幽々子の『飢えた寝人』を目の当たりにした。
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命蓮寺に降りると、何故か敵対視…(今ココ!)
優「くそっ!!」ハァハァ
俺はいきなり星とナズーリンに襲われ、なんとか回避している。
優「星さん、ナズーリンさん、止めてください!!」
星「貴方が大人しく捕まってくれればの話です!」
優「くっ…!!」サッ
俺は星達を納得させようと話しかけるも、冷静を忘れた2人には聞こえなかった。
ナズーリン「いつまで逃げているんだいっ!さっさと捕まった方が楽だよ!」
ナズーリンはそう言うが、それはできない。まだ事態をしっかりと把握していない為、捕まったら何をされるか分かったもんじゃない。
優「くっ…(すいません、お2人共!)分身!」スゥゥ
俺は分身を2人作り、1人ずつ星達の方に向かわせる。そして手が届くまで距離が狭まった時、技を発動させる。
優【分身達】「水遁『水牢の術』!!」バシャア
ナズーリン・星『ガババッ?!!』
優「…。どうです、落ち着きましたか?」ザッザッザ
星(水の中で動きが…しかも重い…)
ナズーリン(ぐっ…息が…)
優が星達の所へ向かっている時―――
『ザクッ!!』
優の胸から尖った物が突き出る。そして服が赤く滲んでくる。
優「…え?」ジワァ
俺は後ろを振りむくと、前に命蓮寺に来た時にいた、ぬえと呼ばれていた少女が、持っている槍で俺を突き刺しているのが見えた。
そして本体の損傷により、分身が消える。
『スゥゥ…』
ナズーリン・星「ぐっ!(ぐあっ?!」バシャア
分身が消え、水の中から星達が解放される。優は槍を刺された状態でまだ動く事は出来なかった。
ぬえ?「ねぇあんた等、油断しすぎなんじゃないの?」
優「き、君はあの時の…」
ぬえ「あら、私の事覚えておいてくれたんだ。私は『封獣(ホウジュウ) ぬえ』、この寺に住み着いた正体不明の生き物だよ!」
優「ぐ…何故、君は俺を殺すつもりで突いた…?命蓮寺は不殺を主義にしている筈…」
優の胸からどんどん血が流れていく。どうやら心臓を中心に貫かれたらしい。
ぬえ「…星やみんなに手を出すなら私は許さない。ただそれだけを理解して逝きなさい」
ナズーリン「ぬえ…ま、て…ゲホッ!」
星「ぐ…(気管に水が…いけません、ぬえ!殺しては…!!取り押さえるのが…!!)ゲホッ!」
星達の思いはぬえに届かず、ぬえは槍を優から抜いた。すると優はそのまま地面に倒れた。
ぬえ「…ふぅ」
妖怪A「おお…人間を倒した…!!」
妖怪B「そうか、そうだよな…!!俺達は妖怪、力なら人間に勝てるぞ!!」
ぬえが優を倒すと周りにいた妖怪達が動き出す。
ナズーリン「な、お前達!ダメだ、人間に手を出しては…」
妖怪C「ナズちゃん、私達にはやらなきゃいけない事があるのよ…!!」
星「いけません!これ以上犠牲を増やすなど…」
妖怪達「うおおお、人間めぇ!!叩きのめしてやるぅ!!」
妖怪達は怒気に身を任せ、人間が押しかけている門の方へ向かっていった。星は止めようと声を掛けるも届かなかった。その時後ろの方から、大きな音がして命蓮寺の敷地内に響き渡る。
『パァンッ!!』
全員『っ?!』バッ
全員はその音に驚き、振り返る。するとそこには立つ筈のない人物がいた。
優「どうだ、落ち着いたか?」
ぬえ「何で…お前が…?!」
優「ん?どうして俺が立っているんだって言いたい顔だな。そうだなぁ…今まで見たのが全て幻術だ、って言ったら信じるか?」
ぬえ「え…で、出鱈目を言うな!!私が人間の幻術にかかる訳ないだろう!!じゃあいつから幻術だって言うんだよ!」
優「…星さん達が襲ってきた時だ」
星「なっ?!私達が貴方に水で封じ込められましたよ?!その証拠に服だってほら…あれ、濡れていない?」カラッ
ナズーリン「まさか…本当に、幻術だと言うのか…?!」
優「はい、この右目の力ですよ。えーっと…」スッ
優はポケットから小さく折り畳んだ紙を出す。紙には『右目取扱い説明書』と書いてあった。
優「幻術、幻術…ああ、これだこれだ。今のは開眼『空の眼』って言う技なんですよ」
ぬえ「…ふざけるな、まだ言うのか!私が人間の幻術には…」
『やめいっ!』
優「?」
横から大きな声が聞こえる。横には狸の大きな尻尾が生え頭に葉を乗せた女性が居た。
ぬえ「ま、マミゾウ…」
ぬえはその女性を知っているらしく、目を大きく見開いて彼女を見ていた。
狸女「その者の言っておる事は本当じゃ!かなり強い幻術だった…これ程の幻術を扱う人間など見たのは初めてじゃ…!!」
ぬえ「嘘…本当に幻術だって言うの…?!(刺した時はしっかりと手応えがあった…あれは実体としか思えない…)」
優「…」
狸女「…あと、お主には儂らに敵意がないのもわかった」
星達「…え?」
狸女「ぬえ等が幻術にかかっている時、攻撃をせずにお前らが落ち着くのを待っていたのじゃ…」
星「じゃ、じゃあ私達は急ぎ過ぎて…」
ナズーリン「敵意のない知り合いを押さえつけようとしていた…のか?」
狸女「そうじゃ…もっと儂が早く前に出て言うべきじゃったの…すまんかった」
優「…人間達を倒そうと思っている妖怪さん達も、一旦止まってくれませんか?」
妖怪D「何だと…?ふざけるなよ!少しだけでも人間に…」
優「止まってくださいと言っているでしょう!!このままでは人間と妖怪の『戦争』へ発展してしまいますよ?!」
優がそう叫ぶと辺りは静寂に包まれる。そして優はその機を逃さず、直ぐに行動へ移る。
優「【俺から半径200mの空間は俺の空間だ】、空間移動!!」パッ
優はその場から消え、命蓮寺の門前に移動する。
門前では、聖と水蜜と一輪達が門の扉を抑えていた。
人間達「開けろぉぉ!!!出てこい妖怪共、俺達が相手だぁぁ!!!」
水蜜「んぎぎぎ…!!人間達の力が強すぎる!!」ググッ
一輪「雲山、もうちょっと頑張って頂戴…!!聖姐さん、このままじゃ扉が壊れちゃう!!」ググッ
聖「くっ…!?優さん?!」ググッ
優「はぁ…空間移動!!」パッ
優は門前に押しかけてきている人達を門から離れた所に移動させる。そしてその隙に…
優「三点結界!!」ピキーン
三点から発生した結界を作り、命蓮寺を包み込んだ。
優「(取りあえず落ち着く時間が必要だな…)まだまだぁ、簡易結界15層!!」ピキキキキーン
そして三点結界の上に簡易式の結界15枚を張る。
優「これで最後だ…反射結果!!」ゴォーン
最後に作った結界は、逆刃刀の能力も込められており、全てを弾き返す結界だった。しかも厚さが50cmとかなり分厚い。結果、優は命蓮寺を計17枚の結界で包み込んだ。
優「カハッ!ハァ…ハァ…!!」ゼーハー
そのため、霊力の消費が著しく、息が乱れていた。
人間達「くっ、結界だ!しかも分厚い!俺達じゃあ開けられねぇ!!出てこいやぁ、妖怪ーー!!」ウオオオッ
優「(これで妖怪達が落ち着けるスペースが出来た…)ぐっ…!」フラッ
覇奈「!」ポスッ
優は霊力を一気に消費しすぎて倒れかけるも、覇奈が間一髪で受け止める。
優「う…覇奈さん有難うございます…」
聖「優さん、大丈夫ですか?!待っててください、今寺の中へ運びます…!!」
優は聖達に抱えられ、寺の中へと入って行った。だが、その途中で優の意識が無くなり、記憶が途絶えた―――。
この作品をご覧になってくれて有難うございます。銀の鰹節です。
今回は優が頑張って何があったかを聞き出そうとしていましたね。でも、その前に気を失ってしまいましたけどね…。優は何故、命蓮寺に結界を張ったのでしょうか?理由は妖怪を落ち着かせるだけじゃなさそう…。
それでは今回はここで終わりにしたいと思います。
次回もゆっくりしていってね!