲームだが、ユグドラシルは終わりを告げようとしていた。
そんなユグドラシルに存在する異形種のみで構成されたギルド、アインズ・ウール・ゴウンの本拠地、ナザリック地下大墳墓に数人の姿があった。
その姿は人間のものとは程遠く、骸骨と液体状の生物しかいなかった。
「いやー、お忙しいところをすいませんね、ヘロヘロさん」
「いえいえ、今日はユグドラシル最後の日ですから。ログインぐらいしておきたかったんです」
装飾が激しいローブを着た骸骨、俗に言うスケルトンが液体に話しかける。彼の名前はモモンガ。種族はアンデットで、
「ヘロヘロさんも大変だなー。俺もついさっき仕事終わらせてきたところだぜ?」
モモンガと違い、激しい装飾が無く、漆黒のローブに身を包んだスケルトンが喋る。名前はクロム。アインズと同じくアンデットであり、死神である。クロムはアンデットのファイターだったのだが、取得欄に死神があることに気づき習得した。モモンガとクロムはこのギルドの中で死を司っているとも言える。そんなクロムはアインズ・ウール・ゴウンの中ではみんなのまとめ役としても一役買っていた男である。
「ブラック企業勤め何て大変だろう?」
「まあ、そうですね。今日も徹夜でしたし……っと、すいません。ちょっと睡眠取らないとキツイです。最後までいられなくて残念ですけど……今日、こうしてまたお二人に会えたのがうれしかったです。それでは、ユグドラシルⅡとか始まったらまたお会いしましょう」
そう言ってヘロヘロはログアウトした。こうしてギルドに残っているプレイヤーはモモンガとクロムだけになった。
「……モモンガはさ、この後どうすんの?」
「僕は……ギルドリーダーらしく、玉座で最後を迎えようと思っています。クロムさんは?」
「俺?俺は当然、第八階層の『死者の館』で最後を迎えるさ」
「そうですか。わかりました。……あ、一ついいですか?」
「ん?どしたん?」
「これを持って行こうと思ってるんですが……いいですか?」
モモンガが持つのは一つの杖。それこそこのギルドの象徴とも言えるギルド武器、『スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウン』だ。元々この杖は使うとすればモモンガで決まりと皆で相談していたことなのでクロムは、
「いいよいいよ。ていうか、それモモンガの物って言っても過言じゃないんだからさ。……それによ、最後だし皆いいって言うと思うよ?」
「……そうかもしれませんね。それではお先に失礼します」
そう言ってモモンガは部屋から出ていった。外からの声が聞こえ、NPC達を引き連れて玉座に向かったことをドア越しに確認すると、クロムはコンソールから一つの指輪を選ぶ。その指輪はアインズ・ウール・ゴウンのギルドメンバーにしか与えられない『リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン』。この指輪があれば、ナザリック地下大墳墓であれば転移することが出来るアイテムだ。このナザリック地下大墳墓にはこの指輪を使用しなければいけない場所も存在するので、常に持ち歩いている。
クロムは指輪を使って第八階層に転移し、自ら作った館へ足を進める。『死者の館』、その館には実態を持たないモンスターのみがポップするようになっている。一部ポップしないモンスターもいるが、それでも数は多かった。侵入者が入ってきた場合、クロムだけはこの館の最上階で待機することになっている。それがこの館の主である使命だからだ。この館には実態を持たない
一人は金髪でメイド服を着た女性。名前はシュルツ・アドヴェント。種族は人狼。人狼にしたのには特に理由はない。ただレイス系のモンスターだけでは物足りないと感じたからだ。そしてもう一人は銀髪で執事服を着た男性。名前はドゥルガー・アルジェント。こちらの種族はバードマン。その外見はツバメにしか見えない。シュルツとドゥルガーはクロムが待機する最上階の下の階に待機させてある。久しぶりに見たが、やっぱり自分で作った物はいいと感じるクロムだった。
「……今日でユグドラシルも終了か……寂しいもんだな」
二人のNPCにはこれで会えなくなると考えると寂しい。きっと他のメンバーもそう思うに違いない。しかし、かつての仲間たちはもういない。モモンガとクロムだけが残っている。
「最後くらい集まろうってなんないのかね……」
そう独り言を呟きながら階段を昇る。そこにはクロム用の玉座が用意されている。そこにクロムは腰を下ろす。時間は23:59。あと一分で終わる。
「終わり……終わりか。寧ろこれからが始まりならうれしいんだけど」
そう言って目を閉じる。次に目を開けたときは現実の自分の部屋だろう。そう考えながら心の中でカウントダウンを始める。10…9…8…7…6…5…4…3…2…1…0。再び目を開くと、そこには自分の部屋の天井……ではなく、死者の館の玉座の部屋だった。
「あ、あれ?どういうことだ?何でダウンしてないんだ?まさか延期?」
と戸惑っていると、誰かが階段を勢いよく昇ってくるのを感知した。モモンガかと思い一緒に現状の確認をしようと思っていたクロムだったが、階段を駆け上ってきたのは、自分が創り出したNPCだった。
「クロム様!どうなされましたか!?」
「クロム様、いかがなされましたか?」
片方は興奮気味、片方は冷静。しかしクロムは冷静さを失っていた。いくらユグドラシルがフルダイブ型のゲームだと言っても、NPCはAIで動いているし、プレイヤーの命令が無い限り行動しない。何より喋ることなど出来ない。
(一体何がどうなってるんだ!?)
と混乱しているクロムに
「モモンガか?」
『クロムさん!?よかった……クロムさんがいてくれて助かりました。一旦、現状を確認したいので六階層の闘技場まで来てもらえますか?一時間後にガルガンチュアとヴィクティム以外の各階層守護者に召集をかけたのでなるべく早くお願いします』
「承知した。今すぐ向かう」
クロムは
「今から私は六階層へと向かう。お前らは……」
「お供します!」
「お供させていただきます」
「そ、そうか……いや、しかしお前らは転移ができないろう?」
クロムはリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンの力で六階層まで一気に行けるが、この二人は別だ。どちらも
「問題ありません!走っていきますから!」
「問題無しです。飛んでいきますから」
「そ、そうか。では先に行っている」
クロムは指輪を使用して転移する。クロムが現在立っている場所は先程の館ではなく、闘技場の入り口だった。
「……指輪の方は問題なさそうだな。……ん?」
闘技場の方へ視線を向けると、そこにはモモンガの他に六階層の階層守護者である双子のがいた。
「モモンガ。一体何をしてるんだ?」
「おお、クロムさんか。何、ちょっとした実験をしていたのさ。今はアウラとマーレが
いつものような口調ではなく、完全に上に立つ者の喋り方だった。
「そうか。まあ、一度も使ったことのない代物だからな」
「うむ。む?どうやら終わったようだな」
炎の精霊を倒したアウラとマーレが駆け寄ってくる。モモンガはどうやったかはわからなかったが、空間を創り出し、そこから
「おや?どうやら私が一番でありんすか」
闘技場に穴のようなものが空中に出来ていて、そこから銀髪の少女が現れた。彼女は一階層から三階層まで階層守護者であるシャルティア。シャルティアはモモンガを見るなり抱き着き、自分の気持ちをモモンガにぶつける。
「ああ……我が君。私が唯一支配できない愛しの君!」
抱き着かれて挙動不審になっているモモンガを見て笑うのを堪えていると、四階層守護者コキュートス、それに七階層守護者デミウルゴス、そして守護者統括のアルベドが集まっていた。その後ろにはシュルツとドゥルガーの姿があった。
「皆、至高の御方に…忠誠の儀を」
各階層守護者がモモンガとクロムの前で片膝をつく。それに倣うかのようにシュルツとドゥルガーも守護者達の後ろで片膝をつく。全員が頭を垂れて、主の指示を待つ。
一体これからどうなるんだろうなーと考えながらも守護者を見るクロムだった……。
クロムさんは死神です。
モモンガと同じくアンデット。ていうか死神と言えば骨しか思いつかぬw
クロムさんの攻撃はレベル1~30なら100%の確率で即死です