中学生が幻想入り?!   作:銀の鰹節

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前回のあらすじ
優が1人で悪と闘おうとするも、両親がやって来て結局は3人で戦った。
 ↓
悪が自分自身に蓄積したダメージを吸収してパワーアップし、優へ襲いかかった(今ココ!)


#143 限界を超えた力の先は――

悪「さて、優…お前はじっくりと遊んでやろう…!!」

 

優「ハッ!!」ヒュッ

 

 

『ズドンッ!!』

 

 

優「…ッ?!」ググッ

 

優は悪へ勢いよく踏み込んで、パンチ一発を腹へくらわせる。

悪の後ろの木や地面が吹っ飛ばされる程の威力だが、悪は手で受け止めて優へ押し返していた。

 

悪「お前、幻想郷を壊したくないからって力抜いているだろ?『甘ぇよ』」ヒュッ

 

 

『ドンッ!!』

 

 

優「ぐおおおおっっ?!!!!」ズガガガガ

 

優は悪のパンチを腕で受け止めるも、威力が強すぎて20m程後ろへ押される。

 

 

『パッ!』

 

 

悪「フンッ!!」ガッ

 

優「ぐっ?!」メリメリメリ...!!

 

 

『バシュンッ!!』

 

 

その時に悪が優の横へ一瞬で移動し、上空へ蹴り上げた。

そして吹っ飛ばされる優を先回りして、打ちあがった優を殴りつける。

 

悪「ハッハァッ!!」ガキッ

 

優「ぐっ?!」ドゴッ

 

悪は優が吹っ飛ばされている速度よりも速く飛行し、連続で殴り続ける。

 

悪「ハ ア ア ア ッ!!!」ズドドドドド

 

優「ぐはっ?!」ヒューンッ

 

悪「トドメだァ!!アハハハハ!!」ゴオッ

 

優「この――――(ずっとやられているままだと思うなよ!)『空間移動』!」パッ

 

悪「何ィ?!(しまった――」スカッ

 

優は空間移動を使って、悪の背後へ移動する。そして隙が出来た悪に攻撃を叩き込む。

 

優「ここは空中…地形破壊とかの心配をしないで済むからフルパワーで行くぞ!!

  うおおおッ!!」ズドドド

 

悪「クッ、無駄無駄無駄無駄ァッ!!」ズドドド

 

悪は優のラッシュを片足で防いでみせる。そして優の拳を足で大きく弾き返した時だった。

 

悪「吹っ飛べェ!!!」ズガンッ

 

優「ぐっ?!―――うああっ?!!」ドンッ

 

優は悪との力比べに負け、吹っ飛ばされ地面に強く打ちつけられる。

 

 

『ボカァァァン!!!』

 

 

優「ぐふっ?!」

 

吹き飛ばされた所が悪く、その時に横の方から声が聞こえた。

 

霊夢「何?!優なの?!」

 

優「…!!嘘だろ…?!」

 

悪「フフフ…1人で消えるのは寂しかろう!!仲間ごと、この世界ごとお前を消し去ってやろ  う!!」バチッバチバチッ

 

悪は空を覆い尽くす程の大きさのエネルギー玉を作っていた。

 

悪「死ぬがいい!!この世界と共になァァァッ!!!」ゴゴゴゴゴ

 

優「(そんな事…絶対にさせない!!幻想郷を、皆を、霊夢を命を賭けても守る!!)させるかぁぁぁ!!!!」

 

優がそう叫んだ瞬間だった。空から優へ向けて光の玉が降って来たのだった。

 

 

『カッ!』

 

 

光の玉は優に当たると、体の中へと消えていった。

 

優「…!!これは…よし、『空間を操る程度の能力』覚醒――!!!」ブゥン

 

優が空へ手を伸ばしてエネルギー玉と接触した時、空の色が赤く変わる。エネルギー玉もパッと消えたのだった。

 

紫「何が起きたの?!」

 

悪「ん?!うおおっ?!」ガクンッ

 

 

『ボーンッ!』

 

 

空に浮かんでいた悪がいきなり空から落ちてくる。悪は10mという高さから落下して、骨の折れた音がする。

 

悪「ぐああっ?!(ど、どういう事だ?!急に飛べなくなったし、これだけの高さを落ちただけで骨が折れるぐらい弱体化してる?!)」

 

藍「…?!紫様、私達の妖気が全くのゼロに等しい状態となっています?!」

 

紫「え…?!…スキマも開けなければ飛ぶことも出来ない…」

 

優「それはそうですよ。何故なら、この世界の空間は俺の空間なのだから」

 

全員『?!』

 

全員は優の発言に耳を疑った。この世界が優の空間だなんてありえない。

だが、こうして起こっている異常がその事を語っていた。

 

優「俺の能力、『空間を操る程度の能力』の覚醒は全ての空間を支配する事。

  誰一人の力の、干渉も許さない世界だ」

 

悪「な、何だと?!」

 

優「つまりな、全員が能力も、弾幕も、飛行も使えずで、ただの人になるんだ。

  ただ――俺を除いてな」スッ

 

悪「ッ?!(コイツ、今何て言った?!)」

 

優「さてと、まずは幻想郷の時を戻して、地形を元に戻さないとな…『時よ戻れ』

  (その時に悪の体も戻さないように調節してっと…)」グゥーン

 

 

『スゥゥ…』

 

 

紫「だんだん…戻っていってる…」

 

優(ッ…!!覚醒中は指先動かすだけでも激痛が走る…少しでも気を緩めたら解除してしまいそうだ…!!)ビキッ

 

創造者「お前は…ここで倒されるべき存在!!」バッ

 

破壊者「例え力が使えなくとも、人は人を殺せるんだ!!」ガッ

 

優「ぐあっ?!(すっげぇ痛ぇ…!?触られただけで気を保つのがやっとだ…!)」ギリリッ

 

破壊者と創造者が優の方へ走ってきて、優を押し倒し拘束する。

 

悪「よ、良くやった、2人共…俺がコイツを絞め殺す!!」ガッ

 

悪が起き上がり、優へ近づくと折れていない方の手で優の首を思いっきり掴む。

 

優(そうか、悪に吸収されていたのは創造者と破壊者もだったか!!息が…意識が…)ググッ

 

優の意識が薄れかかったその時、空から飛行物体が下降して来たのであった。

 

 

『キィィィン…!!』

 

 

飛行物体が地に降り立つと、大きなドアが開く。中にはたくさんの人が乗っていた。

 

悪「な、何故アレが空を飛べる?!この世界では飛行は無理な筈…」

 

優「原理が…あるのだろう。ちゃんとした原理がある場合、飛行する事は可能なんだ。

  だが、人が普通に飛ぶだなんていう原理は無いだろう?(月の科学は恐ろしいですね…)」

 

『バッ!』

 

依姫「大丈夫か?!全体、突撃!優を護れ!!」

 

玉兎達『ハッ!ッ?!うわぁぁぁ?!!』ドサササッ

 

豊姫「ちょ、ちょっと皆どうしたの?!」

 

依姫の命令で、玉兎達が優を助けようと地に降り立った瞬間に、全員がその場で崩れ落ちる。

 

玉兎A「ぶ、武器が重すぎて起き上がれません!!」ググーッ

 

玉兎B「それに体に力が入りません!!」プルプル

 

悪「…死ねぇぇ!!」グッ

 

優「ぐおっ?!(そうか、ずっと月に住んで居たから重力の変化に体が追いつけていないんだ!だとすると依姫さん達も…)」

 

優は目だけを依姫達の方へ向けると、丁度飛行物体から飛びだした瞬間だった。

 

 

『ドサッ!』

 

 

依姫「あ、あれ…?地に足を付けた瞬間に力が…」ググッ

 

豊姫「お、重い…!?扇子が重い?!」プルプル

 

優「(やっぱりか…宇宙から帰って来た宇宙飛行士みたいな状態になってるよ…。

  …悪は俺と接触しているよな…よし)…ッ!!空間創造!!」ゴォワァッ

 

優は自分が寝っころがってる地面に別空間の入り口を作る。

その時に破壊者と創造者の2人は足を取られてもう逃げられない状態になっていたが、悪は察知して逃げ出していた。

 

優「アーレス!!最後の役目だ、悪を掴め!!」

 

アーレス「ああ!逃がさねぇぜ!!」ガシッ

 

悪「ぐっ?!は、離せぇっ?!!」バタバタ

 

 

『ズブンッ!』

 

 

アーレスは悪の足を掴み、一気に別空間の入口へと引きずり込んだ。

 

 

『ズキンッ!!』

 

 

優「ぐあっ?!」フッ

 

だがその時に、優の痛みがピークに達して覚醒状態が一瞬だけ解除される。創造者はその隙を見逃さなかった。

 

創造者「ッ!俺の残りの力をこれに賭けてやる!!空間創造『開口』!(現代から調達した物だ!)」ゴオッ

 

創造者が上空に空間の入り口を発生させると、その中から原子力発電所と見られる建物が何個も降って来た。

 

優「ッ!!させねぇ…!!(覚醒!)」ゴオッ

 

優は直ぐに覚醒状態となる。そして原子力発電所が落下する直線状に、新たな空間の大きな入り口を作る。

 

 

『ズンッ!』

 

 

創造者「そ、そんな…ダメ、だったか…!!」ズブブブ...

 

破壊者「うぁ、うわあああぁぁぁ?!!」ズブブブ...

 

創造者と破壊者はその空間内にゆっくりと沈んでいった。

 

依姫「クソッ…!!こ、これだけでも…!!」ズガンッ

 

依姫は体が思うように動かない中、懐にある銃を取り出し、発砲した。

 

 

『ピシッ!』

 

 

優「うっ?!」

 

しかし、撃った反動でずれた所為か、優の腹に命中する。

 

依姫「よし、これで取りあえずは…!!」

 

悪「こ、壊してやる!!壊してやる!!壊して―――」ズブブッ

 

悪は空間に飲み込まれるまで、地を殴り続けていた。やがて、肩が沈み、頭が沈み、完全に全てが沈んだのであった。

また、優も同様に沈んでいっていた。

 

 

『ズブブブ…』

 

 

優「俺はあっちに行ってアイツ等とケリを付けてくる。そしてこの世界から出る前にこれはやっておかなくては…!!」ブゥン

 

優は自分の頭上に空間を開く。すると、その空間から勢いよく長くて大きい物が飛びだして来た。

 

龍神「まさかあの無限に続く空間から出られるとはな…感謝する、優よ…」

 

紫「なっ…?!」

 

藍「こっこれは龍神様?!アイツ等に捕まっておられたのですか!?」

 

優「実を言うと、俺が能力覚醒出来たのは龍神様が拘束寸前に放ってくれた力のお蔭なんだ。

  そのお蔭で悪達を倒す事が出来た。あと、もう少しで俺の父さんと母さんがやってくるだろう。

  やってきた時は「久しぶりに会えて嬉しかった、ありがとう」と伝えておいてくれ」

 

龍神「すまんの…この世界の住民ではない者に任せてしまって…」

 

優「相手が相手ですよ。まさか異世界の自分だったが敵だったとは思わなくて…。責任は自分で拭う物ですからね」ズブブブ

 

優はもう殆ど体が沈んでおり、顔だけが出ている状態だった。

 

優「くっ、…これだけ言っておく。『またな』」ズブブブ

 

優はそう言い残し、空間へ沈んでいった。

 

 

 

 

~優達がいる空間~

 

悪「な、何だこの空間は…?!」

 

悪達3人は、周りを見るなり顔をどんどん青くしていった。なぜなら周りは、何千、何万もの骸骨で埋め尽くされていたからだった。

 

優「分かるか…この骸骨達は、お前等が無理矢理生き返して駒として扱った者のだ。

  また、別世界で悪に殺された者達も混ざっている」

 

創造者「い、一体どうする気だ?!私達を恨み、喰い殺すのか?!」

 

優「ああ、喰い殺すんだ…肉体ではなく、魂をな…」

 

破壊者「ッ?!ヒッ、ヒアアァァァ?!!や、ヤメロォォ、俺を掴むんじゃな―――アアアァァァ!!!?」

 

 

『ガシャガシャガシャ…!!』

 

 

悪(畜生…ここまでかよ…!!畜しょ――― ブツッ!

 

骸骨達は一斉に悪達三人へ動きだし、魂を貪った。そして残ったのは空っぽとなった体だけだった。

 

優「…俺の力もここまでか。いや、よくもってくれたよ…」グフッ

 

優はその場にうつ伏せで寝っころがる。口から大量の血を吐血し続けていた。

 

優(そうか…これが『死』の感覚なんだ…。何だろう、自分の血がとても温かく、ぬくもりを感じるなぁ…。………。)

 

そして優はただ独りの空間でゆっくりと、ゆっくりと呼吸が消していったのだった。

 

 

 

 

 

 

~幻想郷~

 

優が空間へ消えた瞬間、優の覚醒の効果は切れたのだった。

それと同時に依姫は起き上がって、とある機械を取り出した。

 

霊夢「それは…?!」

 

依姫「さっき優に打ち込んだのは誤発射ではない。発信機を付けた弾だ。別空間に行ったとしても探知できる、月の科学の結晶と言える程の物だ」ピピッ

 

機械に反応が現れる。そして依姫が玉兎たちに命じた。

 

依姫「空間融合扉を持って来い!ナンバーは、49d5jだ!!」

 

玉兎達『ハッ!』ドタタタ...

 

玉兎達が飛行物体へ戻ってから数十秒後、ピンク色のドアを持って来て、ドアノブにあるダイアルを回し始めた。

 

玉兎D「準備完了いたしました!いつでも行けます!」

 

依姫「私が3秒カウントダウンするから、突撃と言ったら優の救出に向かえ!いくぞ、3…2…1…突撃!」

 

 

『バンッ!!』

 

 

依姫の掛け声と共に、玉兎達は勢いよくドアを開け、なだれ込むようにドアの奥へと走り去っていく。

 

玉兎A「暗くてよく見えない…」

 

玉兎B「!10m前方に人らしき物体を発見!!確認せよ!」

 

玉兎達はその物体の傍へと近寄る。そして懐中電灯を当てると、優が倒れていた。

 

玉兎C「通信部隊、依姫様に通信を!」

 

玉兎・通信「ハッ!こちら、通信部隊、佐藤優を発見いたしました」

 

『そうか、優を数人で担いでその空間から早く出てくれ!空間がかなり不安定な状態で今にも消滅しそうなんだ!!』

 

玉兎・通信「了解!A・B・Cで優を担ぎ、急いでこの空間から脱出せよ!」

 

玉兎達『ハッ!』

 

その後、優は空間から運び出され、その場で生死鑑定を受けたが、死亡が確認された。

 

 

 

数日後、幻想郷を挙げて優の葬式が行われたのだった。

 

 

 

 

 

 




この作品をご覧になってくれて有難うございます。銀の鰹節です。
今回でとうとう戦いが終わりました。ですけども…優が、亡くなってしまいましたね…。
葬式は人里で行われ、その時に歴史上で一番色んな種族が集まった日になったらしいです。
そして次回はいきなり時が進んで戦いが終わってから5年後の幻想郷から始まりますので、
ご注意を。
それでは今回はここまでにしたいと思います。
次回もゆっくりしていってね!

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