FAIRY TAIL~全てを包み込む大空の軌跡~   作:綱久

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お、お久しぶりでございますよー、綱久でーす。ホントお待たせして申し訳ありません。

久しぶりの投稿ですが、今回の話は文字数が短いです、ハイ。本当は1話で完結するつもりでしたが、都合のため2話に分けさせていただきました。

そして久しぶりのため、多分文才は落ちていると思いますが、どうかよろしくお願いします。


標的7 大空VS妖精女王 前編

 橙色と緋色の閃光が高速で交錯する。

 

 方や拳のグローブを活かした拳闘術、方や両手に携える騎士剣による剣術で。

 

 この場で戦闘を行う二人―――沢田綱吉とエルザ・スカーレッドの互いの得物が高速で交わした回数は既に十数は超えているだろう。その交錯により、周りの木々達は斬られ、折れ、潰れていく。それだけで、この二人の地力が桁外れだということを誰もが理解できるだろう。

 

 得物を撃ち合いながら、エルザは心が高ぶっていく。

 

 自分の直感は間違っていなかった。今、自分が相対するこの少年は―――強さは勿論、その強さを正しく扱える者であったことを。

   

 そのことを嬉しく思うと同時に―――彼女の武人としての血が騒いでいく。強い者と戦いたくなる……"武人"としての本能を完全に抑えきることはできない。そして、自分の我儘に付き合い本気で戦ってくれている綱吉に応えるため、エルザは手を抜かず、全力で剣を振るう。

 

 対して綱吉も、目の前の女性を下すには、綱吉の今の状態(・・・・)でも本気の力でなければならないと判断して動いている。

 

 前に戦ったナツは、発展途上でありながらも、決して弱くなどなかった。だが、彼女の強さをナツを超えている。しかもこれ程の強さを誇りながらも、ナツと同じく彼女もまた発展途上であるということに舌をまく。

 そして恐らく、彼らに匹敵する魔導士が何名も存在するだろう。《妖精の尻尾》―――想像以上の猛者達の集まりだということに、思わず苦笑いが浮かびそうになる。

 

 だが今は注意するべきなのはエルザだ。彼女の剣の腕は本物であり、現に数十手撃ち合いながらも、互いに攻めきれていない。しかし、綱吉が彼女を厄介だと感じているのはそれだけではない。

 

 

「―――換装、《天輪の鎧》!!」

 

 瞬間、エルザの服装が変わった。蝙蝠のような黒い翼が生えた衣装(・・・・・・・・・・・・・・・)から、背中に4つの天使のような翼がある大きなロングスカートの意匠へと変化した。その際、彼女の周辺を囲むように大量の騎士剣が出現し、宙に舞う。

 

(また服装が変わった!)

 

 そもそもまず最初のエルザの服装は、衣服の上から鎧を身に着けているという変わった服装をしていた。それが戦闘の途中で突如として蝙蝠のような黒い翼と十字架の模様な衣装へと変化したのだ(ついでに髪型もストレートからポニーテールに変わっていた)。

 そしてその衣装に変わった途端、彼女の剣を振るう力と飛脚と移動する脚力が最初の服装よりも遥かに上がったのだ。冷静に見極めれば対処できなくは全くなかったが、エルザ自身の武術の腕を含めると、彼女の魔法を警戒することに越したことはなかった。

 

 そしてまた、服装が変わった。今度は一体なにをするのかと様子見を行うよりも早く――エルザは動いた。

 

「舞え、剣達よ!!」

 

 エルザの声に反応するかのように、宙に浮いていた剣達は切っ先を綱吉に向け―――一斉に襲いかかる。

 

(……やはりか!)

 

 ある程度は予測していたためか、綱吉に驚きの度合いは少ない。しかしだからと言って悠著にしてはいられない。数十は迫っている剣の一つ一つに少なからず魔力が込められている―――並の魔導士ならば一撃で倒せる程の。

 

 それを大まかとはいえ感じ取った綱吉は、改めて彼女が強敵であることを再確認すると同時に、右手のグローブから炎を放出させる。そしてナツ戦同様、素早く炎の壁を形成する。

 

 綱吉に向かってきた数十の剣達は炎の壁によって弾かれ、あるいは砕け散っていた。例え並の魔導士を葬れようとも、硬く熱い綱吉の炎には通用しな―――

 

 

 

「――《天輪・三位の剣(てんりん・トリニティソード)》!!」

 

 しかしそんな炎の壁を、エルザは一瞬で両手に持った剣で三角形を描くように切り裂いたのだ。

 一瞬目を見開いた綱吉だったが、この程度の芸当は今まで目にしてきたためか、即座にグローブから炎を噴出させ、炎の推進力を利用して一瞬でエルザの間合いを詰めた。対するエルザも綱吉がそのように動いてくるのが予測済みだったのか、驚くことなく構えをとり―――

 

「Xバースト!」

 

「《天輪・五芒星の剣(てんりん・ペンタグラムソード)》!!」

 

 互いの近距離技が激突する。速さを利用した炎の拳撃と五芒星を描くように切り裂く斬撃の威力は互角であり、それにより二人はそれぞれ後方へ飛ばされる。綱吉は後ろへ炎をグローブで噴出させることによって飛ばされた威力を殺し、エルザはとっさに受け身を取ったことでダメージを最小限に抑え込んだ。

 そして二人は休むことなく、相対者へと高速で走り向かう。ただしエルザは―――

 

「――換装、《飛翔の鎧》!!」

 

 彼女の呼び声と共に服装が豹柄の鎧(何故か獣耳もついている)に変わった瞬間、エルザの姿が綱吉の視界から消える。そして瞬く間に斬撃が襲ってきたが、視えていたのか分かっていたのか、綱吉は鋼鉄のグローブで難なく弾き飛ばした。後ろを少し見ると、双剣を振り下ろしたであろうエルザが少し驚いた表情で此方を視ていた。

 

(今度はスピードが上がったか!)

 

(《飛翔の鎧》の速さですら反応できるのか!)

 

 どうやら先程の斬撃は、エルザ自身の速さを利用した斬撃だったようだ。

 しかも、その速さは最初の鎧や蝙蝠、ドレスの鎧を装備していたよりも格段に上がっており、本気の綱吉にも匹敵するほどに。

 

 これから数分間行われたのは、互いの速さを利用したと拳撃と剣撃の応酬。常人目で追うことすら許されない高速の戦闘。あまりにも速すぎるため、周りから見れば互いに拮抗しているとしか判断できないだろう。

 

 

(……成程。大体読めてきたな)

 

 エルザの"魔法"が何か、綱吉は大まかだが理解した。だがそれは打開策が浮かぶわけではなく、むしろ彼女の脅威度が更に引き上がったことを意味することであるからだ。

 

 そしてそれはすぐ、現実で思い知ることになる。 

 

 

 

「―――換装、《風神の鎧》!!」

 

 木々を足場として利用する形で上空から地に立つ綱吉に向けて、エルザが《飛翔の鎧》を装備している状態で駆け出す瞬間に、彼女の格好が、2つの羽飾りと羽毛が付いた衣装へと変化した――――《飛翔の鎧》の速さ残し綱吉に駆け向かう状態で。

 

(鎧と武器の切り替えが速い!)

 

 僅かな時間で鎧と武器を変え、更に今の綱吉でも苦戦する《飛翔の鎧》の速さを残したまま鎧を変えての突撃。流石の綱吉でも躱すことができないため、受け止めるしかなかった。

 

 そして二人は、互いに今だせる力をもって自身の得物を相手に振う。

 

 瞬間、炎と魔力のぶつかり合いによる大きな余波が周りの森林を襲う。互いに殺気を込めていないにも関わらず、二人の桁外れな炎と魔力により大気が震え、下手をすれば互いの命に係わる一撃だ。

 

 その一撃を放った張本人の二人は、互いの得物による火花散る力押しによる鍔迫り合いをしていた。この状態では少しでも力を緩めれば、即敗北に繋がってしまう。いや、敵の隙を作るためワザと一瞬力を抜くという戦法もあるが、今の綱吉とエルザが得物に纏う炎と魔力は桁外れである―――下手に扱い暴走などしてしまえば、この戦場であるこの周辺の森林を焼け野原に帰る程の。

 だからこそ、二人は力押しによる戦法でこの状況を打破せんとするが、二人の押し合いは互角であり、均衡状態にある。 

 

 

 しかしその均衡は、すぐに崩れた。

 

「――風よ、集まれ!!」

 

 エルザが今纏っている《風神の鎧》――それは、一定範囲内の大気中に流れる風を自身の支配下におき、利用することができる魔法武具。

 今エルザが行っているのは、綱吉とのグローブと火花を散らしながら鍔迫り合っている自身の剣――名称『風神の剣』に大気の風を集約させている。

 魔力を属性に変換するのではなく、自然界に存在するエネルギーである風を利用している。自然エネルギーは魔力に匹敵――いや、ある意味でそれ以上の力を秘めたエネルギー体。

 魔力に加え、そんな自然エネルギーを剣に取り組むことによって、エルザの剣に込める力は爆発的に上昇する。

 

 故に均衡は崩れ、綱吉は徐々に押されていき――

 

(まずい! 抑えきれ―――) 

 

 

 

―――綱吉は、森の彼方へと吹き飛んでしまった。

 

 

 

 この世界に来て初めて、綱吉はダメージを受けた。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

(やれやれ、5つの鎧を使ってやっと一撃か……)

 

 綱吉を吹き飛ばした先を見つめながら、エルザは息を整える。

 

 エルザが使っている”魔法”は換装魔法の一種である騎士(ザ・ナイト)

 魔法空間に存在する魔法武具と衣装を呼び出し、または空間へしまうことができる魔法。しかも彼女が呼び出す鎧と武具は、一流以上の"魔導士"でなければ扱うことができない業物と言っても過言ではない物ばかり。

 それを状況に応じて多数の鎧を難なく使用する上、それを見事に扱える姿から、彼女が並の"魔道士"より一線を画す存在であることは嫌でも理解できるだろう。

 

 だが、鎧を呼び出すのに少なからず魔力を使ってしまう。更に彼女の持つ鎧はどれも上等ばかりであるため、一つ一つに多くの魔力を消費してしまった。エルザ本人の魔力量はズバ抜けているため、魔力切れを起こすことはないだろうが、ここまで魔力を消費してしまうのは久しぶりだ。

 

 改めて、彼が自分と同等――いや、それ以上の実力者であるとこを認識させられる。

 

 そして分かる―――彼がこの程度で倒れるはずがないと。

 

 

「――成程。そういうことか」

 

 エルザの目の前に、綱吉がまい戻っていた。体のいたる所に傷があり、息も少々乱れている彼の状態見る限り、確かにダメージを与えたのは確かだ。だがそれでも、決定打にはなっていないようだ。

 

「別空間に保持している様々効果をもつ武具を呼び出し行使する、それがお前の”魔法”か」

 

「その通りだ。これが私の”魔法”、《騎士(ザ・ナイト)》!」

 

 剣、槍、斧といった様々なカテゴリーの得物。一つ一つによって様々な魔法効果を持つ鎧。

 その無数とも言える手札という名の魔法武具を達人並に扱える武術の腕。更に戦いを自分の思い描く状況へ運べる冷静さと機転の良さ。

 彼女は間違いなく《妖精の尻尾(フェアリーテイル)》最強の一人といっても過言ではないだろう。並の魔道士なら数秒も持たず地に伏せられることは間違いなしだ。そのことに、綱吉も文句はなく認める。

 

 

 だがそれでも―――

 

 

 

―――山本、良平、雲雀、スクアーロ、幻騎士———一つの武術を極限まで極めた武人達の重みと比べれば―――まだ(・・)、軽い!!

 

 

 合図もなく、再び綱吉は己の速さをもってエルザの視界から消える。しかしエルザは動じることもなく――

 

「換装、《飛翔の鎧》!!」

 

 自身が持つ最速の鎧を身に着け、彼女もまたこの場から消える。そしてすぐに、視界でしっかり視える高速移動する綱吉に向かって、双剣を構え彼に劣らぬ速さで走りだす。

 

「無駄だぞツナ! お前の速さは目を見張るものだが、《飛翔の鎧》を装備した私には通用しな――」

 

 

 

 

「―――心外だな。まさか俺の速さの限界がこの程度だとでも?」

 

 

 

 ―――その言葉が耳に届いた瞬間、今までしっかり目で追えていた綱吉の姿が消えた。




あー。早く幽鬼、バトルオブ、六魔、そして天狼に入る前のオリジナル編を早く書きたい―――話が全然進んでいないのに何言ってんだお前!?と言いたくなりましょうけど、もうどういう展開していくか考えついちゃったから仕方ないでやがりますよ!!

一応、この話の後編は大体構成はできているので、もしかしたら早く出せるかもしれません。で、できる限り頑張りますので、どうか暖かい目でいただけると嬉しいです!!

次回も楽しみに待っていて下さい!

後、感想があれば是非お願いします!

後後! 活動報告も上げているのでお願いします!


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