ハドラー子育て日記 異世界家族旅行編   作:ウジョー

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不死身の救世主の巻

『久しぶりにジゼルの様子を見に この世界にやってこれましたね』

 

「夜か 人間は多くが寝ているのではないか?」

 

『私たちの気配に気づけばジゼルの方から会いにくるでしょう』

 

アバンに子が生まれたのを冷やかしに行ったつもりが

3つ子だったことで子守に巻き込まれた

ようやくヒュンケルとヒムの子育てレベルがあがり

子守は任せてこの世界にきた

 

     フッ

 

「この気配ジゼルか ムッ!?」

 

リリルーラであらわれたジゼルだったが全身が燃え盛っていた

 

[ハドラー様!!]

 

『ジゼル!?』

 

オレの胸元へ飛びついてきたジゼルだったがその炎はオレを焼くことはなく

 

「冷たいだと!?」

 

『この炎は一体!?』

 

「この炎に込められた気は・・・哀しみ、か?」

 

[う。。う。。。]

 

よく見ればジゼルが泣いている

 

『私たちに会えなくて寂しかったのでしょうか』

 

「いや この燃え方は どこか違う

・・・どうやらこの妙な炎 周囲から集めているようだ」

 

『周囲?』

 

「以前リングでの戦いで周囲の熱気を無意識に取り込んだことがあった

あのときに近いものだろう」

 

『ですが これほどの哀しみの気が集まるとは

この世界に何があったのでしょうか?

・・・ここはあの方たちに事情をお聞きしましょうか』

 

「パンチとロン毛か

まあヴァンプ将軍たちが世界征服を達成した様子でもなし

それが確実か では松田ハイツへ行くぞジゼル ルーラ!」

 

   ギュンッ

 

 

「着いたな」

 

燃え続けるジゼルがくっついたまま 部屋を訪ねた

 

   ピーン ポーン

 

  ガチャ

 

{ハドラーさん いらっしゃい

おやジゼルちゃん 泣いているじゃないか!?

もしかして・・・・・・

これを読んだのかい}

 

出迎えたロン毛が小さな鏡のようなものを触ると

そこには・・・

 

「これはオレとアバン、

地底魔城で魔王を名乗っていたときのオレと勇者アバンの戦い

やつのアバンストラッシュで

オレが宿敵にはじめて敗れ殺されたときの絵か」

 

ジゼルがうなずいている 少しは落ち着いたようだがまだ燃えている

いつも思うが・・・

なぜこの世界にはオレの過去がこうして伝えられているのか?

 

『そういえば 以前もあなたの過去の戦いの映像を見て

ジゼルが泣いていましたね』

 

「だがあのときはこのような炎ではなかったが」

 

〈ジゼルちゃんがとりこんでいるのはこの世界の哀しみだね

・・・つい先日 漫画の神ともよばれる先生が下界を離れ

天界入りしたのですよ

そのニュースが報道されたことで世界中が悲しみに包まれました〉

 

「ほう そんなことが」

 

[・・・・・・そういえば メアリたちも大泣きしてた]

 

{天界でもちょっとした事件になったよね

天部のまゆ毛の太い編集さんが天国の門で入待ちしていたらしくて

受付の当番をしていた私の弟子と揉めたらしくて・・・}

 

〈すみません そのまゆ毛そちらに行ってましたか!!〉

 

{その後もまゆ毛の太い編集さんが天国のいたるところに出現するから

先生が落ち着ける場所を父さんにつくってもらうかと}

 

〈ほんとすいません うちのまゆ毛が!!!〉

 

{先生はまゆ毛の編集者に縁があるね ・・・

世界を覆う悲しみとジゼルちゃん自身の悲しみが重なったことで

この炎が生まれたようですね}

 

「・・・事情はわかったが この状態をどうするか」

 

『延焼するわけではないようですが

ジゼルをこのままにしておけません』

 

〈・・・はい はい ではそのように

・・・ええ これから説明します〉

 

     ピッ

 

〈ハドラーさん ジゼルちゃん 聖母竜さん 外に出ましょう

この世界に広がる悲しみに

私も ともにできることがありますから〉

 

{私も 私のかわいい子羊たちのために・・・}

 

二人に促され松田ハイツをでて近くの広場に行くと

 

『え!?そうなのですか!?

いえ たしかにそうなのですが せめて先にジゼルに説明を』

 

どうした聖母竜 だれと会話している?

 

{ここならいいかな}

 

〈そうだね アパートだと松田さんにご迷惑がかかるかもしれないし〉

 

{じゃあ連絡して、あっ!?}

 

[なにっ!?]

 

ジゼルが光に包まれ大きく変化する

これは竜変化!? だがこれはジゼルの元竜姿ではない!

スカイドラゴンに似ているがはるかに大きく 妙な気を発している

 

神竜(しんりゅう)様・・・』

 

「竜の神 つまりお前の上司か

ジゼルはどうなった」

 

『コーセルテルにある同化術に近い術でジゼルの体と集まっていた力を使い

一時的に下界に顕現したようです』

 

{神竜さん わざわざありがとうございます}

 

〈君んとこ 本当にそれっぽいのいるよね〉

 

{ハドラーさん 私たちは彼と世界を巡ろうと思います}

 

〈この巡礼で下を向くみなさんが上をむけるようになれば

ジゼルちゃんを取り巻く冷たい気も収まります〉

 

「なるほど ではオレも同行しよう

この世界の広さはわからぬが ジゼルの魔力を補給できる」

 

〈では行きましょうハドラーさん〉

 

{斉天大聖さんも合流するらしい

夜とはいえ 空を飛んでいればみんなすぐにわかると思う

GT最終回を見ていればこれがどういうことか}

 

〈・・・それはどうかな?〉

 

「こやつらが言うことはたまによくわからん」

 

『失礼ですよ!

あのお方たちがおっしゃるのです

それに神竜様がおいでになったのですから』

 

実際に神竜の姿になったジゼルらと共に世界を何周かすると

世界の哀しみとやらはやわらいだのか人間の姿になったジゼルの炎は消えていた

 

・・・だが それだけではだめだ

 

 

 

 

     フッ

 

オレはジゼルを連れてルーラをとなえ再び世界を越えた

 

[ハドラー様 ここは?]

 

「ここはオレがもといた世界」

 

[?ここがですか

夜とはいえ空気が随分違いますよハドラー様]

 

「夜ではない ここは元々光がない世界、魔界だ」

 

[ハドラー様のふるさと!?]

 

やはり知っていたか 例の鏡のようなものには

かつて若いオレが魔界で魔王としての決意の思い出まで映し出されていた

・・・・・・青いな昔のオレ

流石にあれほど青臭いオレの姿まで出回っているのはどうにかならんか

 

『それはもう手遅れですよ 私ももうちょっと読みたいですが

それよりも なぜわざわざ今頃この魔界に?』

 

「ふん ジゼルが昔のオレの死にいちいち動揺するのは

今のこのオレの力にどこか不安を感じるところがあるのだろう」

 

[そんな!?ハドラー様!??]

 

ジゼルは否定するように首を振るが

 

「構わん 思えば無理もない

だが、それも今日までのことよ よく見ておくがいい」

 

『何をするつもりですか?

それに ここは魔界のどこですか?』

 

「冥竜王ヴェルザーの拠点城のひとつだ

バランによってヴェルザーがたおされたとはいえ

この魔界には まだまだ残党がいる そしてここには・・・」

 

⁅やあ これはこれはハドラー君じゃないか

驚いたもんだ キミ 生きていたんだね⁆

 

ヴェルザーの城からオレを出迎えたのは見覚えのある長身の道化姿の男

 

「死神キルバーン

お前にも相当借りがあったことを思い出してな

地獄からまいもどったというわけだ やはり生きていたか!」

 

『ダイに黒の核晶(コア)を使ったあの・・・!』

 

⁅クククッ あいにくボクは不死身でねェ・・・

キミに心臓をブチ抜かれた程度じゃあ死ねないのさ⁆

 

「ふん」

 

オレは死神の顔へあの冷える炎をぶつけた

 

   ゴオ!!

 

⁅な!?⁆

 

   ガシィ!

 

炎に包まれた頭にとびかかり つかみ確信した

 

「やはりいかにお前でも!

ヴェルザーの拠点で黒のコアは使わないようだな」

 

⁅なにを!?⁆

 

     グワシャ!!

 

オレは死神の人形の頭を握り潰し 体を八つ裂きにした

 

「ふん お前の人形遊びのタネはすでに割れている

アバンとマァムに倒されたフリをして魔界に戻って

またつまらんことを企んでいたか」

 

⁅おやおや ずいぶんと詳しいじゃないか

どうやらボクの正体も知っているようだね

でもここはボクの主 ヴェルザー様の拠点、

バーンパレスの死の罠(キル・トラップ)とは比べ物にならない質と量を誇る死神御殿さ

キミ程度じゃあどうにもならないよ

それとも かの勇者ダイ君やアバン君でもよんでくるかい?⁆

 

城の中から声が響いてくる

あの手の罠は発動のために術者がある程度近くにいる必要がある

やはりこの城の中にいるのは間違いないだろう

 

「それは好都合だ そこで待っていろ 

オレの怒りの一撃は やはりオレ自らの手でやらねばな!」

 

⁅フン 前にもましてずいぶんと嫌われたもんだねえ

そんなにかわいいお供をつれてこの城を攻略できるとでも?

ただではすまないよ⁆

 

[お構いなく死神さんとやら

ハドラー様の前では あなたはジョーカーをひく運命にある]

 

⁅・・・なるほど チビの分際であの生意気な女王の人形によく似ている

このボクに占いで勝負を挑もうなんて1000年は早いんじゃないかなァ ケケッ⁆

 

「小さくともオレの娘だ

敵を前に死を恐れる者など オレの子には一人もおらんわぁっ!!!」

 

⁅まったく あのときにキミをキッチリ始末しておくんだったよ

まあいいさ ちょうど退屈していたところなんだ

ヒュンケル君がいないけど・・・

ボクとキミ 本当の不死身がどちらか 賭けようじゃないか

チップは互いの命・・・久しぶりに楽しくなってきた⁆

 

   ゴゴゴゴゴ・・・

 

『ようこそとばかりに 城の門が開きましたね』

 

「罠があれば食い破り 敵が来れば倒すだけだ

いくぞジゼル!」

 

[はい!ハドラー様♡]

 

 

 

この日 光の差さない魔界を獄炎に包まれた城が明るく照らした

 

 

 

  ハドラーはレベルがあがった

  メラ(-)(氷炎系呪文)をおぼえた

 

 

  ジゼルはレベルがあがった

  いとしさとせつなさと心強さがあがった




鳥山明先生の訃報に沈んでいたウジョーです

先生の連載をリアルタイムで楽しめていたのあの頃がどれほど贅沢なことだったのかと
思わずにはいられません
とりあえずDQXオフラインをやりながらサンドランドのゲームを楽しみに待ってます
DQもDBもこれからどうなることか・・・

彼岸が過ぎても暑さ寒さが極端な今日この頃
私も一応治ったとはいえ2度目のコロナにかかったりと世の中油断できません

くれぐれもご自愛いただきお疲れの出ませんように

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