前回のアリシア復活には、ギルエモンのバヒロンポケットからお薬を使用しております。
今回も短いです。
視界が一色に染まっていく。
赤、赤、赤。
今まで燃えていた命の灯火が、その燃料が流れ出る。
俺の血、腹に開けられた穴から噴き出す命の水。
夕暮れの光りの赤に、俺の血の赤が混ざり合う。
身体が動かない。燃料漏れした車が動かないように、俺も地面に倒れたまま動けない。
「ごめんなさいね、一誠くん。あなたにはなんの恨みもないけれど、あなたの中に
俺の腹に、風穴を開けた彼女がナニか言っている。
初めての彼女だった。
駒王学園の変態と呼ばれる俺に、告白してくれた天野 夕麻ちゃん。
長い黒髪に優しげで清楚な雰囲気を身にまとい、それに反して、学生服を押し上げる立派な胸やミニスカートからのぞく色白でムッチリとした太ももが、男の劣情を掻き立てる。
性格、身体、両方ともに文句なしの彼女だったのに!
初めてのデートだった。
いろんなデートのハウツー本を読み漁って、雑誌やネットでデートプランを必死になって考えた。
実際、始めのうちは問題なかった。
住み慣れた街を、彼女と一緒に歩くだけて、とても楽しかった。
彼女も控えめにだか、沢山笑ってくれた。
街中でチンピラに絡まれた夕麻ちゃんの手を取って走ったり、
ゲームセンターでUFOキャッチャーに悪戦苦闘したり、
カラオケルームで、お互いにの手が触れて顔を真っ赤にしたり、
クレープを食べた時に、生クリームが鼻に付いたり、
上手くいってたはずだし、彼女との雰囲気も良好だったハズだったのに。
デートの最後、駒王公園の噴水広場に足を運んだ時、彼女から死んでくれない?と言われて、訳が解らない内にこの様だ。
堕天使?神?
意味を理解する間もなく、背中に黒い烏のような翼を生やした夕麻ちゃんは去っていった。
畜生、身体が冷えてきた。
もう一ミリも身体は動かない。
呼吸をしようとする度に、内臓が抉れるような激痛が走る。
死にたくない、死にたくないんだ。
まだ童貞のまま死にたくない。
松田や元浜たちと馬鹿したかった。
綺麗な彼女とエロエロな生活もしてみたい。夕麻ちゃんが駄目だった分、今度こそは素敵なお姉さんにたっぷり甘えてみたい。
嗚呼、なんて未練なんだ。
俺は、自分の血で出来た水溜まりをぼんやりと見つめる。
土と混ざり、乾いて赤黒く変色する俺の血が、とても穢く感じられた。
ふと、誰かの足音が聞こえた。
赤、いや紅だ。同じ赤でも、もっと色鮮やかな紅。
血なんかよりずっと綺麗な色。
もうほとんど見えなくなった俺の目に、それだけがハッキリと映っている。
嗚呼、この色は、先輩の・・・・・・。
「アナタね、わたしを喚んだのは・・・・・・」
・・・・・・原作知識通りだとはいえ、見ていて愉快なものではないな。
噴水広場に倒れる
生の光が失われた瞳からは、一筋の涙が夕陽を反射している。
確かコイツは、堕天使の女に騙されて、初めての彼女とデートという茶番劇に嵌められ、殺されたんだたか。そして、その事がトラウマとなり、異性の好意、愛情を信じられなくなってしまう。・・・・・・・ふむ、面白くないなぁ、それは。
恋愛に臆病になるのは仕方がない。だが兵藤 一誠のそれは無意識だ。様々な女性たちと出逢い、絆を深めていく上で、その事が壁になる。壁を乗り越えるならいい、しかし、一誠は壁の存在に気付かず、ゴールと勘違いしたままになってしまう。
それは面白くない。
このままだと一誠が、オレの嫌いな鈍感系難聴型主人公になってしまう。
コイツに必要なのは、傷付いた心の癒し、自分は他人に愛されているという自覚と自信だろう。
仕方がない、“王の財宝”の薬と“悪魔の駒”だけで蘇生するつもりだったが、抱いて寝てやるか。
“死にたくない”というお前の願い、叶えよう。
ん?“リアス・グレモリー先輩とーーーーーーー”
ははっ、ソイツは自分で叶えてみな。
ま、長い付き合いになるんだ。今はゆっくり休めよ、・・・・・
3時間半掛けて、この文字数。
まだまだ足りないですね。