中学生が幻想入り?!   作:銀の鰹節

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前回のあらすじ
守矢神社へ行って、霊夢達と合流した
 ↓
優が眠ってしまった(今ココ!)


#109 神睡

『ズガァァン!!!』

 

 

優「――っ?!危なかった…」スタッ

 

男「…躱したか。素早いな」

 

優「このぉ…炎符『業火の槍』!!」

 

優は男の刀を躱して、スペルカードを宣言する。しかし、何も起こらなかった。

 

優「なっ?!」

 

男「弾幕やスペルカードも発動できんぞ!!せぇやっ!!」ヒュッ

 

優「くっ…ハッ!」バッ

 

男が刀を薙ぎ払った時、俺は空中へ跳んで体を捻らせる。そしてギリギリで回避する事が出来た。

 

優「…成程、ここの空間は弾幕や能力も使えない。倒すなら拳で捻じ伏せろという事か」

 

男「左様。さぁ始めよう…!!」

 

優「(…波紋とかも使えない。本当に自分の力でやれっていうのか!)今度は俺からだ、フンッ!」ヒュッ

 

男「遅い!」ブゥン

 

優「消えたっ?!」

 

男「違う、上だ!!」ヒュン

 

優「!?くっ…」サッ

 

 

『ザンッ!!』

 

 

男は高く跳びあがり、刀を下へ向けて勢いよく刺してきた。優は男の声のお蔭で反応でき、回避する事が出来た。

 

優「…よし。ウオオッ!!」ダッ

 

男「そう何度も突進してくるだけじゃこの俺は倒せんぞ!」ヒュッ

 

優「くっ…!」サッ

 

男「何っ?!」

 

優は刀を躱し、一気に男の懐へ入り込む。そして男の腕を掴み、刀を封じる。

 

優「これでお前は刀を使えねぇぞ…!!」

 

男「ほう、面白い。だがここからどうする…?」

 

優「そうだな…こうするよっ!!」ヒュッ

 

男「グッ?!」ガンッ

 

優は男に渾身の頭突きをくらわせる。男は顔を歪ませ、後ろへ後退する。しかし優は男の腕を離さず、もう一発頭突きを放った。

 

優「オラァッ!!」ヒュッ

 

男「ぐううっ?!!」ゴンッ

 

優「(ここだ…!!)止めだぁぁ!!」ヒュッ

 

男「ぐっ、あ゙…」ドスッ

 

俺は最後に男の胸に膝蹴りを決める。男は口を開けて苦しそうに倒れる。

 

優「ハァ…俺だって幻想郷の住民なんだ。少しぐらい肉弾戦が出来ないと認められない…!」

 

男「…その様子だと自分は勝ったと思っているようだな…」ヒュッ

 

優「え―――ぐっ?!」ガッ

 

男「ハァッ!!!」ズガッ

 

優「ぐほっ?!」ドムッ

 

男は優を蹴り上げ、そしてすぐさま踵落としで地面に叩き付ける。地面に落ちた時に胸を強く打った所為で呼吸をするのが難しくなる。

 

 

 

~守矢神社~

 

優「ぐ…」ツー

 

メディスン「?!(え?何で寝ている優の口から血が出てきているの?!それに呼吸も…だ、誰か呼ばないと!!)」タッタッタ

 

霊夢「…?(血相を変えた顔して優が寝ている部屋から出て行ったけど、何かあったのかしら?)」

 

霊夢はメディスンが慌てた様子で部屋から出て行ったのを見て疑問に思い、優の部屋へ向かう。

 

霊夢「…?!優、大丈夫?!何で口から血が出ているの?!…早く永遠亭に運んだ方が良いかもしれないわね…」

 

霊夢はこの後、他の人の力を借りて優を永遠亭へ運んだ。

 

 

 

 

~精神世界~

 

優「ぐ、うう…!!」

 

男「勝利という確信が油断を生み、敗北へと繋がる…だから私は勝ったかのような発言はしない」

 

優「くそぉぉぉ!!」ブンッブンッ

 

男「呼吸がうまくできないのに無理矢理体を動かして殴りかかるか!それではわざわざ自分の体力を無駄にしているだけだ…!」サッ

 

優「く、はぁ…」ガクッ

 

男「…(やはり落ちたか…まだ行動に移るのは早かったのか?いや、お前を見て来たがもう十分な程に力がある筈だ。一体何を躊躇しているというのだ、優…?)」

 

優「はぁ…はぁ……ふぅ、やっと息が整った」

 

男「?!お前、いつ呼吸を元に戻す仕草をした?!まさか今の二呼吸で元に戻したというのか?!」

 

優「そんなのはどうでもいい…俺は、自分に過大評価していたみたいだ。もしこの人を殺してしまったらってな。でも立場が違うって事を今認識したよ…いくぞ…!!」

 

男「…(目が変わった…コイツはまずい。さっきまでもまぁまぁ強かったが本当にまずい)よし、来い…!!」

 

優「スッ…ハッ!!!」ヒュッ

 

男「腕が消え――――ぐうう?!」ベキンッ

 

俺は高速の正拳を男に打ち込む。男は何とか反応して拳を受け止めたが、威力が強すぎてよろめく。

 

優「まだだ!3連正拳!!!」ザッ

 

男「くっ?!(このままでは一方的だ!!)このっ…!!」ヒュッ

 

男は刀を前に出して、優の拳を受け止める体制に移る。だが優は止まる事無くそのまま殴りかかった。

 

男「何っ?!」

 

優「うおおお!!!」ズガガガン

 

 

『ブシュッ!!!』

 

 

優「ぐ…!!」ボタタ

 

男「グハァッ…!!」ドサッ

 

優「(呼吸を乱してはダメだ…)ハァァァ…!!!」コオオオッ

 

男「ぐ、くそっ!」バッ

 

優「…(?!ま、まさか波紋が使えるのか?!だが弱い…)でも無いよりはマシか!ハァァ!!!」ピリッ

 

男「な、何っ?!波紋も使えぬようにした筈だが波紋を出しているだと?!」

 

優「おい、俺はこの拳でお前を倒す…!!」コオオオッ

 

男「…(まずいな、アレを使うしかない!)あぁ、来い!!」

 

優「ハッ!くらえ…山吹き色の疾走波紋(サンライトイエローオーバードライブ)!!」ズドドドド

 

男「誘え…!!」ヒュッ

 

優は拳のラッシュを男に送り込む。だが、男は優が技を発動したと同時に刀の形状を変化させ、さらにもう一歩同じ刀を増やして優に応戦した。

 

優「ッッ?!!な、腕が…それに体も?!」ダラーン

 

男「はぁ…はぁ…全く恐ろしい事をしてくるなぁ…」

 

優「な、何をしたんだ?!」

 

男「…俺の能力だ。お前の腕…いや、体は強制的に『眠り』へと誘った」

 

優「ね、眠り…?!(何だ、意識も…)」フラッ

 

神睡「ああ。俺の名は『神睡(シンスイ)』、幻想郷だと『眠らせる程度の能力』と言った所だ。ほら、戻してやるよ」トン

 

神睡は刀の柄頭(刀を握る所の一番手前の部分)を俺の体に当てる。すると体が動くようになり、意識もはっきりする。

 

優「え…どういうつもりだ?!」

 

神睡「なぁに、俺は一番最初に言った筈だ。『力を見るだけだ』ってな」

 

優「…全く記憶にないんだけど出鱈目を言ってはいませんよね?」

 

神睡「ぬ?…確か言った筈だ!」

 

優「確かって何だよ?!はぁ…もういいや。でも何で神睡が俺の中にいるんだ?」

 

神睡「ああ、何て言ったらいいんだろうな…そうだ、俺はお前の魂に反映した刀だからだ!」

 

優「は?」

 

神睡「まあ単刀直入に言うと『斬魄刀』って奴だ。俺が今持っている刀が俺本体だ」

 

優「え、えーと…」

 

神睡「まぁこれからは俺も使ってくれと言う事だ!ん?目が点になっているけど呑み込めているか?」

 

優「いいえ、全く…」

 

神睡「マジか…つまり、俺はお前の斬魄刀!お前は俺を使って戦うの!わかったか?」

 

優「(取りあえずはわかったと言っておこう)あ、ああわかった」

 

神睡「良し。それと俺を使う時には『誘え!神睡』と言ってくれ。でないと始解できないから」

 

優「わかった」

 

神睡「後もう1つ。俺を出したい時は中(精神世界)から俺を呼びださなくちゃいけないんだ。でなければ始解どころの話ではないからな」

 

優「わかった」

 

神睡「よし、じゃあもう解放するぞ!寂しいと思ったら俺の所に来い。話をしてやろう、じゃあな」ファアア

 

 

 

 

辺りが光に包まれる。俺は思わず目を瞑る。再び目を開けるとそこは見覚えのある天井だった。そして俺の周りに早苗や霊夢達が座っていて、驚いた顔をしていた。

 

霊夢「ま、優…?」

 

優「んんー…はぁ。どうした皆、俺をそんなジッと見つめて。あれ?ここって永遠亭?守矢神社にいた筈じゃあ…」

 

魔理沙「お、おい!大丈夫なのか?!」

 

優「は?」

 

小傘「優ったら寝ているだけなのに思いっきり血を出して寝ていたんだよ?!」

 

優「血…?ええっ、何だコレ?!!」

 

俺は自分の指を見て驚愕する。何と、切れた痕があったのだ。もしやと思い、精神世界で受けた傷の所を見てみると見事に傷が残っていた。

 

優「嘘だろ…」ガクガク

 

 

『イッテェェェェ?!!!』

 

 

この日、永遠亭に優の悲鳴が響き渡ったとさ。

 

 

 

 

 

 

 




この作品をご覧になってくれて有難うございます。銀の鰹節です。
今回は精神世界での戦闘回でした。これで優は斬魄刀を持ってしまいましたね。なに?虚退治でもするの?ハァ…木刀に逆刃刀に斬魄刀…立派な3刀流となりました。この先どうなるの…?
それでは今回はここまでにしたいと思います。
次回もゆっくりしていってね!

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