優VS破壊者、勇義VS創造者
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途中で悪(優)が乱入し、破壊者達を持って帰った(今ココ!)
悪[皆はお前を拒絶した。つまりお前はいらないんだよ!!アハ、アハハハ!!]
辺りに響く悪の笑い声。優はその場で膝を落とす。そして幻想郷の全員から拒絶され攻撃される光景を思い出す。先程まで光が多少見えていたが一気に深い闇のどん底までたたき落とされた。
やがて悪の声は小さくなり消えた。その場に残ったのは重い雰囲気だった。
優「俺は、いらない…」チャキ
俺は逆刃刀を持ち、首を斬る構えをとる。
勇義「!!待ちな!」バッ
勇義はそれを止めに、地面を強く蹴り優の元へ向かう。だが――
『ピキーン!!』
勇義「?!」
突如、前にも現れた透明のバリアなような物ができており、勇義がぶつかった所からオレンジ色の波紋が出てくる。
勇義「く…こんな物!!」バリンッ
勇義はバリアを容易く割る。だがどんどんとバリアが何重にも生成されていっているのがわかった。
勇義「くっ?!萃香ぁ、優を止めな!!」バリンッバリンッ
萃香「わかった! …?!ダメだ、霧になってもこのバリアを超えられない!」
勇義「何だって?!だったらバリアを壊すんだよ!」バリンッバリンッ
萃香「あぁそのつもりだよ!そりゃそりゃそりゃそりゃ!!」バリリリンッ
そこに萃香も加わり、バリアを破壊するが優の動きが止まっている訳ではない。
勇義「ふざけんじゃないよ!優、やめろ!!」
優は勇義の声を聞いておらず、そして首へと逆刃刀で斬りかかった。
『バンッ!!』
だが首に逆刃刀が触れた瞬間、優は弾き飛ばされた。
優「?!!ぐ…ぼ、木刀…!」
優が木刀へ手をかけようとした時、萃香が霧となり、一瞬で優の上へ移動する。そしてそのまま優を取り押さえる。
萃香「全く、そう易々と自害しようとするなよ!」ググッ
優「ぐ?!」
紫「す、萃香、優を離してあげて」
先程まで永琳に治療を受けていた紫がフラフラと歩いてくる。
萃香「でもそしたら…!!」
紫「大丈夫。私が何とかするわ。だからお願い、萃香」
萃香「…ああ、わかった」スッ
優「っ?!!」ズザザ
優は萃香に解放された瞬間に紫から後ずさる。だが、すぐ後ろが木だった為、優は移動できなくなる。
優「あアア、アアアア?!!」
紫「…」ザッザッ
紫は優へゆっくりと近づいて行く。優はまた攻撃されると言う恐怖で、震え、発狂し、来るな来るなと言うように腕を振り回す。
紫「…」ザッ
だが紫はそのまま優の元へ行く。そして手が届く所まで来た。
優「アァ!!」ヒュッ
優は抵抗し、紫へパンチする。だが紫は避けずに受け止める。そして―――
『ギュッ…』
優「?!」
優を抱きしめる。ゆっくりと丁寧に、まるで赤子を抱くかのように優しく。
紫「…ごめんなさい。謝っても許されない程の事をしてしまったわね…」
紫は優に謝罪をする。優は無言だが紫は話を続ける。
紫「貴方、ちゃんと無実だと言う事を頑張って伝えようとしてくれた…!なのに私達がそれを信じなかった、聞き入れなかった…!!」
優「…」
紫「ごめんなさい、本当にごめんなさい…!!一生許してくれなくてもいい!でもこれだけは言わせて。優、貴方はいらない子なんかじゃない、幸せになっていけない子じゃない!」
優「…」ツー
優は一言も喋らないが、目からゆっくりと1つの滴が流れ落ちる。
紫「殺そうとしていた私が言うのもなんだけど…優、楽しんで生きていいのよ」
優「…生きて、いいんですか…?」
優が口を開き、震えた声で話す。
紫「ええ、もちろんよ…!!」
優「幻想郷に…いてもいいんですか…?」
紫「ええ!人里でも私の家でもどこでもいいわよ…!!」
優「お、俺…まだ、生きたいです…!もっと皆と一緒にいたいです…!!」
紫「好きなだけ幻想郷で生きなさい…!!いっぱい皆と過ごしなさい…!!」ギュッ
紫は抱きしめる力を強くする。するとそれをかえすかのように優も紫を抱きしめる。
優「ううっ…!!紫さん、すいませんちょっとこのままでお願いします…!」
紫「いいわよ。貴方が満足するまでこのままでいるわ」
2分後…
優「すー…すー…」
優はすっかり眠ってしまった。そしてその寝顔は安心したかのように笑顔だった。
紫「寝ちゃったわね…」
魔理沙「なぁ…私達は一体どう接すればいいんだ…?私は本気で優を殺そうとしちまった…!!」
紫「それは… !?」
藍「どうしました、紫様?!」
紫「もう、優しすぎるわよ…優…!!」ジュゥゥ
何と紫についていた、小さな傷が消えていった。どうやら優が力を送って回復させてあげているらしい。
優「すー…すー…」
紫「これは本当にどう接したらいいのかわからないわね…でもやる事は決まっているわ。射命丸文、今回起こった事と優の捕獲、殺害の件の取り消しを幻想郷全土に知らせなさい。まず疑いの目は晴らさせないと。頼めるかしら?」
文「もちろんさせていただきます!この清く正しい射命丸にお任せを!1日でやって見せましょう!!」
紫「そして藍!破壊者達のいる所を特定しなさい!さっき居なくなったばかりだから幻想郷にいる筈よ!」
藍「承知しました」
紫「さてと…取りあえず対策を練るのがいいかしらね…」
永琳「紫ちょっと来なさい」
紫「何かしら?今優がいるから動けないんだけど…」
永琳「優もよ。見た感じ貴方は大丈夫かもしれないけど優の方も結構怪我をしているのよ」
紫「そういう事ね。じゃあスキマを使って移動するわ。どこがいいかしら?」
永琳「永遠亭でお願い。私も急いで向かうわ。それと…」
永琳は霊夢を見て何かに納得し、小さく頷く。
永琳「霊夢、貴女も来なさい。その方が優にとってもいいでしょうしね」
霊夢「わかったわ…」
◆
◆
◆
優「ここは…?」
俺は気付けば暗闇の中にいた。
『…で…』
優「え?」
するといきなり声が辺りに響き渡る。
『お前の所為で…!!』
優「?!」
『どうしてお前はそんな残虐な事ができるんだ!! 殺してやる…!!
信じていたのに…!! 裏切りやがって!!』
優「な、やめろ!!」
怒り、悲しみが混じった声が辺りに響き、優の心へ直接問いかけてくる。すると目の前にはいつのまにか霊夢が立っていた。
霊夢「…」
優「れ、霊夢…!!」
霊夢「さ よ う な ら」
優「え…ぐ!?」
俺は霊夢の方へ駆け寄ったが、いきなり首を絞めつけられる。よく見ると霊夢だけではない、俺が今まで幻想郷で出会った人達が俺を囲んで首を絞めていた。
優「い、嫌だ…!嫌だああああ!!!」
優「うああ、あぁ…ううう!!」
霊夢「優?!」
永遠亭のベットで寝ていた優が急に苦しみだす。その場にいる永琳、鈴仙が異常を直ぐに察知し優の元へ行く。
鈴仙「師匠、優の感情がかなり不安定です!それに脈拍、脳波などもぐちゃぐちゃでかなり危険な状態です!!」
永琳「目の焦点が合ってない(脳波の異常から推測して心の状況が原因――このままじゃ優は死ぬ。思考停止させるには… !)鈴仙、直ぐにこの前作った仮死状態にさせる薬を持ってきなさい!」
鈴仙「はい!」
永琳「絶対に死なさせないわよ、優…!!」
霊夢「優!!」ギュッ
霊夢は優の手を強く握る。
優「ぐ…(ダメだ…もう意識が…)?!」
意識が失いかけたその時、上から全てを照らすかのような光が落ちてきた。俺はその光が何かを瞬時に理解し、光へ手を伸ばす。
優「あとちょっと…!」ググッ
だが周りにいる人達が邪魔して届かない。優は最後の力を振り絞り手を伸ばす。
優「うおおお、届けええええ!!!」ガシッ
俺は何とか光に手が届いて掴んだ瞬間、辺りは光で呑み込まれた。
この作品をご覧になってくれて有難うございます。銀の鰹節です。
今回はやっと優が助けられましたね。偽物がいるとわかった魔理沙達。これから優にどう接するのかが みもの ですね。
それでは今回はここまでにしたいと思います。
次回もゆっくりしていってね!