さて、およそ二か月ぶりの更新と相成りましたが、正直ちょっと自己嫌悪におちいっています。
詳細は後書きに書いておりますので、まずは本編をどうぞごゆるりと。
無事にアンブリッジを撒いた私たちは、そのまま無人の小屋へと戻ってきた。そしてその前には、ロンとジニー、そして何故かネビルと見覚えのない金髪の子がいた。
「みんなどうしたの? それとその子は何方?」
「君たちがアンブリッジと一緒に森に入ったって聞いて心配で……」
「この子はルーナ・ラブグッド、『P.T』のメンバーだった子よ。ネビルについてきたの」
ルーナと呼ばれた子はポウっとした表情のまま、私とハーマイオニーに挨拶をする。その様子に戸惑う二人であったが、しっかりと挨拶を返した。
「で、これからどうするんだい?」
「たぶんアンブリッジの部屋にはまだ親衛隊がいるでしょう。幸いって言っていいのかわからないけど、アンブリッジは森の中を彷徨っているわ」
「その隙に、もう一度『煙突飛行』を使う。アンブリッジがいない今、彼女のネットワークの監視は意味を為さない」
「じゃあ寮の煙突でもできるわけだ」
そう結論を出した私たちは急いでグリフィンドール寮に戻った。
談話室には誰もおらず、懐に入っていた「
「グリモールドプレイス十二番地!!」
地名を叫ぶと、視界が目まぐるしく変化していく。頭だけが、せまっ苦しいパイプを遠ている様な感覚を経て、やがて一つの暖炉から顔を出しているような状態になった。
因みに言うと、これは「部分煙突飛行」と呼ばれるもので、ちょっとしたことを報告したり、手渡したりするのに使える手段である。
暖炉から首を出した私は、薄暗い部屋を見渡す。一見誰もいなさそうな部屋、しかし物陰でゴソゴソと動く影を見つけた。その姿の膝丈程までの大きさからして、この屋敷のしもべ妖精クリーチャーだろう。
「クリーチャー、そこにいるの?」
私の問いかけに一度肩をびくつかせた後、その影は私の許へと近寄ってきた。予想通り、年配のしもべ妖精だった。
「……マリナ・ポッター。何故この屋敷に顔を出した」
「ええ、ちょっと貴方に伺いたいことがあって」
「……お前は他の者どもとは少し違う。内容によっては応える」
「ありがとう。この屋敷に、シリウスさんはいるかな?」
「……ご主人様は
おかしい。屋敷にいるのかという問いに対し、「ここにいない」という返答。この場合、「屋敷にいない」のか「この部屋にいない」のか、その両方の意味合いで受け取ることができる。これは少し踏み込むしかない。
「いいえ、今一つ増えたわ。差し支えなければ、彼がどこにいるか教えてもらえないかしら?」
「……クリーチャーは答えられない。もういいか? クリーチャーは忙しいのだ」
「え? ちょっと待って? もしかしてこの屋敷にいないの?」
しかし私に返答することなく、クリーチャーは部屋から出ていった。結局得られた情報は、シリウスがこの場にいないということだけだった。
生憎シロウと違い、私とシリウスさんでは通信や念話をできる様なアイテムやラインはない。だから彼の安否を今すぐ確かめる方法が無いのである。
私の予想が正しいのならば、試験中に見た夢で拷問されていたのは、シリウスさんで間違いない。そしてヴォルデモートが求めるものの秘密を、何かしら知っているから捕まった。
そう考えると、クリーチャーの発言も何かしら想像をすることができる。クリーチャーは脅されているか、はたまたブラック家の血筋のものに収賄紛いのことをされているか。それならば、あの返答にも納得がいく。
戻ってきた私は直ぐにローブから私服に着替え、寮から出た。出来るだけ人目が付かない場所から出発するために、再び森のほうへ向かうと、何故かみんなが付いてくる。
「マリー? どうしたの?」
「……シリウスが捕まったかもしれない」
『ええ!?』
「まだ可能性の話だけど、ヴォルデモート視点で拷問されている夢を見た。クリーチャーに確認してもシリウスがいないことしかわからない」
「それって罠の可能性は?」
私の報告にハーマイオニーがそう言う。横にいるロンとジニーも、同意するように頷いている。勿論その可能性を私も考えたが、もし本当に人質に取られたとしたら、もはや一刻も争う事態なのである。
「それは考えた。でも予想が本当なら、早く助けないといけない」
「助けるって、どこに行く気よ?」
「……魔法省。周囲の装飾を確認する限り、たぶん神秘部に囚われてるかもしれない」
「そんな、敵の本拠地に攻め込むようなものじゃない!? 今の魔法省は貴女を魔法省から排除しようとする人たちばかりでしょう?」
「うん。だから私一人で行く。本当にこれ以上は私の我儘に付き合わせれない」
「そんな!?」
一人で行こうとするを私を、みんなが引き留めた。そして口々に、私に同行すると言い始めた。そしてその中の一人であるルーナ。何分あの集まりのメンバーとは聞いたものの、ここまで付き合う理由がない。今日が初対面みたいな少女が、私の都合に付き合う義理はない。
「ねぇルーナ? なんで私に着いて来ようとするの? これは私の我儘なのに」
「わたし? 私が付いていきたいのは私のためだよ?」
「ルーナのため?」
「お母さんが言っていたわ。迷ったら自分の心に素直になりなさいって。私は貴女を手伝いたいって思った。だからそれに従うのよ」
口元に微笑を浮かべながらそういうルーナ。他のみんなも口を開かないけど、彼女と同じ思いなのだろう。真っすぐに私を見つめている。何度も説得しようとしたけど、結局は私が折れることになってしまった。
「で、みんなで行くのはいいけど、どうやって行くの? 私一人なら箒で行こうと思っていたけど」
「たぶん大丈夫じゃない? ほら見て」
ここでなぜか私たちと一緒にいたルーナが、森のほうを指差す。みんながそちらに目を向けると、森から七匹ほどにセストラルが出てきた。どうやら先ほど森を移動しながらついたかすり傷から、血の匂いがしていたらしい。私の頬に近づけ、舌で舐めだした。なんだかえもいわれぬ感触に襲われ、一瞬だけ身震いする。
「それで、何がいるんだい?」
「みんなには何が見えているの?」
ロンとジニーが私とルーナ、ネビルを見つめて聞いてきた。そう言えばセストラルは見える人と見えない人がいるのだったか。とりあえず私含めてロン、ハーマイオニー、ジニー、ルーナ、そしてネビルの六人のため、セストラルの数は足りている。見える人は自分で乗り、見えない人は私たちが誘導して触れさせ、騎乗させた。
念のため、気配遮断の魔法を全員にかけて回る。セストラルは死を見る以外に、魔法使いであることが視認の条件だ。それはスクイブであろうとマグル生まれであろうと関係ない。だから街中を飛んだり、道に待機させても問題はあまりない。
「えっと、魔法省外来入口でお願い。……わかるかな?」
私は行き先を指定したけど、暫くセストラルは動かなかった。行き先分からなかったかな。
そう思ったのは束の間、セストラルは一声嘶くと、その竜のような翼を広げ、一気に上昇した。その速さと安定性は二年前に乗ったヒポグリフの比ではなく、まるで箒に乗っているような感触だった。
この時の私には、もう一度煙突飛行を使い、屋敷に全身で訪問するという選択肢を忘れてしまっていた。そしてもう少し思慮深ければ、あのような思いをしなくて済んだのだ。
はい、ここまでです。
ルーナとのファーストコンタクトは原作とは大きく乖離し、こんな終盤になってしまいました。
同行する理由ももっともらしいものを書いていますが、たぶん突っ込みどころ満載かもしっれません。
さて前書きに書いた自己嫌悪の内容ですが、私の更新方法にあります。
前話までは全てアウトライン制作、それをもとに下書き、投稿執筆過程で削除追加しておりました。
しかし以前どれかの小説でも述べた通り、それらすべてのデータが紛失、消去されてしまいました。そのため、私の投稿しているダンまち小説と完結小説以外の全ての更新予定内容が大元から変更されています。
今回のこの話も覚えている限り元に寄せて書いておりますが、内容は思い出せずとも元から変わっているという場面もございます。
勿論読者様は「そんなこと知る由なし」と思われるかもしれませんが、これは少々更新速度にも影響を及ぼしておりまして。
今まで以上の亀更新、不定期更新となってはしまいますが、どうぞ私めの拙い小説を
よろしくお願い致します。