錬鉄の魔術使いと魔法使い達   作:シエロティエラ

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遂にハロウィーン編がキタ━(゚∀゚)━!

私のなかでは印象的な場面の一つです!

今回少しオリジナル要素をいれています。

それではごゆるりと。







5. ハロウィーンの夜に

Side マリー

 

 

次の日の朝、ロンに挨拶したらすごく丁寧に返された。具体的には、

 

 

「おはよう、ロン。よく寝れた?」

 

「おはようございます、マリーさん。今日も天気がよろしいですね。ええ、ぐっすりと眠ることができました」

 

 

って感じ。そしてロンはまるで菩薩のように柔らかい笑みと雰囲気を纏っていた。

 

何があったの?

そう言えば昨晩、寝る前に男子部屋から「殴ッ血KILL!!」って声と誰かの悲鳴が聞こえてきたなぁ。まるでダドリーがシロウに悪さをして説教を受けたときのよう……な…………え? まさかね?

 

結局ロンはそれから一週間、悟りを開いたような雰囲気だった。あとその間に、少しだけハーマイオニーと仲良くなれた。そしてシロウともハーマイオニーは仲良くしてた。

何があったかは知らないけど、やっぱりみんな仲良しでいる方が楽しいよね。

 

一月ほど何事もなく、ハロウィーンを迎えた。先輩たちの話では晩御飯がすごいらしい。楽しみだなあ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side ロニー坊や

 

 

 

おい! 誰がロニー坊やだ! 僕はロンだぞ、間違えるな!

 

まぁそれはさておき。午前中は普通に授業を受けたけど、午後の授業があまり気乗りしなかった。

妖精魔法の授業だったんたけど、レイブンクローとの合同だった。でも隣にハーマイオニーがいた。どうも好きになれないんだよなぁ、この子。

っと、先生が教壇に立った。それにしてもフリットウィック先生は小さいなあ。何でも妖精族の一人って話らしいけど。

 

「こんにちは、皆さん! 今日は浮遊呪文を練習しますよ? 皆さんの前に羽が一枚ずつ配られているでしょう。それを今日は魔法で浮遊させてみようと思います。杖の動きはビューン・ヒョイッ! ですよ? いいですかヒョイッ! ですからね? 昔ヒョイッ! ではなくショイッ! とやった生徒がいて教室にバッファローを呼びだしてしまいましたからね?」

 

 

そんな生徒がいたんだ。そして先生、声が高いね。

 

 

「呪文は『ウィンガーディアム・レビオーサ』です。では皆さん、やってみましょう! いいですかヒョイッ! ですからね?」

 

 

みんなが練習を始めた。よし僕も、

 

 

「ウィンガーディアム・レビオサー」

 

 

でも動かない。

やけになって杖を振るけど何も起こらない。とハーマイオニーが、

 

 

「ちょっと待って、ストップストップ! あなた呪文間違えてるわ。いい? 『レビオーサ』よ? あなたのは『レビオサー』」

 

 

と言ってきた。カチンときた。何だよ偉そうに。

 

 

「そんなに言うのなら自分がやってみろよ。ほらどうぞ?」

 

 

そういうとハーマイオニー一つ咳払いをし、呪文を唱えた。

 

 

「『ウィンガーディアム・レビオーサ』」

 

 

そして成功させた。あの得意気な顔、とても腹が立つ。

 

 

「オオー、よく出来ました! 皆さん見てください、グレンジャーさんがやりました! グリフィンドールに十点! グレンジャーさん、お見事です!」

 

 

何だか面白くない。急激にやる気がなくなった。

とここでもまたまたシロウがやってくれた。

呪文を完璧に唱え、杖も、いや短剣も正しく振るった。ここまではいい。ここまではいいんだ。

けど羽は高速で空中にあがって鋭利な形状になり、妙な金属光沢を放ちながら、まるで矢のように狙いを定めた。

そして今まさに呪文の失敗で爆発しようとしていたシェーマスの羽に向かって射出、射出されて羽を弾き飛ばし、机に刺さった。

 

うん、刺さった。見事に矢の様にに刺さった。スタンッ! って音をたててキレイに机に刺さった!

 

怖いよ! なに!? こないだの変身術といい、どうしてそうなるの!? おかしいでしょう! スッゴい攻撃的に魔法がかかってるじゃん!

本人に聞いてみたところ、変化させようとも射出しようとも思っていなかったらしい。

フリットウィック先生も驚きすぎて何も言えないみたいだった。

 

 

「…………なあハーマイオニー、マリー。オレ泣いていいかな。普通に羽を浮かべるだけなのにこんな攻撃的になるなんて」

 

「だ、大丈夫よシロウ。少し失敗しただけだって(汗)」

 

「そ、そうだよシロウ。魔法が使えただけでもラッキーじゃない。私なんてそもそも羽も動いてないんだよ?」

 

「オレ、いつか誰かを怪我させそうで怖い……」

 

「「…………」」

 

 

うん、同情するよシロウ。

 

 

 

 

 

 

 

 

Side シロウ

 

 

「『いい、レビオーサよ。あなたのはレビオサー』偉そうに、だからあいつ友達がいないんだよ」

 

 

授業が終わって寮に荷物を置きにいく途中、ロンがそういっていた。

だがあいつはその後ろに当の本人が、ハーマイオニーが後ろにいることに気付いていない。マリーがロンを諌めようとしたが遅かった。

ハーマイオニーは泣きながら足早に去っていった。流石にロンも気付き、ばつが悪くなったらしい。

微妙な空気のまま、大広間に向かうことになった。

しかし先程から胸騒ぎがする。今夜なにか起きる、そんな予感がする。一応もしものために布石を打っておこう。なにかあってからでは遅い。

オレは寮から持ってきた自分の魔力を込めた宝石を一つ取り出し、マリーに差し出した。

 

 

「マリー、少しいいか?」

 

「なに、シロウ?」

 

「いや、なに。少し胸騒ぎがしてな。君にこれを」

 

「これ、飴玉? じゃあないよね。」

 

「いや、違う。とりあえず、噛まずに飲み込んでくれ」

 

「え? う、うん。…………コクン。これ何なの?」

 

「オレの魔力を込めた宝石だ」

 

「ほ、宝石!?」

 

「問題ない。すでに体に取り込まれているはずだ。なにか流れを感じるか?」

 

「え? ん~と……あ、なんかシロウと繋がってる」

 

「簡易的に君とオレとの間にパスを繋いだ。念話であれば、この城程度の広さならどこでもできる」

 

「要するに、ホグワーツ内で私とシロウがテレパシーできるってこと?」

 

「そういう認識でいい」

 

 

━━ こんな感じでな

 

━━ おお、すごい

 

 

「なにかあったときはこれで伝えてくれ」

 

「うん、わかった」

 

「では大広間に行こう。ああ心配しなくても、心のうちまではわからないから安心しろ」

 

「はーい」

 

 

そうして食事と相成ったが、やはりハーマイオニーはいなかった。

何でもトイレにこもって泣いているらしい。ロンはさらに気分悪そうな顔をしている。

まぁそうだろうな。自分の言葉で人を傷つけたとなれ…………む!? 人外の気配だとッ!?

 

 

「トロールがぁぁぁあ!!」

 

 

そう叫び、クィレルが大広間にに駆け込んできた。途端、広間の中は静寂に包まれた。

 

 

「トロールが……校舎内に……お伝えしなければと…………」

 

 

そう言ってクィレルは地に倒れ、気絶した。

瞬間、大広間は混乱と悲鳴で満たされた。皆が逃げ惑い、収拾がつかなくなっている。いつもは動じないマリーも、流石におろおろしていた。

仕方がない。

変身術で作ったナイフを使うか。確認したが爆散させることが可能みたいで、破片も残らずに魔力に還るらしい。オレはナイフを天井に投げる。

そして、

 

 

 

 

壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)

 

 

 

 

ナイフを爆発させるのと、ダンブルドア校長が杖で爆竹を鳴らすのは同時だった。広間の中は一斉に静まる。

「生徒は速やかに寮に戻りなさい。監督生は下級生の引率を、先生方はワシと共に4階へ」

 

 

どうやら教師陣は侵入禁止の4階の部屋に行くそう。オレはダンブルドアとアイコンタクトを図った。彼はこちらに気付き、小さく頷いた。

パーシーが、

 

 

「みんなこっちに集まって! 焦らないで! みんな集まればトロールなど恐るるにあらず! さぁこちらへ! 僕は監督生だ!」

 

 

と言っていた。

下級生を安心させようとしているのはわかるが、戦闘経験の無いものがいくら集まっても余計な犠牲が増えるだけだろう。それにその発言は下手したら余計な慢心を生みかねんぞ?

 

まぁいい。それよりも今は、

 

 

━━ マリー、聞こえるか?

 

━━ なに、シロウ?

 

━━ すまないが、オレは一人で動く。監督生のパーシー・ウィーズリーにはごまかしといて……

 

━━ 待って、シロウ!私達も今別の場所にいる!

 

━━ なんだと!? どこにいる!

 

━━ 3階の女子トイレに! ハーマイオニーに知らせてあわよくば一緒に寮に行こうと! ロンも一緒にいるよ!

 

━━ わかった! すぐにそちらに行く! 嫌な匂いがしたらすぐに隠れることができる場所に身を隠せ! いいな!

 

━━ え!? あっ、ちょっ、シロ……

 

 

通信を一方的に切り、オレは走ります。トロールがどれ程の大きさと強さかは知らん。だが、一介の生徒が対処できるような類いの相手ではないことは自ずとわかる。

 

 

「シロウ! どこに行く! 戻ってこい! シロウ!!」

 

パーシーが叫んでいるが無視だ。それどころではない。

オレはマリーとのパスを便りに、女子トイレ向かった。

 

 

 

 

 

 

廊下を全力で駆け抜ける。T字路が見えてきたときに、嫌なドブの匂いと大きな影が見えてきた。あそこか!

 

T字路に差し掛かり、左を見ると、いた。灰色の肌をした、身長五メートルほどのトロールが棍棒を引きずりつつ、こちらを睨み付けていた。

よし、まだ女子トイレには行っていなかった。俺たちは互いににらみ合いながら止まっていた。周りに人はいない。ならば、手加減の必要はない。

 

 

 

『---刻印接続・起動(キースタンド・コンプリート)、---形態変化・守護者(スタートアップ・ガーディアン)。』

 

 

 

白髪は自然とかきあげられ、オールバックとなる。左手に持つは英雄トリスタンの『無駄なしの弓(フェイルノート)』、その贋作。慣れ親しんだ袖無しの革鎧に黒の外套。黒のレギンスにブーツ。ガーディアン・スタイル、起動完了。

 

それが合図となった。

 

トロールは雄叫びをあげ、棍棒を振りかざしながらこちらに突進してくる。巨体のわりによく動くが、無駄に図体がでかいから狙いやすい。

 

『---投影・開始(トレース・オン)

頭に描くは十二の剣の設計図。一片のムラもなく、完璧に描く。

 

 

--- 剣を弓につがえる。相手の間合いまで残り3秒 ---

--- 剣を捻り、細く長く作り替える。残り2秒 ---

 

--- 敵〔的〕を見据え、弓を打ち起こし、引き分ける。残り1秒 ---

 

 

 

トロールの間合いに入ると同時に弦を放れる。十二の剣弾は疾ッ! と飛び、外れることなく全てトロールに突き刺さった。

両太もも、両脛、両肩、両腕、腹、水月、喉、額。

 

 

「全十二射皆中。目標殲滅完了」

 

 

全てを射抜かれ、息絶えたトロールはドウッ!と音をたてて後ろに倒れる。これで問題ないだろう。あとはマリーのところn、

 

 

━━ シロウ!!

 

━━ マリーか、どうした?

 

━━トロールが女子トイレに!

 

 

何だと!? まさかもう一匹いたのか!?

 

 

━━ すぐに着く! 耐えていてくれ!!

 

━━ お願い! 急いで!!

 

 

間抜けかオレは!? いつトロールが一体だけど言われた!!

全身を強化し、全速力で女子トイレに向かう。途中で同じ方向にいくマグゴナガル、スネイプ、クィレルを見かけたが無視だ! 構っている余裕は無い!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今のは、ミスター・エミヤ?」

 

「まさか、それはあり得ん。生徒たちは今は寮に」

 

「いえ、今のような動きが。廊下を全速力で走りつつ、角を曲がったり他人を追い越すときに壁を蹴って移動するようなことができる人は、彼以外この学校にはいません」

 

「と、とと、とにかく。いい急ぎましょう、二人共!」

 

「ええ」

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女子トイレの入り口の大扉を蹴り飛ばすように開けると、ハーマイオニーは腰を抜かし、マリーがトロールに捕まれた状態で宙吊りになり、ロンが杖を構えていたが絶望的な顔をしていた。

どうやら浮遊術で棍棒を奪ったはいいが、トロールが取り返してしまったようだ。ならば、

 

 

「ロン、どけ! マリー、動くなよ!」

 

 

弓を破棄して両の手に干将・莫耶を投影し、トロールの棍棒を切り払いつつ、マリーを掴む腕を切り裂く。トロールは苦悶の声をあげ、マリーは無事脱出した。

 

 

 

『---投影・開始(トレース・オン)

 

 

 

巨大な剣を数本投影し、剣の壁を作ってトロールの足止めをする。

 

 

「マリー、ロン! 動けるならハーマイオニーを連れて脱出しろ!」

 

 

マリーは頷き、ハーマイオニーのもとに向かうがロンは突っ立ってる。何をやっているのだ。ただデカイだけの剣を使った壁だから、この足止めもあまり持たないのに。

 

 

「ロン、急げ! 死ぬつもりか!! さっさと逃げろ!!」

 

「君はどうするんだ!」

 

「お前たちが逃げたらオレも隙をみてあとを追う! さっさといかんか!!」

 

「ダメだ! 君を置いては行けない!!」

 

 

チィッ!

仲間意識が強いことと他人の心配をするのは立派なことだ。だが今、それは邪魔にしかならない!!

 

 

「シロウ!!」

 

「どうした、マリー!」

 

「出口が・・・!」

 

 

どうやらトロールが剣の壁を壊そうとする余波で、出口が瓦礫に塞がれてしまったらしい。クソッ! 仕方あるまい。

『カラド・ボルグ』の一突きを防いだと言われる黄金の盾『オハン』を投影し、マリーに渡した。

 

 

「そいつの陰に隠れてろ。他の二人もだ!」

 

 

マリーは心得たとばかりに盾を構えるが、彼女は盾を重そうに抱えていた。

しまった!

マリーの筋力を度外視していた。まさかここで「うっかり」をやらかすとは!

トロールが剣の壁を壊していく。時間がない。だが、そこでロンがハーマイオニーを抱えてマリーのもとへ行き、マリーに代わって盾を構えた。

よし、これでいい。ならば今のうちに。

 

 

 

『---投影・開始(トレース・オン)。 ---憑依経験。---共感終了。』

 

 

 

頭に描くは剣の設計図。その数、二十七。

 

 

 

『---工程完了(ロールアウト)、---全投影、待機(バレットクリア)!』

 

 

 

オレを中心にプラズマが走り、頭上の空中に二十七の剣が投影される。

ロンとハーマイオニーはその光景に唖然としていた。

出口では先程の三人の教師たちが瓦礫をどけ、中に入ろうとしている。

トロールを遮る剣の壁もあまり持ちそうにない。

 

 

 

『---停止解凍(フリーズアウト)

 

 

 

ついにトロールは最後の邪魔な剣を払い、こちらに向かって突進してくる。同時に出口の瓦礫も払い除けられ、教師たちが駆け込んできた。が、彼らは絶望的な顔を浮かべた。

 

 

「「ミスター・エミヤ(エミヤ君)!!」」

 

 

マグゴナガルとクィレルが叫ぶ。トロールとオレの距離、あと八メートル。

 

 

「「シロウ!!」」

 

 

ロンとハーマイオニーも叫ぶ。距離、残り五メートル。

だが、マリーは黙ってこちらを見ていた。その目は、大丈夫なんだね?、と問うていた。だからオレはただ頷く。残り三メートル。

マグゴナガルとロン、ハーマイオニーが顔を反らす。

 

 

 

 

 

『---全投影連続層写(ソードバレル・フルオープン)!!!』

 

 

 

 

剣が走る、走る、疾る、疾る、はしる、はしる、ハシル、ハシル。

 

 

トロールに向かって射出された剣は、吸い込まれるようにトロールの全身を貫いた。二十七の剣に全身を文字通り蜂の巣にされたトロールは、既にその命を終わらせていた。血飛沫をあげながらトロールは背中から倒れた。

 

 

あとに残ったのは頭から血を被ったオレと、無数の瓦礫、そして沈黙だけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、ここまでです。

いやはやここまでくるのに長かった。下書きの紙が10枚越えました。
この作品ですが、下書きの時点で一度親しい友人に見てもらい、そこでちょいちょい修正を加えて本書きしています。

さてさて今回のトロールですが、原作とは違って二体用意致しました。理由はロンのハーマイオニーに対する見せ場を作る為です。本作品には描写していませんが、シロウがたどり着くまでに原作のノックアウト前まで起こっていました。そこで分岐として棍棒を取り返す、という展開を加えた次第です。

また前回二部編成する、といいましたが、2つに分けるとどうしても片方の長さが短くなってしまい、ならば纏めてしまえとした次第です。


さて、次回はマグゴナガル先生の説教とシロウの説明回です。いつ投稿するかわかりませんが、今後もよろしくお願いいたします。

あ、番外編として3巻か2巻らへんで没集を書こうかと思います。イヤーお蔵入りの中にはネタに走ったものもありまして。


では今回はここらへんで


感想待ってます(^ ^)ノシ




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