では予告通り更新します。
原作とは更に異なる流れです。
クィディッチの勝利の余韻も束の間、その他の寮のから私たちは三ヶ月後の試験に向けての授業にアップアップする日々に突入した。先生方は授業のスピードを上げており、正直他のことに目がいかない状況である。
クィディッチ優勝に王手をかけたグリフィンドールと、同様に王手をかけているスリザリンの試合は試験後に予定され、私は学業に加えてクィディッチの練習が加わり、中々のハードスケジュールになっている。
そして今年何回目ともわからない占い学の授業、内容は水晶玉占いになっている。二人一つの割合で水晶玉が配られ、私とシロウは何も見えない水晶玉を眺めながら眠気と戦う。
「水晶占いはとても高度な技術です」
トレローニ―先生は語る。
「残念ながら皆さまがいきなり何か見ることが出来るとは思っておりません。ですから今は精神と『外なる眼』をリラックスさせ、超意識と『内なる眼』顕れ易くしましょう」
その声と共にみんなは作業にかかった。
正直阿呆らしいと思う。未来なんてそう簡単に見通せるものなら、私の両親は亡くなることはなかっただろう。占いなんてはっきりしないものなど、信じるだけ無駄というのが私の持論である。
「玉の内なる影の解釈に困っている方、私の手伝いが必要な方はいらっしゃいますか?」
「別に助けなんていらないと思うわ」
「どういうことだ?」
私の言葉にシロウが怪訝そうな顔をする。
「だってこの水晶の
「…ククッ」
「まぁ、なんですの?」
思わず漏らしただろうシロウの忍び笑いに耳ざとく反応する先生。彼女を慕っているパーバティとラベンダーはヒソヒソ話したのち、私たちを睨んできた。いや~あれはもう崇拝の域に入ってるんじゃないのかなぁ。
「ではよろしければ私が見ましょうか?」
頼んでもないのに私たちの水晶玉近づく先生。そして無表情に水晶玉を覗き込む先生。ああどうせ今回も誰かが死ぬ予言をするのかな。それかまたシロウの琴線に触れることを言うのだろう。
「……」
「…?」
いつもと違い、ずっと黙りこくる先生。流石におかしいと思い、シロウと一緒に先生の顔を覗き込んだ。
「…トレローニ―先生?」
「――事は近づいている」
「……え?」
「なに?」
突如いつもの眠くなるような声ではなく、低くしゃがれた声を発した先生。流石に驚き、クラス全体が静寂に包まれる。
「――闇の帝王は友もなく、孤独に打ち捨てられ横たわっている。その召使は十二年もの間縛られていた。近く、彼の召使はその鎖を断ち、黒き淀みを用いて主のもとに馳せ参ずるだろう。闇の帝王は召使いの手を取り、再び立ち上がるであろう。
召使によって使われた黒き淀みは世界に広がり、魔法界マグル界問わずに闇に包み込むだろう。それを祓えるのは世界を渡りし錬鉄剣製の英雄、『
今夜…召使が…闇の帝王のもとに…馳せ参ずるであろう…」
先生はガクガクと震えたのち、糸が切れたかのように力なく地面に倒れ伏した。しかし誰も動かない。語られた内容と先生の変貌ぶりがあまりにも凄まじく、反応が遅れていた。
いち早く復活したのはシロウ、次いで私とロンとハーマイオニーが復活し、事の対処に当たった。というかシロウの事情を知っている人だけが復活した。
私とハーマイオニーはその他の生徒に忘却術をかけて回り、今の言葉の内容を忘れさせた。そしてシロウとロンで先生を医務室に運びに行った。
事が事だったためそのまま授業は終了、生徒たちは次の授業に向かった。しかし次の薬草学の授業に、恐らく当然と考えるべきものだろう、シロウの姿はなかった。
◆
トレローニーの予言。あのトランス状態は一度「
気になる単語がいくつかある。まずは奴が、恐らくペティグリューだが、ヴォルデモートのもとに戻るということ。これが真実ならば、俺たちは奴を取り逃がすということを示す。
次に奴が用いるという”黒き淀み”。俺の魔術使いとしての本来の力を必要と示すキーワード、”錬鉄剣製の英雄”と”『阿頼耶』より役を任されし男”。
”黒き淀み”は聖杯の泥のようなものを想像すればいいか、はたまた黒化英霊を想定すればいいか。どちらにせよ、夜になる前に万全の体制を整えなければならんだろう。
「……いるんだろう?」
「ウォン!!」
「……」
呼びかけに答えるようにして出てくる二匹の獣、いや、一匹の獣と獣擬き。
「今夜事態が動く。目星は付けているか?」
「ウォホン!!」
「……」
其々に反応を示すもの達。事と次第によっては今すぐに行動をするべきだろう。
「急いで奴の隠れている場所の調査、又は変装している者を確かめて知らせてくれ。事態は事を急する。もし奴が逃げ出そうとした場合はこれを使え、”叫びの屋敷”に繋いである。転移先には捕縛結界が張ってあるから逃げられまい」
俺は彼らに札を渡す。どちらが奴に鉢合わせても対処できるよう、自動で動くように細工してある。獣擬き、シリウス・ブラックは兎も角としてこの子は真正の獣体だから手は使えない。ゆえに細工を施してある。
それに、ペティグリューがこの城の中にいることは、休み明けひと月の間に判明している。本来はもう少し時間を掛けるつもりだったが、この際強硬手段を取らせてもらうとしよう。
「なら行ってくれ。パッドフット、勢い余って奴を殺すなよ?」
「ウォン」
奴は一声吼え、もう一匹と共にこの場を後にした。さて、俺は校長のもとに行くとするか。
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「……というわけだ」
「そうか……困ったのぅ」
俺の報告に、心底困惑したダンブルドアが顎に手を当てる。正直な話、予言を行ったその日のうちに予言が真となる。加えてその予言はハッキリ言って悪いもの。困惑するなというほうが無理がある。
「ハッキリ言う。今回事と次第によっては俺は全力を出す。戦う場所と規模によっては更地が生まれる可能性もあるだろう」
「それほどのものなのかのぅ?」
「俺も曲がりなりにも英雄に名を連ねる者だ。戦闘は相応の規模になる。相手が理性の欠片もない黒化英霊であればな」
「そうか…」
顔をしかめるダンブルドア。
「出来るだけ学校に被害が及ばないようにする。しかし今晩中に何とかせねば意味はないだろう」
「……相分かった。ぬしに任せよう」
「了解した。ついでにペティグリューに関することも何とかする。大臣を呼んでくれ、あとスネイプに自白剤を持ってくるように伝えてくれ」
「承知、すぐに動こう」
文字通り羊皮紙を取り出し、何やら書き始めるダンブルドア。恐らく書状だろう。
「一つ思ったのだが」
「なんじゃ?」
「気が進まないが、奴を煽てるような文面なら乗ってくるんじゃないのか?」
「そうじゃな」
ダンブルドアはもう一枚羊皮紙を取り出し、新たに何やら書き始めた。まぁこれで大丈夫だろう。
「今日は準備に時間をとる。午後の授業はサボりにしていい」
「そこらは考慮しよう。頼んだぞ、シロウ」
「承知」
さて、俺も準備するか。
はい、ここまでです。
今週は諸事情により、これ以上の更新は致しません。
早くて来週にデレマスかハリポタを更新します。
もしかしたら来月三巻内容が完結するかもです。