錬鉄の魔術使いと魔法使い達   作:シエロティエラ

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試合後半戦です。

そして現在のアンケート集計は

現状維持: 2票
ポニテ付加: 2票
アーチャースタイル: 2票

と拮抗状態です。
まだまだ受け付けておりますので、奮って投票下さい。
無論、アンケートにのってない項目を提案することも大丈夫です。


それではごゆるりと。







10. Games end. And.......

 

 

 

Side シロウ

 

 

一瞬懐かしくも恐ろしい雰囲気がマリーから感じられたが…………気のせいだろう…………気のせいだと思いたい。オレと関わる女性がみんなアクマになるなんて考えたくもない。

 

まぁそれはそれとして。先程から気になっていたが、クィレルの様子がおかしいな。一心に一点を無表情に見つめている。何をしているのだ? あの目、まるで何かに暗示をかけているような…………。

そこで回りから悲鳴が聞こえ、ある一点を皆は指差していた。オレもそちらに目を向けると、マリーが箒のコントロールを失っていた。いや、正確には違うだろう。マリーが箒のコントロールを失ったのではない。誰かがマリーの箒に干渉して箒から落とそうとしている。まさかな…………。

そう思い、再びクィレルのいた観客席を見ると、近くのスネイプが何やらブツブツと呟いていた。クィレルは相変わらず無表情にマリーを見つめているもう一度マリーを確認すると、箒の動きが収まりはじめていた。恐らく、クィレルとスネイプのどちらかが箒に干渉し、もう片方が解呪しているのだろう。正直、今までの様子から、前者がクィレル。後者がスネイプと判断できる。

だが目的がわからん。それになんとか穏便にことを済ませる必要がある。どうすればいい。

と、ここで隣で観戦していたロンとハーマイオニーの会話が聞こえてきた。

 

「思った通りだわ」

「何がだよ?」

「スネイプよ、見てみなさい」

「ハグリッド、双眼鏡借りるよ」

「うむ」

 

ロンが双眼鏡を覗きこむ。

 

「何かしている…………箒に呪文をかけてる」

「だとすれば僕達はどうすればいいの?」

「私に任せて」

 

そう言ってハーマイオニーは自分の席を離れ、スネイプの元に向かった。二人ともクィレルまでには目が向かなかったようだな。だが、今の状況を打開できるのなら任せよう。オレが手を出すと確実に負傷者が出かねん。今はハーマイオニーを信じるとしよう。

しばらくすると、スネイプたちの観客席で騒ぎが起こった。口の動きを見るに、どうやら小火騒ぎらしい。クィレルとスネイプの両方の目がマリーから逸れた。同時にマリーは片腕で捕まっていた箒に乗り直し、一直線に加速した。

あの状況でもスニッチを探し、尚且つ体制を立て直した直後に捕まえに行くとは。ある意味精神面がしっかりしているな。スリザリンのシーカーも漸く気付いたようだが、遅い。既にマリーがスニッチを捕まえられる距離にいる。

む? あれはマーカスか。またマリーにタックルを食らわせたな、懲りないやつめ。今度ばかりはマリーも地面に投げ出された。だが幸い地面すれすれの高さだったため、怪我しても擦り傷程度だr…………ん?

何をしているのだ、マリーは? 口を押さえて、吐くのか? この場で? いやまさかな…………。だがマリーはその場で吐いた。

 

 

黄金に光るスニッチを。

 

 

 

『マリー・ポッターがスニッチを掴んだ!! グリフィンドールに百五十点追加!! 試合終了です、二百四十 対 九十 でグリフィンドールの勝利!!』

 

「あいつは掴んだんじゃない、飲み込んだんた!」

 

マーカスが喚いているが、マリーは何もルール違反をしていない。むしろ今の発言はスリザリンチームの首を絞めかねんぞ? 何せ自分達の所業を棚にあげた発言だからな。それ見ろ、フーチ先生に叱られた。

やはり悪いことはすべきではないな。

しかしあのとき、クィレルは何をしていた? 何やらキナ臭くなってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side マリー

 

 

 

「スネイプだったんだよ、僕たち見たんだって」

 

試合のあと、私の箒がおかしくなったことについて、ロンとハーマイオニーから、ハグリッドの小屋で説明を受けていた。シロウは横で黙って聞いている。ハグリッドも一緒にいる。

 

「ハーマイオニーも見たんだ、君の箒に呪いをかけてたんだよ」

「馬鹿な、スネイプはこの学校の先生だぞ? なぜマリーに呪いをかけなきゃならん?」

「僕たち見たんだよ。ハロウィンの日の夜にに、スネイプが足に怪我していたのを」

「ええ、きっと三頭犬の裏をかこうとして噛まれたのよ。何か知らないけどあの犬が守っているものを盗ろうとして」

 

ハグリッドがビクリと大きく震えた。

 

「なんでフラッフィーをお前さんたちが知っとるんだ?」

「待て、三頭犬とはなんだ? 三つ首の犬がこの城にいるのか? ケルベロスのような?」

「あ、そういえばシロウにはいってなかったね」

 

そして私はロンとハーマイオニーの推測を聞き流しながら、シロウに事の次第を説明した。

ハロウィンの少し前に、グリンゴッツに強盗が入ったけど、襲われた金庫は既に空だったこと。その金庫は、私とシロウがハグリッドと一緒に行った、小さな小包しかなかった金庫だったこと。それから真夜中に抜け出したときに道に迷い、偶然入り込んだ部屋が立ち入り禁止の部屋だったこと。そこにいたのが三つ首の犬だったこと(可愛いと思ったのは内緒)。そしてその足元に引き戸があったこと。偶然とは思えないことを、要点を纏めながらシロウに説明した。

話を聞いたシロウは暫く考えていたけど、何も言わずにただ、

 

「わかった」

 

とだけいった。そして私と一緒にハグリッドたちの所に戻った。

 

 

━━ ……………………ったギリシャ人のやつから買ったんだ。そして俺がダンブルドア先生に貸した、守るために……」

「「何を?」」

「もうこれ以上聞かんでくれ、重大機密なんだ。」

「でもハグリッド、スネイプがそれを盗もうとしたんだよ?」

「だからそれはないと言っとるだろう?」

「ハグリッド、知ってる? 呪いをかけてい時はね、対象から目を逸らさないのよ? 私たくさん調べたからわかるの」

 

ハグリッドもロンたちも一歩も譲らない。

 

でも待って?

目を逸らさないのが必要条件の一つとすれば、近くにいたクィレル先生にも当てはまるんじゃ? あのとき、箒にぶら下がりながら周りを見ていたけど、スネイプ先生はもちろん、クィレル先生もこちらを一心に見つめていた。いつものオドオドした感じじゃなく、なんだか物凄く冷たい目をしながら、瞬きせずに私を見ていた。

 

もしかすると、私達とんでもないことを見落としてるんじゃ…………

 

 

「いいかお前さんたち、よく聞け。お前さんたちは知らんくていいことに首を突っ込んじょる。フラッフィーのことについてはもう忘れるんだ。」

「「でも……」」

「なんでマリーの箒があんな動きをしたかは知らん。だがスネイプ先生は生徒に手を出すようなことは絶対せん。フラッフィーが守っているものについても忘れるんだ。あれはダンブルドア先生とニコラス・フラメルだけが……」

「「ニコラス・フラメルって人が関係してるんだね(のね)?」」

 

そう言ってロンはシロウを、ハーマイオニーは私を有無を言わさず引きずっていった。

 

 

…………ハグリッド。もうちょっと口を固くした方がいいと思うよ? 自分に腹を立てるのはいいけど、それなら改善しなくちゃ。あとロンとハーマイオニー。二人ともお茶とお菓子を貰ったならお礼言わないと失礼だよ? それに私、まだ飲みかけだったのに、もったいない。

 

仕方ない、今度ハグリッドの小屋にいたファング、少し大きな黒いハウンド犬をモフモフしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 






はい、今回はここまでです。

マリーさんは、思い立ったら吉日、という思考ではなく、先ずは情報整理をしてから判断、行動するタイプです。
これはシロウが身近にいたからこそでしょうね。


さてさて次回からは、クリスマスとみぞの鏡編です。
いよいよ物語もキナ臭くなってきましたね。


ではこの辺で

これからも本作品をよろしくお願いします。







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