錬鉄の魔術使いと魔法使い達   作:シエロティエラ

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はい、予告通りドラゴン編に入ります。

アンケート統計は依然変化なしです。


それではごゆるりと






13. ノルウェー・リッジバック・ドラゴン

 

Side シロウ

 

 

 

「さて、私がいない間に調べれた?」

 

目の前には休暇から帰ってきたハーマイオニーがいる。顔を見るかぎり親との時間を満喫してきたようだな。オレはどうだったろうか? ちゃんと子供たちと過ごす時間を作っていただろうか? 戦場での暮らしが長すぎてあまり思い出せない。そうだな、今度あの子らがこちらに来たとき時間を作るとするか。

さて、そろそろロンに手を差し伸べてやるか。まぁマリーやオレはともかく、ロンはすっかりニコラス・フラメルと賢者の石について忘れていたみたいだし、今のハーマイオニーはさぞかし般若のように見えているのだろう。

 

 

「まぁ今はその辺でな、ハーマイオニー。君もそうだがまだまだ遊びたい盛りの子供なのだ。むしろロンのような子が普通だろう? まぁ頼まれ事を失念するのは誉められたことじゃないが」

 

「…………クドクドクドクド、ええそうね。そろそろ許してあげましょう」

 

 

助かった、という顔をしているロンを置いてオレたちは情報交換をしたが、賢者の石に関してもニコラス・フラメルに関しても基本的に情報量は変わらなかった。まぁ14世紀はまだ一般にも魔法の類いが信じられていた時代、彼の者の話が広く伝わっていても不思議ではない。だが賢者の石に関してはもしかしたら詳しく書かれている本があるかもしれない。そう結論付けたオレたちは、図書館へ移動した。

図書館で意外な人物に出くわした。ハグリッドが何やら本を2、3冊抱えて出てきたのだ。正直ハグリッドは本とは無縁の人と思っていたから驚きは大きい。ロンがハグリッドに話しかける。

 

 

「やあ、ハグリッド。何してるの?」

 

「おお、お前たちか。ちょいとな、調べものを。それからシロウ、お前さん何か失礼なことを考えちゃおらんか?」

 

 

…………なんでオレの回りにはこんな妙に鋭い人たちばかりなのだ?

 

 

「いや、何も考えておらんよ」

 

「…………そうか、ならええ。じゃあな」

 

そう言ってハグリッドは逃げるようにこの場を去っていった。怪しいな。何かを隠している。言っては悪いがハグリッドはその性格のせいか、隠し事が下手だ。あんな動きをしていれば明らかに、私は隠し事をしています、と言ってあるようなものだ。

 

 

「あれ、ドラゴンの本だ」

 

 

ロンが呟く。聞き捨てならない単語が聞こえた。

 

 

「ドラゴンだと? 待て、ドラゴンはこの星最古の幻想種ではないのか? この世界には普通にドラゴンが蔓延っているのか?」

 

「シロウどうどう、落ち着いて。チャーリー兄さんがルーマニアでドラゴンの研究をしているんだ。その関係でハグリッドの持っていた本を読んだことがあるんだよ」

 

「でもドラゴンって一般魔法使いの間じゃ取引禁止じゃなかった? 確か私が前読んだ本に書いてあったわよ?」

 

「君色んな本を読むんだね。恐らくハグリッドはどこかから手に入れたんだよ。でもハーマイオニーのいった通り、禁止されている。それにドラゴンその物を貰ったら、こんなこそこそしても直ぐにバレる。多分ハグリッドは卵を貰ったんだ」

 

「じゃあハグリッドは貰った卵をここで孵そうとしてるってこと?」

 

「多分そうだと思うよマリー。賢者の石は一端置いておいてハグリッドのところへ行こう」

 

「そうだね。ところででロン?」

 

「なに?」

 

「こんな大声で話していい内容だっけ?」

 

「え? あ、不味い」

 

「心配ない、人払いはしていたから誰にも聞かれていない」

 

「あ、ありがとうシロウ……って人払い?」

 

「なんでもない、ハグリッドのところに行くのだろう? なら急ごうか」

 

「…………何だかはぐらかされた気がしないでもないけど、今は急ぎましょう」

 

 

ふぅ、危ない。人払いの結界を張ってはいたが、うっかり口が滑ってしまった。これはオレもハグリッドのことを言えないな。さて、さっさと移動するか。

 

 

 

 

 

 

 

 

Side マリー

 

 

 

私達は今ハグリッドの家の前にいる。時間帯は夕方、まだ夕食までは時間がある。ロンが先頭に立ってノックをした。

 

 

「ハグリッド、今いい?」

 

「あ? ロンか? てぇことは他の三人もいるのか?」

 

「ええ、そうよ?」

 

「ああー、その……今は…………まぁええか。入れ」

 

「「「「お邪魔します(邪魔する)」」」」

 

 

小屋に入ると熱気が私達を襲ってきた。よく見ると暖炉の火ががゴウゴウと燃え盛り、鍋の中の何かを熱している。そして机の上には図書館のものだろうドラゴンの本が置いてあった。ということは、あの鍋に入ってるのはロンの予想通り、ドラゴンの卵ってことだ。

 

 

「ハグリッド、その鍋に入ってるのはなに?」

 

「あー、まぁええか。パブで貰ったもんだ。ドラゴンの卵」

 

「やっぱりそうか。ねぇ、まさかと思うけどここで育てるつもり?」

 

「ああー、その……お? もう孵るのか?」

 

 

ハグリッドは熱い熱いと言いながら鍋の中から黒い大きな楕円をした球体を取りだし、机の上に置いた。卵らしきものは内側からコツコツと音を立てている。そして大きく皹が一つ入ったあと、黒い小さなドラゴンが一体孵化した。

 

 

「…………まさか人生で見た数少ない幻想種の種類にドラゴンが加わるとは」

 

 

シロウが感慨深げに呟いている。確かに私も驚いている。

 

 

「ところでハグリッド、このドラゴン種類は何?」

 

「これはノルウェードラゴンの一つでな。確かノルウェー・リッジバックだったかな?」

 

「ノルウェー・リッジバック!? ハグリッド、それってとても凶暴なドラゴンなんだよ!!」

 

 

ロンがハグリッドに、兄のチャーリーのところに預けるように説得し、ハーマイオニーもそれに加わった。私とシロウは完全に蚊帳の外になっていた。仕方がないから今のうちにドラゴンをよく見とこうと視線を戻したら…………赤ちゃんドラゴンがいつの間にか私に引っ付いていた。そして出来るだけシロウから距離を置こうとしていた。そしてドラゴンは私のシャツとセーターの間に入り込んで顔だけを出した。

 

 

 

…………あれ? 何か私、この子に懐かれちゃってる?

とりあえず頭を撫でると気持ち良さそうに目を細めていた。

…………可愛い。

 

 

「…………だからこのドラゴンは危険なんだって!! 大丈夫だよ、チャーリーはそんな酷いことをするようなひとじゃないから」

 

「私もロンに賛成よ。ドラゴンって最終的にはとても大きくなるんでしょう? そうしたらハグリッドはどうするの?」

 

「…………じゃがこの子は生まれたばかりだぞ? この子も今は親と……一緒が…………」

 

 

あ、ハグリッドがこっちを見て固まった。仕方がないだろう。だって赤ちゃんドラゴンは孵した本人ではなく私に懐き、加えて大人しく今は私の膝の上で丸まって寝ているのだ。固まらない方がおかしい。

でも大きくなったらそうも言ってられないだろう。今は可愛くても大人なれば危険になる。なら今のうちにしかるべきに場所に預けるのが得策だろう。

 

 

「ねぇハグリッド?」

 

「…………なんだマリー?」

 

「ハグリッドの気持ちはよくわかるよ? この子生まれたばかりだし、可愛いし」

 

「おおマリー、お前さんはわかってくれるか! なら…………」

 

「でもそれは今だけ。この子が大人になったら危険なことには変わりないよ? ハグリッドのことだから自分が躾るって言うと思うけど、ハグリッドは私たちと同じでドラゴン初心者でしょ?」

 

「…………じゃが」

 

「なら、ちゃんとドラゴンのことをわかっている人に預けるのが一番じゃない? 何も今後二度と会えないって訳じゃないんだしさ」

 

「…………」

 

 

結局ハグリッドは暫く唸っていたけど、渋々了承した。うん、やっぱりこういうのは専門家に任せるのが一番だね。それにしても、このドラゴン可愛いなぁ。鱗が固いからモフモフはできないけど。うん、来年梟じゃなくて蜥蜴をペットにしようかな。

 

 

 

------

 

 

 

数日後にチャーリーさんからロンに手紙が届いた。どうやら今度の金曜日の夜に、ホグワーツに秘密裏に受け取りに来るらしい。ハグリッドはその間だけドラゴン、ノーバートって名前にしたらしい、の世話をすることになったけど、髭や髪の毛をちょいちょい焦がされちゃうみたい。私が行くと膝の上に乗ってスヤスヤと眠るのに、変なの。

それで予定の週末が来たけど、問題が生じた。透明マントには体の大きさの関係上、三人までしか入れなかった。そこにシロウが、

 

 

「オレはマントが無くてもある程度は大丈夫だ。だから君たち三人が被るといい」

 

 

そう言ってシロウが目をつむって暫くすると、不思議なことに目の前にシロウがいるのに、そこにいないような感覚になった。これなら大丈夫だろうと思い、私達は出発した。途中先生の一人とすれ違ったけど私達は勿論、なんと堂々と歩いていたシロウまで素通りされていた。何をしているのか知らないけど、これで本当に安心して行動できる。私達は指定された場所に急いで向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

Side シロウ

 

 

ロンの兄であるチャーリーの遣いにノーバートを渡したのち、オレたちは寮に戻るために引き返した。

ッ!! 不味い、あいつら油断して透明マントを忘れている。オレは急いで来た道を戻り、透明マントをとってまたマリーたちのもとへ戻った。だがときは既に遅し。彼女たちは寮監であるマグゴナガル捕まっていた。大蔵ご立腹の様子だった。そして気になったのがその横でニヤニヤと嫌な笑いを口元に浮かべているマルフォイの姿だった。

なるほどな。大方マルフォイがどこかから情報を仕入れ、マグゴナガルに告げ口をしたのだろう。だがあの顔は完全に自分のことが眼中にないな。夜中に抜け出したのはお前も同罪だろうに。

オレはマントを懐にしまいこみ、殺人貴に教わった気配を出来るだけ殺す呼吸法と認識阻害の結界を解いてマグゴナガルのもとに向かった。夜中に抜け出したのはオレも同罪だからな。

 

 

 

 

 






はい、ここまでです。


本当は説教まで入れる予定でしたが、ここが切りがいいと思ってここまでにしました。

それにしてもマリーさん、色んな生き物に好かれてますね。マージ叔母さんのブルドッグは例外ですが。
そしてここでも嫌われてしまうシロウさん。魔法生物学では大丈夫なんでしょうか?

さて、次回は罰則の禁じられた森です。

次はこの作品かfateの方を更新するかは決めていません。
先に書き上がったほうを更新します。
下書きが終わったら活動報告にて更新する方を連絡します。


ではこの辺で



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