中学生が幻想入り?!   作:銀の鰹節

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前回のあらすじ
レミリアを助けた
 ↓
気付けば永遠亭に…(今ココ!)



#95 最後はやっぱりね…

優「う、うぅ…鈴仙さんっ?!」ガバッ

 

俺はある映像が頭に浮かびながら飛び起きる。すると体中に痛みが走る。

 

優「イッツ?!」ビキィ

 

永琳「あまり動かない方が良いわよ」

 

近くにいる永琳が言う。その後ろには鈴仙が小さく体育座りしていた。

 

優「え、永琳さん…(鈴仙が元気無さそうだけど何かあったのか?)」

 

永琳「あ、ウドンゲはちょっとほっといてあげて」

 

優「は、はぁ…永琳さんが言うならそうします…」

 

永琳「えーっと、貴方には今の体の状態と寝ていた間の出来事を話せばいいかしら?」

 

優「あ、はい。それでお願いします」

 

永琳「わかったわ。まずこの永遠亭に紅魔館メンバーと貴方がやって来たの。いや、正確には門番さんが全員を連れて来たって言った方が正確ね」

 

優「み、美鈴さんが?!」

 

永琳「ええ。何があったのか聞いてみると、『何か変な感じがしたから起きてみると、紅魔館が何か所々壊れていて、中に入って巡回してみたら皆が倒れていたからビックリしたんですよ!』と言っていたのよ。私としてはその変な感じを詳しく聞きたかったけど、貴方の怪我が本当に酷かったからそんなこと聞く前に治療の方へ移っちゃたのよ」

 

優「そうなんですか…と言う事は今、皆永遠亭に居るんですか?」

 

永琳「いえ、もう貴方以外は先に出て行ったわ」

 

優「え…?もしかして俺何日も寝ていたパターンですか?」

 

永琳「その通りよ。貴方以外、1日で何とかなったのに対して貴方は5日経ってもまだ目覚めなかったのよ。あ、ちなみに今日で8日目だから」

 

優「…またやってしまった…」

 

永琳「咲夜から聞いたけど、どうやら自爆したようね。木刀を入手した時みたいに」

 

優「…はい。そうする事しか…できませんでした…」

 

永琳「本当にそうだったのかしら?」

 

永琳が声のトーンを低くして問う。

 

優「…え?」

 

永琳「その時の状況を簡潔に教えて頂戴」

 

優「え、えっと…その時は俺の霊力がかなり消耗していて、体が思うように動かなくて、レミリアさんが鎧を着ていて…」

 

永琳「…なるほど。貴方、レミリアの鎧を壊す為だったのね」

 

永琳は素早く応える。俺はまだこれくらいしか言っていないのに自爆した理由を当てられてドッキリする。

 

優「ど、どうして…」

 

永琳「自爆するほど高威力を求めた事など『破壊』の目的にしかあまり使わないわよ。あとは、咲夜から聴取した情報を組み合わせてみれば簡単よ」

 

優「…まったくもってその通りですよ」

 

永琳「…私だったらそんなリスクを負うような事をしたくないからその鎧の『核』を探すわね」

 

優「『核』…ですか」

 

永琳「ええ。物には必ず核が存在する。そして核を破壊できれば物は朽ちる…そう決まっているのよ」

 

優「…」

 

永琳「貴方は鎧の核を探そうともせずに自爆というリスクが高い方法を選んだ。違うかしら?」

 

優「…はい、その通りです」

 

永琳「やってしまったものはもう仕方ないけど、次からはもう少し考えてから行動する事ね。あと、心配してくれる人の事を思って行動する事」

 

優「…!!」

 

永琳「私からは以上よ。あ、自爆の影響でしばらく痛みは引かないから絶対安静ね」ガララッ

 

そう言って永琳は部屋から出て行った。すると俺には物凄い後悔が襲ってきた。

 

優「クソッ…!!(そうだった…残された心配する人側の事を考えていなかった…!!ゆっくり考えればいいものを俺は…!!)」ギュッ

 

俺は強く拳を握る。その握り拳には、後悔…情け…怒り…呆れ等の感情が込められていた。

 

鈴仙「…ねぇ」

 

その時、体育座りしていた鈴仙が立ち上がり、俺に話しかけてきた。

 

優「鈴仙さん…」

 

鈴仙「優は核の見つけ方わかる?」

 

優「核の見つけ方…」

 

俺はハッとする。そうだ、核を見つけろと言われてもどうすればいいんだ?それを聞くのを忘れていた…。

 

鈴仙「私は能力で見つける事は簡単だけど、普通の人だったら極限にまで集中して、一点になった所を見つけるって感じでやるらしいわよ。そして熟練者になると3秒あれば見つける事が出来るの。師匠は1秒以内で見つけ、攻撃する事ができるわ」

 

優「一秒以内?!」

 

鈴仙「もし…核を見つけれるようになりたいのなら身近にある物で練習してみなさい。核は全てに存在するから」

 

優「練習…わかりました!鈴仙さん、木刀を取ってきてはもらえませんか?」

 

鈴仙「わかったわ」

 

鈴仙は部屋から消え、木刀を取りに行く。数分経って鈴仙が戻ってくる。

 

鈴仙「はい、木刀」

 

優「有難うございます」

 

鈴仙「ねぇ優?」

 

優「何ですか?」

 

鈴仙「その、ごめんね?心肺停止にさせちゃった事…」

 

優「アハハ、あんまり覚えていないので大丈夫ですよ。そんなに気にしないでください」

 

鈴仙「有難う…。あと、その、敬語じゃなくていいから」

 

優「わかり…わかった、鈴仙。これでいいか?」

 

鈴仙「…うん!」

 

優「鈴仙、有難うな。お蔭で目標が出来たよ」スッ

 

俺は目を閉じ、息を一定にさせる。そして核を探す。

 

鈴仙「…頑張れ」

 

鈴仙は静かにそう囁き、部屋から出て行った。

 

 

 

――………。

 

――核は…1つだけ……。

 

俺は深く、深く探っていく。すると真っ暗な所に1つの木刀サイズの緑色のモヤが出てきた。

 

――これが本体か…核はどこだ…?

 

深く潜っていくとだんだん色に赤みが帯びてゆき、モヤの大きさも小さくなっていく。

 

――…すごい。何なんだろうこの高エネルギーは…

 

そしてついに感じ取る。真っ赤になった赤い球体を確認する。

 

――これが…核か。俺も見つける事が出来た……!!

 

俺は目を開ける。

すると今まで受けていなかった光の刺激を受けてしまったので思わず目を細める。だんだん目が慣れてくると、周りは日が暮れようとしているのが見えた。

 

優「もう…こんな時間だったのか…」

 

てゐ「お~い、優飯だぞ~」

 

その時、てゐがご飯を持って部屋に入ってくる。

 

優「お、ご飯か…有難うございます、てゐさん。そこに置いといてくれたら後は自分で食べますんで大丈夫です」

 

てゐ「ん?ご飯食べないの?」

 

優「はい…ちょっとやりたい事があるので」

 

てゐ「そう。絶対に食べ忘れないでね。忘れたら永琳が怒るから」

 

優「アハハ…絶対に食べておきます」

 

てゐが部屋を出ていくと、俺は再び目を閉じ深く集中する。次は自分の体の核を探してみる。深く、潜っていく内に俺はある高揚感を覚える。自分は進化している!!、自分は強くなれる!!と。

 

 

こうして優はこの日から核を探すようになった。永遠亭に居る間、やる事の殆どが核探しだった。そのお蔭かもあって、今まで脱走しようとしていた優を幾度となく止めていた永琳は優の姿に感動していた。

 

永琳「優が脱走しようとせずに、大人しい…!!!」

 

鈴仙「し、師匠…」

 

 

 

~4日後~

 

永琳「よしっ、体ももう大丈夫ね。退院よ!」

 

優「あれ?なんか今日いいことありました?」

 

永琳「ええ!貴方が何もなく予定通りに退院するのよ!」

 

優「ああ、考えてみれば今日が初めてですね」

 

永琳「さぁ、帰るまでが治療よ。気をつけなさい」

 

優「はい!」

 

俺は部屋に戻り、荷物を持って玄関へ向かう。

 

優「じゃあ今回も有難うございました!それでは!」

 

俺は永遠亭から元気よく飛び出す。いつもならこのままいけるのだが、ここは幻想郷。何が起こるかはわからない。

 

優「うぎゃああ?!!」ズボッ

 

永琳・鈴仙「え゙っ?!」

 

何と優が目の前でロスト。鈴仙がすぐさま確認しに行く。

 

鈴仙「…師匠、見ただけでわかります。足が折れてます…」

 

永琳「てゐめ…血祭りにあげてやる…」

 

この後、てゐの悲鳴が竹林中に響き、優は7日間延長入院となった。

 

 

 

 

 




この作品をご覧になってくれて有難うございます。銀の鰹節です。
今回は優がまた新たな力を手に入れようとしていますねぇ…ここは温かい目で見守ってあげましょう。危険な感じじゃなさそうですしね。
そして永遠亭の延長入院…これは優は悪くないよな…。
それでは今回はここまでにしたいと思います。
次回もゆっくりしていってね!

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