今回は少々グダグダになってしまいました。
それではごゆるりと。
ダーズリーの家を出発した後、私とイリヤさんは「
でも楽しい時間はそこまで。漏れ鍋に着いたら、私だけ別の部屋に通された。そこには小太りで私と大して変わりない身長の中年の男性がいた。確か魔法省の大臣だったかな?
「やぁ、初めましてかな? 私はコーネリウス・ファッジ、魔法大臣だ」
いや、知ってます。しかも相変わらず偉そうな人。
「君に関してだが、今年はちょっと非常事態でね。とある脱獄犯が君を狙っているんだ」
いやいや、単刀直入にもほどがあるでしょう。というか、今更命を狙われているといわれてももう慣れちゃったよ。
「シリウス・ブラックというんだが、気を付けてくれ。出来る限り、こちらも迅速に対応するから安心したまえ」
そう言って私は部屋から出された。というか偉そうな態度で矛盾したこと言われても…ねぇ。
まぁいいや。それより晩御飯がまだだから下の食堂に行こう。私はそう思って食堂に降りると、そこには久しぶりの顔ぶれがあった。
「やあマリー、久しぶり」
「マリー、久しぶりね」
「「ようマリー久しぶりだな」」
ウィーズリー四兄弟妹がいた。隣にはハーマイオニーもいる。そして……
「一週間ぶりになるか、久しぶりと言うべきか?」
「ん~違うんじゃないかな? 元気そうだねシロウ、ところで…」
シロウの後ろに立っている二人は誰だろう?
「あら? この子がイリヤの言ってた子? なるほどね」
「ね? 私の言っていた通りでしょ?」
「本当ですね。初めまして」
イリヤさんの両隣にいる二人の女性、とっても綺麗だ。
「こんばんは。私は凛よ」
「桜です」
「あ、初めまして、マリナ・ポッターです。あなたたちは…」
「ん? ああ私たちはね」
「三人で士郎さんの妻をしています」
「私とサクラ、リンでね」
……ハッ!!
今とんでもない爆弾を落とされなかった? 妻が三人? なんてハーレム……。
「あら初めまして、モリ―・ウィーズリーです」
「夫のアーサーです」
早い!! ウィーズリー夫妻順応が早い!!
ところで、先ほどから私の足元で尻尾を振っている黒い犬は何だろう? 誰かの飼い犬かなぁ?
「貴様、先ほどから黙っていれば。部屋で待っていろと言っていたはずだが?」
「ウォン!!」
シロウの言葉に元気よく返事する黒犬。心なしか、口元が人のようににやけている気がする。なんだか人間っぽい犬だなぁ。なんかシロウも引き攣った顔をしてるし。
「貴様……いい度胸しているな」
「ウォホンッ!!」
あー。この犬、明らかにシロウを挑発をしてる。
そんなこんなで夕食をみんなで摂った。明日みんなで学用品を購入することで決定し、私たちはそれぞれの部屋に戻った。あ、そういえばシロウにファッジに言われたことを伝えないと。もしかしたらリンさんたちにも良い意見が聞けるかも。
思い立ったが吉日。私は部屋を出てシロウの部屋に向かった。戸口の前に立ってノックをする。
「……誰だ」
「私、マリーだよ。ちょっと話があるんだけど大丈夫?」
「問題ない。入っていいぞ」
シロウに許可をもらったので、部屋に入る。みると部屋にはエミヤ夫妻が勢揃いしており、床には大きく複雑な魔法陣が書かれていてってええええ!? ここ宿!! 宿だから、部屋は借り物だからね四方ぜんはんい!!
「ああこれ? これは今から使うから安心して」
いや、安心できないからね!? って、今から使う?
「待て、その前にマリーの話を聞こう」
「あ、うん。ありがとう」
それから私は事のあらましを話した。ファッジの忠告、ブラックのこと。ただブラックのことを話したとき、床で寝ていた犬がビクッてしていたのが気になったけど。
「……というわけなんだけど」
「そうか」
「お偉いさんの言うことは、どこに行っても変わらないものね」
リンさん、結構辛辣ですね。否定はしないけど。
「結論から言えば、ブラックに関しては心配ない」
「え?」
「いろいろと当時の魔法省の言っていたことと調べた証拠が矛盾していてな。もしかしたらブラックが冤罪にかけられているのかもしれんのだ」
「冤罪ね。まぁシロウがそういうなら」
とりあえず胡散臭い大臣よりシロウの言うことの方が信用できる。彼が冤罪の可能性があるというのならそうなのだろう。
「ところで、この魔法陣は?」
「ああこれか。桜、説明を頼む」
「はい」
シロウに呼ばれた綺麗な女性、サクラさんが一歩前に出てきた。一つ一つの動きが本当に綺麗だなぁ。イリヤさんとはまた違った優雅さがある。
「この魔法陣で今からある儀式をします。成功すれば、あなたと士郎さんは今まで以上の繋がりができるわ」
「一種の契約みたいなものを、士郎との間に結ぶ形になるわ。それに伴い、体のどこかに印が出ると思う」
契約、かぁ。小説に出てくる、使い魔との契約みたいなものしますかなぁ?
「似て非なるものね。ま、とりあえずやるわよ」
「士郎さんはそこに、マリーちゃんはそこに立っててね」
「シロウには説明してるわ。あとはマリー、私の言う呪文を繰り返してね。杖で魔法を使うように、言葉に魔力を込めて」
「はいッ」
うう、緊張してきた。こういう、いかにも魔術師ですっていうことしたことがないからなぁ。寝ていた犬も起きてこっちを見てるし。
「準備はいい? じゃあ、始めるわよ」
私たちを三角に囲むようにして立ったイリヤさんたちは目をつむり、意識を集中させ始めた。すると魔法陣は淡い青の光を放ち始め、明かりの消された部屋を柔らかく照らした。
そして私はイリヤさんの言葉に倣い、詠唱を始めた。
――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
「世界」の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。
詠唱を始めると、魔法陣の光は徐々に強くなり、どこからともなく渦を巻くように風が吹き始めた。
――――誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
――――されど汝はその眼を混沌に染めることなかれ。
汝弱きを護り、強きを下す者。
汝無限の剣を担いし英雄。
汝三大の言霊を纏う七天。
我が意に従え、天秤の護り手よ。
さすれば我が命運、汝の剣に預けよう。
詠唱が終わる頃には光はとても強くなり、部屋には突風が吹いていた。その中、私の真正面に立つシロウは目を開け、はっきりと結びの句を紡いだ。
――――錬鉄の英雄の御名において、その誓いを受けよう。
これより我は汝を護りし弓となり、汝の敵を穿つ矢となる。
契約はここに完了した。
シロウが言葉を紡ぎ終えると陣は一度目も眩むほど強く光り、陣を構成していた線もろとも飛散して消えた。同時に私は何かの胎動を感じ、胸元、丁度最近成長が始まったバストの谷間あたりが赤い仄かな光を放った。
気になったので確認すると、そこには三本の剣が交わったかのような形の、入れ墨のような模様があった。
「成功したわね」
「マリーちゃん、その胸のは令呪と言って、三度きりの絶対命令権よ。対象は士郎さんね」
「は、はい……」
正直何がなんだかわからない。
「まっ、今は色々あってパンクしそうだし、明日説明するわ」
「は、はい…」
イリヤさんの心遣いは正直とてもありがたい。もう色々あって疲れた。
「明日、朝食を食べたらこの部屋にいらっしゃい。出かけるまで説明してするから」
「今晩はゆっくりと休んで下さい、マリーちゃん」
「よろしくお願いします。……みなさん、おやすみなさい」
明日の確認を終わらせた私は、部屋に戻り、ベッドにダイブした。いやはや、本当に濃い1日だった。
はい、ここまでです。
本当にグダグダですみません。次回はディメンターデビューです。
それではまた。