中学生が幻想入り?!   作:銀の鰹節

77 / 147
前回のあらすじ
何処へ行っても敵対視された
 ↓
独りとなった優は地底へと消えて行った(今ココ!)



#77 発揮、妖怪の賢者の力!!

霊夢「…」

 

私はあの日から口数がかなり減った。誰かと話をするも、「えぇ」や「そうね」の一言か二言で終わってしまう。こんな風になってしまったのは3日前のあの出来事が原因だった。

 

 

 

~3日前~

霊夢「今日も暇ね…」ズズ

 

私は昼、縁側に座ってお茶を飲んでいた。いつもなら魔理沙とか紫とか今日は珍しく誰も来ないのだ。

 

霊夢「ん~何かしらね…暇なのはいいのだけど、いつもとは何か違うのよね。まぁ気のせいよね。いつもが騒がしすぎるだけよ」

 

そんな時、階段から誰かが上ってくるのが見えた。

 

優「…」ザッザッザッ

 

それは優だった。私は嬉しくなって直ぐに優の元へと向かった。

 

霊夢「優、丁度いい時に来てくれたわね」

 

優「ん?霊夢か。最近の調子はどうだ?」

 

霊夢「そうねぇ…別に良いって訳でもなく悪いって訳でもないわ」

 

優「つまりいつも通りって事だな」

 

霊夢「ふふっ、そうね。お茶を用意するから上がりなさい」

 

私は優に背後を向けた瞬間、後ろから殺気を感じた。そして私は無意識にしゃがんでいた。私の頭上には刀があった。

 

優「おお~勘もちゃんと働いているな!」

 

霊夢「え…優?」

 

優「どうした霊夢?」

 

私は理解できなかった。何故優がいきなり私に向けて刀を突き刺して来たのか。

 

霊夢「何で…刀…」

 

優「ああ、これか?別に霊夢の勘がちゃんと働いているか確かめただけだぞ?最近俺の勘が鈍ってきているから霊夢は大丈夫かな?って」

 

霊夢「もし刺さっていたらどうするのよ?!」

 

優「うるさいな~俺はお前のそう言う口煩い所が嫌だな~。別に助かったから大丈夫だろ?」

 

霊夢「え…」

 

今、優は何て言ったのだろう。

 

優「だから嫌って言ったんだよ」

 

霊夢「な、何でそんな事を言うの…?」

 

優「ああ、今日はそれを伝える為に此処に来てやったんだ。霊夢、お前は力がありすぎるから俺に相応しくないと思うんだ。だから俺とは諦めてくれ。じゃあな」ザッ

 

優が私の目の前から去って行く。私はそれを止めようと優に近づく。

 

霊夢「ま、待って優!どうしたの?何かあったの?」

 

優「…俺に触るな!」ヒュッ

 

霊夢「っ?!」ベキッ

 

私は思いっきり優に殴り飛ばされる。飛ばされた時に頭を強く打ったため視界が歪んだり、吐き気がする。

 

霊夢「う…待ってお願い…!」

 

優「はぁ…しつこい。『大炎戒 炎帝』」ゴオッ

 

 

『ドォォン!!』

 

 

私の意識はそこで途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

~現在~

 

霊夢「…私ってやっぱり力が強いから恐れられる存在なのかしらね…」

 

文「号外でーす、外来人の情報が載ってますよー…号外でーす」

 

私が空を眺めていたら、文が空から新聞を配っていた。私は何もする事がないので新聞を手に取り、目を通す。

 

霊夢「?!【外来人、佐藤優の殺害・捕獲の件について】ですって?!(まさか紫が?!大胆すぎる…!)」

 

私はじっくりと読んでいき、最後の文には目を疑った。

 

霊夢「な…【情報提供した場合、報酬10円。殺害、捕獲した場合50円の報酬】ですって?!紫…本気ね…」

 

 

この新聞を見たものは戸惑う者や張り切る者、悲しむ者の様々がいた。

 

 

 

 

 

~地底~

 

妖怪1「おい、この新聞見てみろよ!」バサッ

 

地底のとある居酒屋で新聞が広げられた。

 

妖怪2「ん?ああこれな。それで一体どうしたんだ?」

 

妖怪3「ほう、高額な報酬があるじゃねぇか…すげぇな!」

 

妖怪1「おい、此処の話だけだぞ?お前らを信用して話す。これから話す事は他言無用で頼む」

 

妖怪1は声を小さくし、ヒソヒソと喋る。妖怪2・3は妖怪1の問いに頷き、静かになる。

 

妖怪1「実はな…この外来人、さっき見たんだ」ヒソヒソ

 

妖怪2・3「な、何だと?!」ガタッ

 

妖怪1「馬鹿!声がでけぇよ!!」シーッ

 

妖怪2「す、すまねぇ。本当に見たのか?」

 

妖怪1「ああ、全身が傷だらけで戦える体じゃなさそうだった」

 

妖怪3「だったら俺達三人で殺しに行くか?」

 

妖怪1「元からそのつもりだ。そうじゃなければお前らには話していねぇ」

 

妖怪2「そうか、そうとなれば行動に移ろう。おーい、勘定頼むー!」

 

妖怪三人組は勘定をしてそそくさと店から出て行った。それをじっと見ている1人の男がいた。

 

滅鬼「…」

 

 

 

 

 

 

 

優「はぁ、はぁ…!(何だ?体が重い…それに寒い…)」

 

優は旧都に行く為の洞窟の途中で身を縮めてじっとしていた。そんな時、洞窟の奥から声が聞こえてくる。

 

妖怪1「ほら、アイツだ」

 

妖怪2「おおっ、本当に写真と同じだ…!」

 

妖怪3「へっへっへ!俺達でアイツを殺して報酬を手に入れようぜ!」

 

優「?!(嘘だろ?!何で知らない奴からも狙われるんだ…?!)」

 

優は戦闘態勢に入るが、足が震えてまともに戦えそうにない。

 

妖怪2「怯えてんじゃん。これの何処が幻想郷の脅威なんだ?」

 

妖怪3「へっ、その方がやりやすくて楽だ。俺が先にいくぜぇ!!」バッ

 

優「ぐっ?!来るなぁ!!」ヒュッ

 

妖怪3「ぶへぇっ?!」ベシッ

 

優は腕の力で強引に刀を振り、妖怪3をブッ飛ばす。

 

妖怪3「うぐぅ…痛ぇ…!」

 

妖怪1「バカ野郎、3人同時で行った方が確実だろ!」

 

妖怪2「ほら、大丈夫か?」

 

妖怪3「くっすまねぇ…!」

 

優(俺は…生きているだけで憎まれるのか…)カランッ

 

優は手の力が抜け、木刀が抜け落ちる。

 

 

 

もうやめよう――無駄な悪あがきなどみっともない――

 

この世界(じごく)に生まれてきた時点で俺の運命は決まっていた――

 

もういいだろう――親の言いつけを守って5年以上も頑張って過ごしたんだ――

 

ああ――来世は普通に暮らせたらいいな――

 

すいません皆さん――ゴメンな霊夢――そして―――――

 

さようなら

 

 

 

妖怪1「お前ら行くぞ。せーのっ!」バッ

 

優「…」スッ

 

俺は目を瞑り、死を待った。だがいつまで経っても衝撃が来ない。目をゆっくりと開けてみると目の前には驚きの光景が広がっていた。

 

妖怪2「なっ何?!」

 

妖怪3「ど、どうしてお前が…滅鬼がいるんだよ?!」

 

滅鬼「…」

 

優「…え?」

 

何と地底で一戦交えた滅鬼が3人の妖怪の攻撃を受け止めていたのだ。

 

滅鬼「おい、優!何ボーッと突っ立ってんだ!さっさと立ちやがれ!」ググッ

 

優「な、何で俺を…」

 

滅鬼「…友がピンチな時助けてやるのが友だ。俺達は一度手を合わせた仲だろう?」

 

優「―――ッ!!」

 

優は目を大きく開き、そしてその目から大量の涙が流れる。今の優にとって『友』と言うのは諦めたものだった。そのため諦めていたものが現実となったため優には嬉しすぎてその場で蹲ってしまう。

 

滅鬼「…そこでじっとしてろ。俺が何とかしてやるよ」

 

妖怪1「いくら滅鬼だとしても3人がかりでは倒せないだろう!」

 

妖怪2「ああ、確かにそうだな!」

 

滅鬼「おめぇらは少し勘違いしているな」

 

妖怪3「あぁ?!」

 

滅鬼「鬼はなぁ、守りたい奴が傍にいる時は力が強ぇんだよ!」バァン

 

妖怪1・2・3「ぐあああ?!」

 

滅鬼は3人を力ずくで投げ飛ばす。

 

滅鬼「くらえぇ!!鬼神『岩石落とし』」ズガァァン

 

滅鬼は近くにあった大きな岩を妖怪3人組に向けて落とした。妖怪達は岩の下敷きとなり、静かになった。

 

滅鬼「ほら優、終わったぞ」ニカッ

 

優「有難う…!本当に有難う…!!」ガシッ

 

滅鬼「うおっ?!お前ってこんなに泣く奴だったか?!」

 

優「うぅ、有難う…!!」

 

滅鬼「…しゃーねぇなぁ、よいしょっと。このまま旧都に連れて行ってやるから泣きたい時は思う存分に泣け!」

 

優「う、うぅ…うあぁぁあぁぁあ!!!!」

 

滅鬼は優を持ち上げ、旧都へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

~地上~

藍「紫様、佐藤優の位置が特定しました。場所は地底です」

 

紫「そう…(もしかすると地底の住民との戦闘にも発展しそうね…それにせめて関わった私達でやらなくちゃね…)藍、明日に地底へ幻想郷の全勢力で向かうわ。準備しときなさい」

 

藍「全勢力で…?できるのですか今日中に」

 

紫「幻想郷の管理者よ?何とかするわ」

 

藍「了解しました。作戦を考えておきます」

 

紫「助かるわ。じゃあ頼むわね」フォン

 

紫はスキマの中へと消えて行った。そしてその後、見事1日で紅魔館、永遠亭、白玉楼などの幻想郷の勢力をまとめたのだった。

 

 

 

 

 

 




この作品をご覧になってくれて有難うございます。銀の鰹節です。
今回は優にいい事がありましたね。ようやく報われたという感じがしますがこれではまだハッピーエンドじゃありませんよね。今後の優の行動に期待してください。
それでは今回はここまでにしたいと思います。
次回もゆっくりしていってね!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。