中学生が幻想入り?!   作:銀の鰹節

143 / 147
前回のあらすじ
霊夢が創造者に勝利!
 ↓
優の頭に光の刀が刺さった



#142 悪、パワーアップ!

優「あ…が…」ドサッ

 

紫「?!藍、優を運びなさい!」フォンッ

 

紫は手を伸ばし、その先にスキマを開く。するとそこから藍が飛びだして来た。

 

藍「ハッ!おい優、しっかりしろ!!」ガッ

 

紫「霊夢は此処に残って頂戴。能力を発動して、私達の攻撃が悪本体に干渉するようにしたわ」

 

霊夢「優は…大丈夫なの?」

 

紫「何とも言えないわ。でもあなたは目の前にいる敵に集中する事、いいわね」

 

悪「そうか…俺が動けなかった理由はそういう事だったのか。俺本体への威圧、かなりビビったぜ…」ゴゴゴ

 

悪は紫の威圧が弱まった所を逃さず、自分の威圧で紫の威圧を相殺した。

 

紫「私の体も危ない状態ね…最初っから全力でやってやるわ!奥義『弾幕結界』」

 

 

 

 

 

~優の方は…~

 

藍「…?なんだ、刀が優へ入り込んでいる?!」ズズズ

 

優「うっ…!ああ、ああああああーーーッ?!!!」ガクンッ

 

藍「(取りあえずは抜いた方がいい!それは私でもわかる!)待ってろ、今抜いて…?!触れられないだと?!」スカッ

 

藍は優を地面に置き、光っている刀へ手を伸ばすが、通り抜けるだけだった。そして優に刺さっていた光の刀は全て優の中へと入っていた。

 

優「…」ムクッ

 

すると優がゆっくりと起き上がる。

 

藍「大丈夫か…?」

 

優「…ああ。(どうやら俺は…取り返しのつかない事をやってしまったようだな…)」ヒュッ

 

優は少し先にある大岩に向けて、手を薙ぎ払う。するとその大岩は粉々に砕け散った。

 

藍「?!何だ、その力は…?!」

 

優「限界を超えた力だ…。父さん、母さん、今助けるよ」ヒュッ

 

優はまた手を薙ぎ払い、違う方向にある大岩も粉々にした。

 

優「こうすれば後で来てくれるだろう…」

 

藍「…大丈夫なら良かった。私は紫様の所へ向かう」

 

優「待ってください。移動なら俺が能力を使います」

 

 

『ピカッ!』

 

 

藍「?!あの方向は紫様達が戦っている所か…?優、急げ!」

 

優「わかってますよ、『空間移動』」パッ

 

紫達が居た方角から眩い光が発生する。直ぐに消えた為、おそらく爆発の光だろう。優は能力を使って、藍と共に移動した。

 

 

 

 

 

~悪の方は…~

 

悪「白黒をつける程度の能力…本当に厄介な能力だなぁ、紫?」ググッ

 

紫「ぐっ…?!(核の爆発で体を壊し、その能力でスキマへ逃げる事もできない…ったく、強くなり過ぎよ…!!)」メキメキッ

 

悪は紫を爆発に巻き込ませてから首を掴み、窒息させようとする。傍にいた霊夢が悪に向けてスペカを放つ。

 

霊夢「紫!!霊符『夢想封印』」ズガガガガ

 

悪「ッ!?」バッ

 

 

『ズガガガガッ!!』

 

 

紫「ぐふっ?!(丁度傷を負っている所に…?!コイツ…!!)」ブシュッ

 

だが悪は咄嗟に紫を盾にして霊夢の攻撃を防ぐ。ただ盾にするだけではなく、紫が爆発によって怪我した所に弾幕を被弾させる。

 

霊夢「どうしたら…どうしたらいいの…?!(夢想天生を発動しようにも間に合わない…!!)こんな時、優はどうするんだろう―――」

 

「こうするさ」

 

 

『ザンッ!!』

 

 

悪「なっ?!」ガフッ

 

紫「え…」

 

優の声が聞こえた瞬間に、悪が吐血する。悪の胸には光の刀が刺さっていた。

 

悪「ど、どういう事だ…?!(紫の体を透けて俺の胸に…!)」グフッ

 

優「どうだ…限界を超えた俺の攻撃はよぉ…!!」ブンッ

 

 

『ズガァアァァッ!!!!』

 

 

優が悪に向けて腕を薙ぎ払うと、威力が紫を通り抜けて悪へと伝わり、地面を勢いよく転がりながら吹っ飛ぶ。

 

藍「紫様?!酷いお怪我を…!!」

 

紫「ゴホッ、ゴホッ!わ、私は大丈夫よ、藍…。あ、貴方一体何の力を―――」

 

優「これは…俺の力ですよ。それ以外に何でもありません」トンッ

 

 

『ジュゥゥゥ…』

 

 

優は紫に触れて、力を送る。するとかなりの速度で回復し、元通りとなった。

 

紫「…!」シュゥゥ

 

霊夢「ま、優大丈夫なの?!」

 

優「…。霊夢、お前に渡したい物があるんだ。受け取ってくれるか?」

 

霊夢「え…?」

 

優「この右目を…霊夢に受け取って欲しい」スッ

 

優は自分の右目を指さし、そう霊夢に言う。

 

霊夢「ど、どうして?!優がそのまま持っていれば…」

 

優「この状態になってしまっては、右目が使えないんだ。だから霊夢の右目と俺の右目を交換させてほしい」

 

霊夢「こ、この状態って?!ねぇ、優どういう事なの?!」

 

優「…すまない。どうだ、霊夢…右目を交換させてはもらえないか?」

 

霊夢「…ッ!…」スッ

 

霊夢は優へ何か言おうと口を開くも、途中で止めて、下を向く。

 

優「霊夢…!!時間が無いんだ!交換してくれないか?!」

 

霊夢「…わかったわ」

 

優「ありがとう。じゃあ霊夢は目を閉じてくれ。あとは俺の能力で交換する」

 

優は自分の瞼と霊夢の瞼を手で触る。そして能力を使用し、一瞬で目と目を入れ替える。

 

優「(まさか空間を操る程度の能力でこんな事も出来るとは…)…よし、いいぞ霊夢」スッ

 

霊夢「…これが優の目…(いや、月の眼だったわね。でも優はこんな感じで見えていたのね…)」ギンッ

 

優「さて、と…。これからどうするかだけど…俺は1人で悪と闘う。誰1人俺の戦闘には加わらないで欲しい」

 

藍「な、何を言っているんだお前は?!」

 

紫「いや、藍…。ここは優1人で戦った方が良いわ。さっきの衝撃波を見たでしょう?腕を薙ぎ払っただけであの威力。私達が居たら優がかえって本気をだせないわ」

 

優「そういう事だ。理解が早くて助かる」

 

霊夢「ちょっと待って!あの優の頭に刺さった光の刀は何だったの…?そして今の優は大丈夫なの?!」

 

優「…すまない、相手は待ってくれないようだ」

 

優が視線を送る先には悪がフラフラと起き上がっていた。

 

悪「ぐ…がはっ!?(何だ…威力が強すぎるぞ?!)」

 

優「さて…終わりにしよう、別世界の俺…!!」グッ

 

霊夢「待って!!待ってよ!!そんなの許さないわよ…私の質問に答えてから行ってよ!!!」

 

霊夢は目に涙を浮かべていた。その事からきっとわかっているのだろう。優のこの先の運命が。

 

 

『ギュッ…』

 

 

霊夢「?!」

 

優は霊夢を優しく抱きしめた。そして耳元でボソッと呟いた。

 

優「ゴメン」

 

霊夢「あ…待って、待ってってばぁああぁぁぁ!!!(行かないで!!)」バッ

 

 

『ダンッ!!!』

 

 

霊夢が手を伸ばして優に触れる寸前で、優は思いっきり踏み込み、悪の方へと突進した。

 

悪「この…さっさとくたばれや、この化け物がぁ!!!」ヒュッ

 

優「どうやらさっきの衝撃の所為で体が思うように動かないらしいな!!『光の刀・夕立』」ザンッ

 

優の周りに光の刀が何本も生成され、まるで夕立の雨粒の様に激しく、悪へと刀が突き刺さっていく。

 

 

『グサササササッ!!』

 

 

悪「ぐあっ?!(くっ、刺さった刀が地面ごと俺を固定して、身動きがとれない…!!)」ググッ

 

悪が動けなくなった所に優が歩いて接近する。

 

優「おい…吸収した皆を、返してもらうぞ!!『分身・分裂を操る程度の能力』発動―――」トンッ

 

優が悪に触れた瞬間、悪は光に包まれる。

 

悪「ぐっ?!ヤ、ヤメロ…ヤメロォォォ?!!」ピカッ

 

光が爆発したかの様に一気に強まった瞬間に悪が膨張し、分裂する。分裂した光は徐々に人型へと戻っていき、やがて咲夜達、吸収された人の姿へと戻ったのだった。

 

 

『シュゥゥ…』

 

 

悪「ぐっ…!!皆を助けたから何だ…!俺は生きて、生きて、生きて、生きて、生きて生きて生きて生きて生きてッ!!この残酷な世界を壊し続けるんだ、こんな所で終わってたまるかぁぁッ!!!」ゴゴゴゴ

 

優「そうか…!」キィィィン...!

 

優は動けない悪に向けて手を向ける。すると優の手の周りに光のブロックが数個現れて、光の速度でブロックを悪に放って吹っ飛ばす。

 

悪「ぐわぁ…ごほっ?!」プルプル

 

優「しぶといな…(これ以上威力を出すと幻想郷を破壊しかねない…!!)」

 

剣魔「ゥオラァッ!!」ヒュッ

 

英理「水槍!」ヒュッ

 

悪「ぐふっ?!」

 

優「父さん、母さん…?!」

 

剣魔「俺達は元々死んだ身だ…。それに攻撃を受けたら回復するさ」

 

英理「それに悪は異世界の優だって聞いたし…親である私達がけじめを付けるわ!!」

 

優「…分かった。俺の力では強すぎるから父さん、母さん、トドメを頼んだよ…!!

『光勾・輝朱弾』」ズガンッ

 

優は悪へ光の弾を撃ち込む。すると、撃たれた個所から光の鎖が飛び出し、悪を拘束した。

 

悪「う、動けぬ…!!」ギシッ

 

剣魔「行くぞ、英理!!」ゴオオッ

 

英理「ええ!悪、もう休みなさい…」バシャアアッ

 

剣魔は炎を、英理は水を体に纏う。剣魔が炎の蹴り上げを悪に決めて、上空に飛んだ所を英理が水圧を利用した攻撃で追撃する。

 

英理「拳水・水柱!!」ズドドドド

 

悪「がっ…?!(圧が強すぎて動けない…!!)」グッ

 

剣魔「水と火のコンビネーションがどれ程恐ろしいかを見せてやろう。炎龍!!」ゴオッ

 

剣魔は空中で動けなくなってる悪に神速の突進攻撃を仕掛ける。その時、纏っていた炎が爆発したかのように大きくなり、まるで龍のような形となる。

 

英理「水球牢!」バシャアッ

 

剣魔の突進が当たる直前に、英理が悪を水で包み込む。そして剣魔の突進が炸裂した。

 

 

『ジュゥワァァァァ!』

 

 

悪を包み込んでいた水は一瞬で蒸発し、超高温の水蒸気と化する。その水蒸気を悪が吸った事により、喉が焼け肺が焼けた。

 

悪「ア゙ア゙ア゙ッ?!」

 

剣魔・英理『最後だ!!【炎水・獄洪龍の舞】!』ゴオオッ

 

そして剣魔と英理はトドメに、火と水が混ざり合った龍を悪へと飛翔させる。

 

悪「ぐっ…(どうにかして回避せねば…)」ググッ

 

 

『ヒュンッ!』

 

 

悪が回避しようとした時、下から光の刀が飛んできて、悪に突き刺さった。

 

悪「ぐぅっ?!」ザクッ

 

 

『カッ――――』

 

 

そこに龍が悪に衝突する。眩い光が発生すると共に、轟音、衝撃波も発生した。光が静まるとそこには下半身の殆どが蒸発した悪が居た。

 

悪「ゔっ…(今すぐに自分を霊力の布で包み込む――)」ギュッ

 

だが直ぐに、悪は自分を霊力の布で包み込んだのだった。

 

優「あれは…(吸収する時に作っていた物だったか…?自分自身を吸収する…?)とにかく、止めた方が良いな」ヴンッ

 

優は光の刀を何本も生成し、悪に向けて全て放った。だが、刺さったと同時に飲み込まれていったのだった。

 

優「外側からも吸収するのか…!!だったら能力で―――」

 

優が能力で対処しようとした時だ。突然、布が弾けて空へ中にいた悪が飛び出したのだった。

 

悪「アハハハハ!!!自分が今まで受けたダメージを吸収してみたらこれほどの力を手に入れれるとは思いもしなかったぞ!!!」

 

剣魔「おいおい…何なんだよ、この振動はよぉ?!」

 

英理「動けない…体が、恐怖しているの…?」グググッ

 

 

『パッ!』

 

 

悪が目の前から消えたと思ったら、剣魔の後ろに居て、一瞬で剣魔をバラバラにしたのだった。

 

優「と、父さん?!」

 

英理「?!優、下がりなさい!」ドンッ

 

 

『ザンッ!』

 

 

英理が優を押し倒すと、悪から斬撃が放たれて、英理を真っ二つにした。

 

悪「さて、優…お前はじっくりと遊んでやろう…!!」

 

自分自身の蓄積したダメージを吸収してパワーアップした悪。その攻撃、想像をはるかに超える威力であった。

 

 

 

 

 




この作品をご覧になってくれて有難うございます。銀の鰹節です。
今回はやっと吸収された皆が解放されましたね。そのお蔭で悪が弱くなったと思いきや、自分の体に蓄積されたダメージを力として変換してパワーアップしてしまいましたね。純粋な力ほど恐ろしい物はないと、私は思う。
それでは今回はここまでにしたいと思います。
次回もゆっくりしていってね!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。