中学生が幻想入り?!   作:銀の鰹節

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前回のあらすじ
色々とあったが、月面での戦いは終わる
 ↓
月人と協定を結んだ事に幻想郷中で驚かれる(今ココ!)



#120 ※普通は出来ません

~紅魔館~

 

俺はその1日後、幻想郷に戻った。華仙の所へ行く前に、霊夢達と昨日の事を話していた。

 

霊夢「ふ~ん…つまり優が言うには、私達は異次元空間へ連れ去られていたって訳ね」

 

咲夜「そしてその異次元空間に行く為に、月の民と協力して転送装置を作り、私達を助けに来たのね」

 

優「まぁそんな感じです。間に合ったから本当に良かったよ…。アイツからは何もされていないか?変な所触られたりとか、変な薬を入れられたとか…」

 

霊夢「し、心配し過ぎよ…。優がギリギリのタイミングで助けてくれたから大丈夫よ」

 

咲夜「でもあの時は本当に死ぬって思ったわ…」

 

レミリア「咲夜がそこまで言うなんてね。優、咲夜を助けてくれてありがとう」

 

隣で聞いていたレミリアが俺に頭を下げる。その光景を見て霊夢が驚く。

 

霊夢「アンタが頭を下げるなんて…明日は天変地異でも起こるのかしらね」

 

レミリア「な、何よ?!別に雨ぐらいでいいじゃない?!天変地異って、そんなになの…?」

 

優「あ、アハハハ…さてと、俺はそろそろ行きますね」ガタッ

 

俺はゆっくりと立ち上がり、まとめてきた荷物を担ぐ。

 

霊夢「何、今度は何処に行くの?」

 

優「華仙の所へ修行をしに行くんだ。人里で待ち合わせしている」

 

霊夢「ふーん…少しは休憩したら?体にも限界があるのよ」

 

優「そうだな、少しは休むよ。あと霊夢、時々お前の所に行くからその時は手合せしてくれないか?」

 

霊夢「嫌よ面倒くさい…」

 

優「あとちょっとで大規模な戦いがあるんだから、少しは体を動かしておいた方が良いぞ。それに霊夢と手合せをするのは俺の幸せでもあるからな」

 

霊夢「ふ、ふーん…そこまで言うならしてあげてもいいわよ」

 

優「そうか…!じゃあ行ってくる!」パッ

 

優が目の前から消える。するとレミリアがこんな事を呟いた。

 

レミリア「…なにアイツ、まだ強くなるの?」

 

咲夜「今の優を見ていると、最初の頃が想像できませんね…」

 

 

 

 

 

~人里入口~

 

優「ん~~…月もいいけど幻想郷も良いよなぁ…!」

 

華仙「優さん、ここです」

 

優「あっ此方でしたか!すいません、気付けなくて…」

 

華仙「いえ、時間ピッタリで大丈夫ですよ。…その人魂は?」

 

覇奈「…?」フヨフヨ

 

優「あ、別に気にしなくてもいいですよ。この人魂は俺と行動している『碓氷 覇奈(ウスイ ハナ)』っていうんです」

 

華仙「そうなんですか。それでは私に着いて来てください。ここからかなりの距離を歩きますので頑張りましょう」

 

優「え…飛べばいいんじゃないですか?」

 

華仙「飛んでは意味がありません。それではいきますよ」ザッザッザ

 

優「え…?(まぁ別に歩くのも嫌いじゃないからいいか)分かりました」

 

俺と華仙は歩き始める。だんだん人里が小さくなっていくのが見えた。そして俺はまだ知らない、本当の修業は既に始まっている事に。

 

 

『ザッザッザッザ…』

 

 

優(…もう既に3時間は歩いているな。まだ着かないのか?)

 

華仙「どうしました、歩くスピードが落ちていますよ?」

 

優「あ、あの…少し休憩しませんか?大分疲れてしまって…」

 

華仙「何を言っているんですか?まだ人里からそれ程離れていませんよ?」

 

優「?!」バッ

 

俺は華仙のその一言を聞いた瞬間に、後ろを振り向く。すると、最後後ろを振り向いた時に見た、人里との距離と全く変わっていなかったのだ。

 

華仙「ほら、早く行きましょう」ザッザッザ

 

華仙はまた足を前へ動かし始める。俺も華仙に慌てて着いて行く。

 

優(な、何なんだ?!人里と俺との距離があまり変わっていない?!華仙さんは落ち着いているから敵襲ではないんだな?…うーん、不思議だ)

 

俺は取りあえず、歩く事に集中する。だが、何時まで経っても目的地に着く気配はしないのであった。

 

 

 

~8時間後…~

 

華仙「…」ザッザッザッザ

 

優「ハァ、ハァ、ハァ…!!」

 

これまで俺と華仙はずっと歩き続けた。だが、人里と俺の距離は変わらず、変わったのは昼から夜へと変わった事だけだった。

 

優(人里の方へと帰ろうとしても、いつの間にか華仙の後ろに居て、着いて行ってる…!どうすれば良いんだ…?!どうすれば帰れるんだ…!!)

 

華仙(やはり師匠、この修業は行き成り過ぎます…師匠は『もし出来ないのなら見捨てろ』って言っていたけど容易には出来ませんよ、私には)

 

これから1時間、また歩いたのだが、とうとう限界が来たらしく、優が倒れる。

 

 

『ドサッ…』

 

 

優「ハァ、ハァ、ハァ…!!」プルプルプル

 

覇奈「!、!」フヨフヨ

 

覇奈は優を心配して、優の上を8の字で飛行する。すると今まで一回も遭遇してこなかった妖怪に運悪く出会う。

 

妖怪「ゴォァァアァ…」

 

妖怪は腹を極限にまで空かしているらしく、大量の涎を零しながら俺を見る。

 

優(ダメだ…力が出ない。そして居たはずの華仙も居ない…)ググッ

 

覇奈「…!!」ギュンッ

 

そんな中、覇奈が妖怪に目にも留まらぬ速さで突進する。だが、当たる寸前で優に止められる。

 

優「待ってください!!覇奈さんは逃げてください!!」

 

優は最後の力を振り絞って、覇奈さんへ叫ぶ。覇奈さんは数秒間停止していたが、優の言う事を承諾したらしく、この場から去った。

 

優(あーチクショウ、霊夢の言う事を聞いておけば良かった…。まさかこうなるなんてな…。あ、こころさんにお面まだ作ってあげていないや…とても楽しみにしているんだろうな、あの時の顔は…)

 

妖怪「ガァッ!!!」ダッ

 

妖怪がものすごい速さで優の方へ突進する。優は逃げもせず、今までの事を走馬灯のように思い出す。

 

優(破壊者とか悪とか倒せなかったなぁ…。でも幻想郷の皆には助けてもらってばかりだったなぁ…。何も返してあげられていないや…こんな俺を許してくれよ、皆。そして、ありがとう…!)

 

優がそう心の中で思った時、全身に不思議な感覚が流れる。そして感覚が流れたと同時に、妖怪に噛みつかれる。

 

 

『ガリッ!!』

 

 

妖怪「コカカカカ…」ガブッガブッ

 

優「不思議だな、噛まれているっつうのにあんまり痛みを感じないや…。…………お前も生きる為に俺を食べようとしているんだろうな。じゃあ俺を生きる為に食べるぞ―――」

 

 

『ガブッ!』

 

 

妖怪「グァギャッ?!」

 

優「(すごい…噛んだだけで味が伝わってくる…。おっと、食べる前には言わなくちゃな…)いただきます…!」ガブッ

 

妖怪「グガァァアァ!!!」ヒュッ

 

優「っ?!」ベキッ

 

 

『ブチンッ!!』

 

 

妖怪が優を殴った事により、優が噛みついていた部分ごと吹っ飛んで行った。だが、その程度の傷は妖怪にとってかすり傷程度らしく、既に殆ど回復していた。

 

優「イツツ…もうちょっとゆっくり味わいたかったけど直ぐに飲み込んじまった…ん?なんだ、力が溢れる?!さらに吹っ飛ばされたお蔭で一軒家を見つける事が出来たぞ!?」

 

妖怪「グォォォ!!!」ギュンッ

 

俺が一軒家に気を取られている間に、妖怪は物凄いスピードでこっちに突進してくる。

 

優「っ?!(回避しなくちゃ―――)」ギュンッ

 

妖怪「?!」

 

俺は普通に回避したつもりだが、いつもより動きがかなり速くなっていた。妖怪もそれに驚き、足を止める。

 

優「…体がとても軽い。今なら…!」チャキンッ

 

俺は逆刃刀を抜く。すると何故かは分からないが、妖怪が血相を変えて逃げて行ったのだった。

 

優「なんだ…?まぁ逃げてもらった方が俺としては有難いな…(さて、これ以上動く事も難しそうだし、望みをかけてあの家にお邪魔させてもらおう…!)」

 

俺は家の前に近づき、扉をノックする。すると中から「入れ」とどこかで聞いた事のあるような声が聞こえた。俺はその声に従い、扉を開ける。

 

優「失礼します…!えっ?か、華仙さん?!」

 

華仙「ほ、本当に…やって来た…!?(優さん、あなたは一体何者なの…?!)」

 

???「当り前じゃ。こんな事も出来んかったらこの先は真っ暗だ」

 

優「あ、貴方は…あの時に『波紋』や『覇気』を教えてくれたお爺さん?!」

 

お爺さん「ふん…かなり時間がかかったな、もう待ちくたびれたぞ…!!」

 

優「えっ?!なんでここに…(そういえば、華仙さんが言うには師匠って人の弟子になってほしいって言っていたよな?まさか…)」

 

華仙「そ、それじゃあ紹介します。この方が私に食義や猿武などを教えて下さった師匠です」

 

優「や、やっぱり…。お爺さん、貴方は何者なんですか…?」

 

お爺さん「何をおかしなことを言っておる、何処からどう見てもただの老人じゃないか」

 

優・華仙『いや、それはないでしょう』キッパリ

 

お爺さん「とにかく、お前さんは今『食義』を極めた。その証拠に先程見た抜刀、無駄な動きが無かった」

 

優(さっきの抜刀が、やけに軽かったのはその所為か。もしかして抜刀の速さに驚いて妖怪は逃げたのか?)

 

お爺さん(まぁそれだけじゃないがな。何故かは知らんが、お前さんの中に居る奴が『猿武』の使い方を殆どマスターしておるの…一体何故…)

 

華仙「師匠…」

 

お爺さん「おおっと、すまんすまん。優、お前さんはこれから猿武・食義を極めろ。儂が認めぬ限り、修業は続く。言っとくがこれは強制だ」

 

優「…それよりもまず休ませてください~~…」ストッ

 

 

 

 

 

 

 

 

~一方、(優の)精神世界では~

 

アーレス「おい見ろよ、何とかお前の斬撃を全て受け流したぜ!」ストッ

 

神睡「ぬ、ぬぅ…言葉通り受け流しているなぁ…」

 

アーレス「試によ『九頭龍閃』やってくれよ」

 

神睡「わ、私にできるのか?!」

 

アーレス「んなもんやろうと思えば誰でも出来るって」※普通は出来ません

 

神睡「しょ、承知した…!ハァ――『九頭龍閃』!!」ズドドドド

 

アーレス「うわっほ~い!本当に受け流していやがる!!」

 

神睡「く、九頭龍閃が私にもできたぞーー!!」※普通は出来ません

 

優の中(精神世界)ではとても賑やかでした。

 

 

 

 

 

 




この作品をご覧になってくれて有難うございます。銀の鰹節です。
前回の後書きでも言ったように、更新ペースが落ちます。週に1本となるでしょう。少しの期間は許してください。
今回は、あのお方(お爺さん)が再び登場しましたね。次にお前(読者様)は『あの爺さん人間じゃねぇ!』と言う。…何か、あのお爺さんだけで破壊者と創造者の2人を倒せそう。何か勢いで悪も倒せそう。幻想郷の未来をお爺さんに託した方がいいんじゃない?と最近思い始める、鰹節でした。
それでは今回はここまでにしたいと思います。、
次回もゆっくりしていってね!

(⇩あ、皆さんが思う優の顔の応募ページを今更作りました。遅れてすいません!)
https://syosetu.org/?mode=kappo 【私が思う、優君!】をクリック!

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