錬鉄の魔術使いと魔法使い達   作:シエロティエラ

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――黒化しているとはいえ、流石は豊饒の女神といったところか。……左腕が逝ったな。

――■■■■■……

――この気配からすると、次使うのは宝具。石化の魔眼か騎英の手綱か。

――……お兄さん、大丈夫なの?

――大丈夫だ。君たちはオレが守る

――■■■■■!!

――ちぃ、騎英の手綱か!!

――■■■■■!!

――「熾天覆う七つの……





8. 不死鳥の尾羽

 

 

 

 シロウがあまり授業に出なくなって三週間。特にこの一週間は一日も一限も出ていない。外は未だに寒さが続いている中、私たちは一つの部屋に集まっていた。

 この部屋の名前は「必要の部屋」。校舎内のとある廊下の壁に隠された部屋で、本当に必要としているときにのみ開く部屋であり、室内はその使用者が必要とするもので満たされる。今私たちは「不死鳥の尾羽」の集まりでここにいるため、ここには呪文の練習に必要な的、書物などが揃っている。

 

 

「ええーと、じゃあまずは『武装解除呪文』から始めようか」

 

「対魔法使い戦の基礎魔法だけど、まだ使えない人もいるだろうから。使える人は使えない人のサポートに回って」

 

 

 私とハーマイオニーを中心に、このクラブの方針を決めた。勿論参加者の意見も取り入れている。それによって「武装解除呪文」から始まり「麻痺呪文」やその他呪詛、最終的には「守護霊呪文」を習得していこうということに決まった。今回は最初の集まりなので武装解除をやっていくことになった。私たちのやり方としては、其々の呪詛練習で全員が習得したら次の呪文に行くようにした。

 

 

「呪文は『エクスペリアームズ』。杖は相手をつくように突き出して」

 

「呪文はあの人形に向けてやろう。丁度お腹辺りに当てるとより効果的だよ。杖を奪えるし、暫く動けなく出来るからね」

 

「逆に杖や手元に当てるのもありだけど、その場合相手からあまり離れたところに飛ばなかったらすぐに態勢を立て直される。隙を与えず追撃できるようになるまで、手元に当てる練習は控えるよ」

 

「それじゃあ一つに人形につき三人で組んで。じゃあ始め!!」

 

 

 私の掛け声が聞こえると、部屋の中には呪文を叫ぶ声と閃光が飛び交う音と光に包まれた。武装解除の赤い閃光が飛び交うけど、ちゃんと人形の的に当てれた人は数人しかいなかった。ウィーズリー兄妹と比較的シロウに近い人の中でも数人程度。術が発動しても狙った場所に飛ばぬ者、そもそも発動しないものがほとんどである。

 この部屋を使える時間は精々一時間が限度。それに全員集まれる日など、一週間に二日あるかないかだ。それに、あまり期間を掛けるとアンブリッジにバレる可能性も高くなる。ただでさえ最近学年別に一人一人個人面談を行うなどと豪語し、それを許可するふざけた教育令をまたこの前発布したのだ。恐らくスネイプ先生がポロッと漏らした話―多分意図的に漏らしたと思う。シロウ笑っていたし―が正しければ、面談改め尋問には「真実薬」という自白剤が用いられているらしい。

 ただ先生が渡したのは小瓶三本分、いくら一人三滴が適量だとしても、精々三年生までが限度だそうだ。それにスネイプ先生の設けた設定では、真実薬を作るには三ヶ月必要、加えてアンブリッジに渡したもので在庫まで尽きたとのこと。アンブリッジが先生に対して開心術を用いたみたいだけど、アンブリッジ程度の開心術じゃあ無駄だったみたい。シロウ曰く、ダンブルドアレベルの開心術やシロウが少しキツイと感じるレベルの拷問じゃない限り吐かないそうだ。

 

 

「ああもう、なんで出ないの?」

 

「えっと……うーん真っすぐ飛ばない」

 

 

 どうやらみんな苦労しているようだ。できる人が何とか説明はしているけど、それでもできない人はいる。ハーマイオニーが懇切丁寧に教えているけど、理論的になりすぎて理解できる人が少ない。仕方なく私は今指導していたネビルから離れ、ハーマイオニーが担当していた子に近寄った。

 

 

「魔法は結局使用者の精神面に影響するの。プラシーボ効果とはちょっと違うけど、精神面が不安定だと成功する魔法も成功しない」

 

「でも……そんな単純なことで」

 

「まぁまぁ、騙されたと思ってやってごらん。相手を傷つけたくないなら、相手を無傷で捕まえるためと思えばいい。さ、やってみて」

 

 

 その子に促し、実際にやらせてみる。躊躇していたけどその子は杖を構え、呪文を発した。結果閃光はあらぬ方向に飛んでいき、他の像にあたった。だが先ほどまでの成功しない状態に比べれば大きな進歩である。まさか呪詛が発動するとは思ってなかったのか、その子は呆然としていた。まぁ後は呪詛になれ、狙い通りに打てれば大丈夫だろう。

 私は後をその子のグループに任せ、ネビルの元に戻った。彼は所謂スクイブという、魔法族だけど魔法をあまり使えない事例の一人なのだ。ただ彼の場合魔法を使えないというわけではなく、魔力運用が不得手なだけだと私は睨んでいる。恐らく少しその運用のコツを身に付ければ、彼は瞬く間に魔法が上手くなるだろう。

 でも結局、彼を含めた何人かは呪文を発動できなかった。これにより次回も「武装解除呪文」の練習をし、時間が余れば「粉砕呪文」の練習に入ることが決まった。まぁ私もそんな一回で全員出来るようになるとは思っていない。時間は少しかかるかもしれないけど、アンブリッジにバレる前にせめて「麻痺呪文」習得まで持っていきたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ハァ……ハァ……

 

――お、お兄さん、腕が……

 

――■■■■■

 

――大丈夫だ……これで完全に左腕が逝ったな。まぁ肩から先がなければ逝くもクソもないのだが。

 

――■■■■■■■■■■■■■!!

 

――遅い。お前を葬ったこの鎌で黄泉に帰るといい、偽りの豊饒の女神よ。不死身殺しの鎌(ハルペー)!!

 

――■■■■ァァァァ…………シ……ロウ……

 

――今際の際に自我を取り戻すか。何だ、メデューサ。

 

――さ……く……らを……お…願い……します……あり……が…と……う……

 

――……黒化しても尚桜の心配をするか。ああ、安心しろ。

 

――お兄さん

 

――大丈夫か? 君たちは……そうか。生き残りは君たちだけか。それも子供ばかり……

 

――仕方ない、オレについてくるといい。幸い部屋は余るほどある、落ち着くまでそこで暮らすといい。身の振り方もゆっくりそこで考えればいいだろう。

 

 

 






 すみません、大変お待たせしました。何分リアルがとても忙しくて書く暇がありませんでした。まだ少しごたごたしているのでまだ更新速度は遅々としています。
 では皆さん、次の投稿もハリポタにいたします。アクエリオンをお待ちの方、もう少々時間をくださいませ。


 それにしても、ネットとは怖いですね。とあるサイトでコメントしたら、それに対してタヒねという言葉が何度もつけられていました。まぁ私の言い方も悪かったと反省はしているのですが、流石にタヒは駄目だと思う次第なのです。
 皆さんも動画サイトや掲示板、本サイトの感想などで匿名でコメントや感想を書かれると思いますが、言葉には十二分に気をつけてください。特にタヒやそれを連想する言葉は使わないほうが良いです。

 個人的な話になるのですが、実は私昔色々な経緯があって目の前で人が亡くなるのを何度か見たことがあります。簡単に人の命が消えるのを知ると、タヒやそれに類する言葉に敏感に反応するようになってしまいました。私は暴言にそういった言葉を使うことはありませんし、少し敏感になっているだけで済んでいます。しかし人によってはトラウマを患っている可能性があります。
 言葉とは不思議なもので、たった一文字で人の喜怒哀楽が変化することもあります。再三書いていますが、に何かを書いたり言ったりする際は、使うべき言葉を考えながら使ってください。

 以上長々と失礼しました。


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