中学生が幻想入り?!   作:銀の鰹節

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前回のあらすじ
能力が変化している事をアーレスから聞く
 ↓
2か月間の絶対安静を告げられる(今ココ!)



#114 時が…?!

優「ハァァ…」スゥゥ

 

――怪我の核は…大体70を超えているな。一ヶ所一ヶ所に霊力を集中させて回復を早める…!!

 

俺は布団の上で目を閉じて集中し、怪我の核を探している。核の位置を記憶し、霊力を集中させる。

 

優「うへぇ…これは全回復に1週間もかかるかもなぁ…」ジュゥゥ

 

アーレス〔おい、俺の力も使うか?俺はもう全回復したぞ〕

 

優〔早いな、アーレス。それじゃあ遠慮せず使わしてもらう〕ブワァ

 

永琳「優、体調はどうかしら?」ガララッ

 

核へ霊力と狂気の力を送り始めた時、襖が開いて永琳が検査にやってくる。

 

永琳「検査始めるから体を楽にして頂戴」

 

優「わかりました。そう言えば今日、朝が騒がしかったんですけど何かあったんですか?」

 

永琳「ああ、姫様と妹紅が戦っていたのよ」

 

優「輝夜さんと妹紅さん…(原因は輝夜さんかな?何か想像しやすい)あの、2人共強いんですか?」

 

永琳「…(優の体…前と比べて回復力が上がっている。良く怪我をするからそれに対応する為に変化したのかしら?それにしてもこの回復速度は1ヶ月もかからない可能性が高いわ…!)

 

優「あの、永琳さん?」

 

永琳「えっ?ああ、ごめんなさい、考え事をしていたわ…。で、何かしら?」

 

優「いや、輝夜さんと妹紅さんは強いんですか?」

 

永琳「…強いわね。そしてさらには不老不死でもあるから『死なない強者』ね」

 

優「えっ、不老不死?!」

 

永琳「ええ、そうなんだけど聞いていないのかしら?」

 

優「えっ…えぇっ?!ふ、二人共もですか?!」

 

永琳「え、ええ…(もしかして話さない方が良かったかしら?!そうじゃないと普通は喋らないか…やってしまったわ…)ちなみに私も不老不死よ」

 

優「…もしかしてじゃあ鈴仙とてゐさんも…」

 

永琳「いや、ウドンゲ達は違うわ。普通の妖怪よ」

 

優「そ、そうなんですか…あの失礼な事をお聞きしますけど、永琳さんって何歳ですか?」

 

永琳「う~ん…もう8桁になってからは数えていないからわからないわ…」

 

優「8桁…(一、十、百…千万?!)す、凄いですね…」

 

永琳「ふふ、有難う。さて、検査終わったわよ。貴方、回復速度が早くなっているから退院に1か月もかからなさそうよ」

 

優「そうなんですか!(残念ですけど1週間もあれば全回復できるんですよ、フフフ…)」

 

永琳は「何かあったら呼んでね」と言って部屋から去って行った。俺は再び怪我の核に霊力を集中させる。するといきなり周りの世界が白黒になった。

 

 

『ブゥン!』

 

 

優「っ!?な、何だ…咲夜さんの時止めか…。干渉機能を停止するの忘れてた…。まぁこの止まった時の時間の中でも回復は出来るからいいんだけどな」ズズズ

 

俺は少し驚いたが、直ぐに怪我の癒しに集中する。

俺が再び目を開けた時は、既に2時間も経っていた。だがそれでも時止めは解除されなかった。さすがに妙だなと思い始める。

 

優「…咲夜さんどうしたんだろう。まだ時間が動き出さないな…」

 

俺はちょっと心配になったが、今の体では見に行くこともできないので、再び集中する。

 

 

 

 

 

 

体の傷はもう半分くらい治っており、歩く事も何とかできるようになっていた。ここまで回復するのにおよそ半日使ったのだが、まだ時が止まったままだった。

 

優「…いくら何でも長すぎる。何か咲夜さんにあったとしか考えられない!!(…まず足の方から回復させていったから歩けるようにはなったか…!)」バッ

 

俺が立ち上がり、紅魔館へ行く準備をしようとした時、玄関の方からドアを開ける音がする。俺は直ぐに臨戦態勢となって構える。まだ腕が完全に治っていないので、弾幕をいつでも撃てるようにする。

 

優(もしも…もしも、咲夜さんじゃあない人が時を止めていたとしたら…取りあえず拘束させてもらう。咲夜さんだった場合は話を聞く。良し、それにしよう…!さぁ来い!!)

 

俺は部屋に何者かが訪れるのを待った。だが、襖を開ける音は奥からだんだん近づいてくる。どうやら全ての部屋を確認するようだ。

やがて隣の部屋の襖を閉める音がし、そしてこの部屋の襖の前にいる気配を感じとる。俺は全神経を集中させ、襖の向こうの人物を確認しようとする。

そして、襖は開かれる――。

 

 

『ガララッ!』

 

 

優(右目、スローモーション!!)ギンッ

 

右目のスローモーション機能を起動させ、相手よりも早く確認する。そして襖の先に見えたのは、メイド服を着ていた―――

 

咲夜「…」

 

紅魔館メイド長、十六夜咲夜だった。

 

優「咲夜さん!!」

 

咲夜「?!ま、優…此処に居たのね…!!」

 

優「やっぱり何かあったんですか?!」

 

俺は急いで咲夜に駆け寄る。咲夜の顔を見ると、目が涙ぐんでいた。

 

咲夜「とっ時が、時が止まったままで、時計が壊れて、私には何もできなくて…!!」

 

優「さ、咲夜さん、落ち着いて!何とかなるからまず落ち着いて話を聞かせてください!」

 

咲夜「あ、ああ、ああア…?!!」ガクガク

 

優「目の焦点が合っていない?!咲夜さん、俺と目を合わせてください!!」グイッ

 

俺は咲夜の顔を無理矢理、手で固定させ、目を合わせる。次第に咲夜の眼は静まっていき、焦点が合い、俺の目にも合った。

 

咲夜「あ…優…」

 

優「ッ…!!やっぱりまだ手は治っていなかったか…!!」ズキズキ

 

俺は手が痛かったがそんな事は後回しにして、まず咲夜から何があったかを聞こうとする。

 

優「咲夜さん…俺に何があったのかを教えてくれませんか…?」

 

咲夜「え、ええ…実は半日前、私がいつも使用している時計を落としてしまったの。その衝撃で何故か時止めが誤作動で起きて、解除しようと思っても解除ができなくて…」

 

優「咲夜さん、その時計って今持っていますか?」

 

咲夜「持ってはいるけど…ほら、このようにボロボロよ?」チャッ

 

咲夜は懐から時計を取り出す。時計は落ちた衝撃で表面のガラスが砕け散っていた。

 

優「十中八九それが原因でしょうね(…針は止まったままか…衝撃で歯車がずれたか?それにしても何だろう、この時計を見ていると何かが足りない…)」

 

咲夜「そうだ、前に貴方、右目の力で時止めを解除していたわよね?!」

 

優「そう言えばそうだったけな…わかりました、3秒後に時止めを解除します(3、2、1…)時止め解除」ギンッ

 

俺は前やった時の様に、右目に力を入れる。だが―――

 

優「時が…動かない!?」

 

咲夜「う、嘘…でしょ…?!」

 

この月の科学が集結した目には大抵な事が出来るが、前に出来た事が出来なくなってしまっている事に焦りを抱く。

 

優「…ッ!ダメだ、何度もやっても時が動き出さない…!!」

 

咲夜「うぅ…一体、一体どうしたらいいの?!私にはもうわからない…!!」

 

優「…ん?!咲夜さん時計をもう一度俺に見せてください!」

 

咲夜「時計がどうしたの…見てももう何も変わらないわよ…」

 

優「いや、そう決めつけるのは早いみたいですよ…もう一度よく見てください、特に針を!」

 

咲夜「…!?秒針が無くなっている…?」

 

そう、俺が違和感を感じた理由は針の本数が少なかったからだった。

 

咲夜「でも…秒針が無いからって何が言いたいの?」

 

優「秒針をセットしてみる。そういう事を言っているんですよ。何もしなければこのまま時は止まったままで老いてしまいます。やれるだけの事をやってから諦めたいんです…!!」

 

咲夜「やれるだけの事をやってから…諦める…。……わかったわ、時計の秒針を探してくるわ!」

 

優「待ってください!何で1人で行こうとしているんですか!」

 

咲夜「え…だって、貴方そんな怪我で動けるの?」

 

優「咲夜さん…俺を甘く見ないでくださいよ!瞬間移動!」パッ

 

咲夜「キャッ?!」ガクンッ

 

俺は右目を使って咲夜の後ろへ瞬間移動し、膝かっくんをする。倒れる寸前で咲夜を腕で受け止める。

 

優「ね?甘く見ないでくださいね?」

 

咲夜「…確かに甘く見ていたことは謝るけど、この手は何かしら?」

 

咲夜が顔を紅潮させて言う。俺は直ぐに気付く。咲夜が何故そんな事を言ったのかを。

 

優「…え゙っ?!すすす、すいません咲夜さん?!わざとじゃないんで許してくださいーー!」

 

俺の手は…女性特有の膨らみを持った部位にあった。俺は急いで後ずさる。

 

咲夜「…次やったらマスゴミに話すからね」

 

優「わ、わかりました…以後気を付けます…」

 

俺と咲夜は何だかんだあったが、永遠亭から出て行き、紅魔館へと向かった。

 

 

 

優「久しぶりに来るんだけど…白黒でもわかる程、目に刺激する色だな…」

 

咲夜「うーん…慣れって恐ろしいわね。来た人みんなそう言うのだけど、私は全然大丈夫なのよねぇ…」

 

俺はあえて突っ込まず、目的に移る。

 

優「すいません、話がそれました。時計を落とした場所って言うのは何処ですか?」

 

咲夜「そうね、私の着替え…ハッ?!」

 

優「え…?」

 

咲夜はハッと気付き、俺はえっ?と仰天する。嘘だろ、それじゃあ俺は入れないじゃないか…。

 

咲夜「こんな時は…仕方ない、か…。ハァ、こんな時だからしょうがないけど、中に入って探すのを手伝って頂戴…。見られたくない所は私が探すから…」

 

優「…わかりました(秒針はとても小さい…目を閉じて核を探せば恐ろしい程小さい核がある筈…!!)」

 

咲夜の後に続き、部屋へ入る。そして直ぐに目を閉じ、集中する。

 

咲夜「?!貴方、探す気あるの?!」

 

優「あともうちょっとなんです…!!(何処だ…もっと深く集中しなくちゃ…!!)」ギュゥゥン

 

より集中させると、部屋の細かな物の核が数多く、鮮明に映る。そしてその中から1つ見つけ出す。

 

優「(左の小さな核は動いているから違う…右手前の核は小さすぎる…。一番奥のは…針状の核!!)咲夜さん、前へ5歩の場所周辺にありませんか?!」

 

咲夜「えっ?!前に5歩ね?1、2、3、4…!?びょ、秒針?!貴方、一体どうやって場所を…?!」

 

優「後で話します。それよりも今は時計を直しましょう!この右目、霊力残量を見れるみたいです。通常残量の20分の1しか残ってないから、もう歩くだけでもしんどいでしょう?」

 

咲夜「…そうね。先に直しましょう。でも力が無くて震えてしまうから繊細な作業が出来ないの…。優、お願いしてもいいかしら?」フラフラ

 

優「(俺の手は…ダメだ、まだ完全に回復しきっていない…!!だったら…)咲夜さん、俺の手を握ってください」

 

咲夜「…?こうかしら?」ギュッ

 

俺は咲夜に直接霊力を送り込む。

 

咲夜「?!貴方、何をして…」

 

優「残念ですけど、俺の手の怪我が完全に治療できていないんで、まだ僅かながら震えているんですよ。さっきも怪我の事を忘れて咲夜さんを受け止めてしまいましたし」ズズズ

 

咲夜「だったらこの霊力を、回復に回した方が…」

 

優「それじゃあ咲夜さんが先に力尽きてしまいます。力が無くてできないなら、力を当てればいい。ただそれだけの事何です」ズズズ

 

咲夜「優…でもこんなに送って大丈夫なの?!私はもう霊力が殆ど回復出来ているわよ?!」

 

優「え…あ、本当だ。俺は10分の1も送っていないから、まだかと思ったけど、俺と咲夜さんの通常残量の差が大きいみたいですね」

 

咲夜「何ですって?!(優は人間な筈…なのに、お嬢様と同等、いやこの紅魔館全員分の力を終結させたとしても、優の方が力を持っている…!!明らかに人間が持てるような量じゃあない!!)」

 

優「じゃあ咲夜さん、時計をお願いします」

 

咲夜「…分かったわ。ッ?!」

 

優「どうしました?!」

 

咲夜「…秒針を固定する為のネジが足りない…?!」

 

優「ネジ…?!って、ん??咲夜さん、ネジってあれですよね?」

 

咲夜「え…どこら辺にあるの…?」

 

優「(あ、右目のズーム機能を無意識に使ってた…)ほら、これですよ」スッ

 

俺は床から僅か3mm程の小さなネジを拾う。咲夜にネジを見せると咲夜は目をギョッとさせる。

 

咲夜「確かにそのネジだけど…貴方、視力何度なの…?」

 

優「いや…右目のズーム機能を使って見つけました」

 

咲夜「その右目は何でもありなの…?!でも有難う、これで直せるわ!」ヒュッ

 

部品が揃ってからはあっという間だった。咲夜は瞬く間に秒針を寸分の狂いもせずにはめ込み、時計を元通りにした。すると周りが時計を中心に、色が戻っていった。

 

 

『ブゥン!』

 

 

咲夜「色が…」

 

優「戻った…」

 

外を見ると、鳥が空を飛んでおり、木は風に煽られて揺れていた。時が動き出した。そう理解すると、言葉に出ない程の歓喜が爆発する。

 

優「咲夜さんッ…!!」

 

咲夜「ええ、優ッ…!!有難う!!」

 

優「はいっ!それじゃあ俺は永遠亭へ帰りますね!」

 

咲夜「優」

 

帰ろうとすると咲夜に呼び止められる。

 

優「何ですか?」

 

咲夜「お礼をしたいから、今度人里で一緒にお茶でもどうかしら?優が嫌なら別にいいのだけど…」

 

優「…もちろん良いですよ。声を掛けてくれれば行きましょう!では!」パッ

 

咲夜「はあ…あんな申し出をするなんて私らしくない…。優に甘えすぎかもしれないわね」

 

咲夜は1人となった空間でそう呟いた。

 

 

 

 

 

優「うぅ…眠い。時が止まっていなかったらもう夜の10時くらいだからな…」ブンッ

 

俺は右目の瞬間移動機能を駆使して、永遠亭へ向かった。自室へ向かう途中で誰とも出会う事はなく、何事も無かったかのように布団へ潜り、ボーっとする。そして気付けば眠っていた。

 

優「スカー…」

 

鈴仙「優、体を拭きに来たわよって…珍しいわね、こんな真昼間に寝ているなんて。フフ、寝顔が可愛いわね♪」ツンツン

 

優「ふぇっ…?!」スカー

 

鈴仙「まぁ寝てもらっていた方が都合がいいし、勝手に拭かせてもらうわよ」グイッ

 

優「むにゃ…時よ止まれ、『世界』…」スピー

 

鈴仙「変な寝言。あれ?(師匠の話によれば一ヶ月くらいで治る傷ぐらいって言っていたけど…もう2週間あれば完全に治りそうね。足の方は…完全に回復しているわ。回復が偏るなんて珍しいわねぇ)まぁいっか!」

 

優はそのまま眠り続け、晩御飯が出来るまで起きなかったらしい。

 

 

 

 

<優が寝言を言った時>

 

咲夜「?!」バッ

 

レミリア「?どうしたの、咲夜?」

 

咲夜「い、いえ…何でもありません…(今…一瞬、ほんの一瞬、0,1秒くらいの短さだったけど時が止まった…?!)」

 

レミリア「…まぁ貴女がそう言うんだったらいいわ。あぁ、久しぶりに優の血が飲みたいわぁ…」

 

咲夜は密かに焦りを抱き、レミリアは血に飢えていた…。

 

 

 

 

 

 

 




この作品をご覧になってくれて有難うございます。銀の鰹節です。
今回は優と咲夜の回でした。私の中での、咲夜の能力は、自分でも時を止める事が出来るけど、時計を使った時の方が消費霊力は少ない、と言うような感覚で進めているので、ご理解をお願いします。
後、皆さんに質問します…。皆さんは私が想像している優がどんな顔なのかが気になりますか?過去に、優が気になる、という意見を頂いたので公開しようかなぁ…と検討中ですが、それに反対する人が居るならば、止めようかなぁ…と思います。
あ、私の絵の腕前は、悪い意味でヤバいのでご注意を。(犬を書こうとして象を書いちゃったりも…)
もし公開する事になっても、あ く ま で私のイメージなので、皆さんは今までの優のイメージ像は捨てず、ああ、銀さんはこんな感じをイメージしているのね、ふーん。みたいな軽い感じで見てください。(この顔は嫌い、もう一生この作品読まねー。なんて事になったら悲しいですからね…)
良いですか、あ く ま で私のイメージですのでご注意を。まぁ見たいか見たくないかを言って欲しい訳です。
長文失礼しました。

それでは今回はここまでにしたいと思います。
次回もゆっくりしていってね!


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