ハドラー子育て日記 異世界家族旅行編   作:ウジョー

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ヒムの子守り奮闘記

オレは獣王遊撃隊の12番隊員ヒム

だが今は久しぶりに創造主ハドラー様より

直々に重大な使命を仰せつかった忠実なる兵士ヒム!!

その使命とは・・・

 

[ヒムお兄ちゃん ここはどこ?]

 

{ここはデルムリン島・・・

昔ハドラー様が拠点としてブラスじいさんに任せ

ハドラー様が勇者アバンと戦いダイ・ポップとの因縁を生み

今はオレたち獣王遊撃隊の総本部がある島だ

・ ・・それはそれとしてジゼル その・・・

「お兄ちゃん」ってのはやめてくれねえか

なんかムズがゆくてな・・・

ヒムちゃんって呼んでくれい}

 

゜オレは呼び捨てでいい゜

 

[わかった ヒムちゃん ヒュンケル]

 

今回の任務はヒュンケルもいる

ハドラー様は元々ブラスじいさんに

ジゼルを任せる為この島に来たそうだが

じいさんはダイと共に旅にでていた

オレはちょうど遊撃隊の定期会議の為に島に帰っていた所で

ハドラー様に再会しこの命を受けた

オレもヒュンケルもジゼルの存在をここではじめて知ったが

妹と紹介されたときはびっくりしたものだ

ハドラー様が修行中に生み出し5歳ぐらいらしい

ヒュンケルはたまたま居合わせただけで

ハドラー様の命令を聞く義理はないなんて言ってたが

おまえの叔母にあたるとハドラー様に指摘された途端に

乗り気になった その理屈だとオレはこいつの叔父か?

アバンの使徒の長兄であるこいつは頼りになるが

今はハドラー様から子守の参考になると渡された本

『ハドラー子育て日記 ジゼル編』を読んでいる

 

[ねえねえ 遊ぼうよヒムちゃん!]

 

{おうよ!}

 

ヒュンケルがチラチラとジゼルの様子を見ている

あいつ・・・そんなに気になるなら直接手を貸せよ

 

{それじゃ 島をざっと一回り走って・・・}

 

゜まてヒム!

この日記によるとジゼルは極度の方向オンチだ

迷子になったら面倒だ

このダイの家からあまり離れない方がいい゜

 

{あん そうなのか?}

 

[まあこの家の中なら迷いようがないけど・・・

じゃあ紙芝居読んでよ ヒムちゃん!]

 

{ああ この荷物は紙芝居だったのか

どれどれ・・・ あん?これって・・・}

 

゜まてヒム それはオレの父さんがでるようだ

・・・オレにまかせろ゜

 

ヒュンケルの紙芝居の読み聞かせがはじまった

オレはジゼルと共に大人しく聞いていた

ハドラー様の魔王時代の紙芝居は面白かった

これが全てハドラー様の手書きとは

オレたちハドラー親衛騎団も知らない

ハドラー様の意外な側面に驚きの連続だった

このジゼルのこともそうだ

オレ達のような禁呪法で生み出された存在ではなく

ハドラー様だけでなく聖母竜の血を引く火竜ときく

生まれた経緯は日記を読んでもよくわからなかったが

卵の時からずっとハドラー様の手により育てられているとは

アルビナスが化けて出そうだな

そんな女王アルビナスやヒュンケルの父親

バルトス大兄貴の名を継ぐ存在

 

[おおー だんだん読み方がうまくなっていく]

 

この小さな妹を見ていると不思議な気持ちになっていく

 

紙芝居の内容がハドラー様の過去だということは

演出上の理由で伏せられているらしく

ヒュンケルのやつも一応名前を出さないように配慮していた

していたが・・・時折言葉に詰まる場面がある

バルトス大兄貴とあいつ自身が同時にでている時だ

 

゜お・・・おまえを・・・ル・・・と・・・

名・・・付け・・・・・・゜

 

あやうく名前をだしそうになっていたが

もうほとんど言葉になっていない

代わってやろうかと思ったが 自力で持ち直した

なんだかんでジゼルも楽しんだようだが

紙芝居を読み終えたところで

 

[そういえばハドラー様いつ帰ってくるかな?]

 

{さあな オレは何も聞いてねえが

わざわざオレ達におまえさんを頼むくらいだ

ちょいと時間がかかるんじゃねえか?}

 

[んーーー・・・]

 

ジゼルが急にうなりだした これはひょっとして

 

{リリルーラ(合流呪文)?!

ハドラー様のところに行くつもりか?!

ちょっとまて!}

 

[あれ?]

 

{呪文に失敗した?

いやそれともオレの勘違いか}

 

゜いや ジゼルはリリルーラが使えるはずだ

それが失敗したということは・・・゜

 

ハドラー様の身に何か?!いや大魔王のいない今

ハドラー様の脅威になる存在なんて・・・

 

[ハドラー様ーーーーーー!!]

 

なんとジゼルが家からとびだした

 

ギューーーン

 

{トベルーラまで使えるのかよ!しまった!

もしルーラを使われたらどこにいくかわかったもんじゃねえ!}

 

゜いや この日記によるとルーラは使えないらしい

オレは地上からジゼルを探す

おまえは空からだ この島からでるとは思えんが急げ!゜

 

ヒュンケルが一方的に言い放ち捜索に向かった

 

ダァン!!   ギューーーーン

 

空に飛ぶと ジゼルが飛び回っていたのをすぐにみつけた

 

{ジゼル速いな かなりのスピードだ

まるで騎士・シグマや女王・アルビナス並だぞ}

 

だがオレもレベルアップを重ね素早さもかなりあがった

あのくれえなら・・・

 

      ギュアッ

 

{うっ!?}

 

  ビュン!! ギューーーーン!!

 

間近で見てわかったがジゼルは

トベルーラだけではなく

風を纏い暴走していた

 

{この暴風 僧正・フェンブレンを思い出すぜ

やっぱりおまえはオレ達の妹だ

だから教えてやるぜ このお兄ちゃんが

上には上がいるってことをな!!}

 

   ビュッ!!

 

    バシィッ

 

ジゼルをつかまえた

 

{オレのオリハルコンの体にこんな風はきかねえ

スピードだっておまえより速いやつとやりあってきたんだ}

 

[ハドラー様! ハドラーさまどこーーー?!!]

 

{聞いてねえな おーい ジゼルー}

 

ジゼルを抱きかかえながら眼下の森に下りると

ちょうどヒュンケルがやってきた

 

゜よくやったヒム゜

 

{おう! だが捕まえたのはいいが

ジゼルはまだ混乱したままだ どうする?}

 

゜それなんだが 日記によると・・・゜

 

      ゴアッ!!

 

{うおっ!?}

 

ジゼルから炎がふきだした!

 

゜くっ!゜

 

ヒュンケルはうまく炎をかわし日記も無事のようだ

オレの体もなんてことはないが・・・

 

{ジゼル大丈夫か?!}

 

[ハドラーさまあーーー!]

 

さらに火力が上がっていく

 

゜ヒム!それは術暴走だ!!

本人に炎のダメージはないが

自分の炎を制御しきれていない状態だ゜

 

{どうすりゃいいんだ!?}

 

゜そのままでは周りの森に燃え移る

すぐに海岸に移動しろ!゜

 

{わかった おまえもすぐにこいよルーラ!!}

 

   ビューーン         

         ドン!!

 

海岸の砂浜にジゼルをつれてきた

この後はどうするか・・・

いっそジゼルを抱いたまま海に浸かって

冷えるのを待つかそれとも・・・

ジゼルのようすをみると

めをつぶったままハドラー様をよびつづけている

 

{目をあけろ ジゼル!}

 

[いや~! つめたい~!]

 

なんだ?まだ海に入ってもいないのに冷たい?

オレのこのオリハルコンの体のことか?

そういえばこいつは火竜だったな

ジゼルの顔の前に左手をかざし

 

{ならばこれでどうだ!!

超熱拳(ヒートナックル)!!!}

  

     ギャウウウ

 

オレの左手が火炎の力で急激に熱くなる

 

{どうだ? オレの得意技よ

ハドラー様よりさずかった火炎の力だ}

 

[ハドラーさまの・・・火・・・?]

 

ジゼルがうっすらと目をあけていく

 

[あ・・・ハドラー様の髪・・・]

 

その開いた瞳にオレの銀髪がうつりこんだようだ

 

{こいつもハドラー様からのさずかりもの・・・だ}

 

ジゼルの発する炎が急速に弱まっていく

 

[ヒムちゃ・・・ん・・zzz・・・]

 

完全に鎮火し体温も戻ったと同時にジゼルは寝たようだ

 

゜ジゼルは無事か?!゜

 

ようやくやってきたヒュンケルにジゼルの無事を伝え

寝ているジゼルを抱いたままルーラでダイの家に帰った

日記によると術暴走は力の制御下手な子竜には

きっかけ次第でよくおきることで

変種であるジゼルは消耗が激しく十分な休息と

栄養の補給が必要らしい

オレはダイの家に戻ってからもジゼルを抱きながら

ヒュンケルが台所で料理をしているのを見ていた

 

{おまえさん料理なんかできるのか?}

 

゜当然だ オレはアバンの最初の弟子だ

師はオレに剣だけを教えるのを良しとしなかった

それにこの日記にはご丁寧にジゼル用のレシピも

充実していた この程度造作もない゜

 

流石ハドラー様冴えてらっしゃる

この事態も予測してたに違いねえ

ヒュンケルの手際は 言うだけはあり

材料の調達もすぐにすませ みるみる料理ができあがっていく

 

[・・・zzz・・・]

 

ジゼルはよく寝ている それはいいが

 

{そんなに量を作ってどうするんだ?

こんな小さな体にそんなに入るとは思えんのだが}

 

゜あ・・・   おまえも食うか?゜

 

{オレは食えねえよ}

 

こいつもこんなミスをするのか

ハドラー様だけじゃねえ

オレが選んだこの永遠の好敵手も 知らない面が

まだまだあるようだ

 

゜まあ ジゼルが残せば オレが食えばいい

・・・早く帰ってくればハドラーのやつに

食わせてやってもいい・・・か゜

 

[ハドラーさま?]

 

ハドラー様の名前に反応したのかジゼルが目をさました

 

゜起きたかジゼル 具合はどうだ?

何か食べるか?゜

 

調理の手を止めたヒュンケルがジゼルの様子を見に来た

 

[いいにおい・・・ たべる・・・]

 

゜ほら ゆっくりたべろ゜

 

ヒュンケルがてずからジゼルに飯をたべさせている

できたてで湯気がたっている

オレには料理の名前も味も想像できないが

ジゼルはよく食べている

 

[・・・ハドラーさまのおかゆと似た味がする

美味い・・・!]

 

ジゼルはそう言って涙を流していた

 

゜・・・そうか ゜

 

ハドラー様の味・・・か それは受け継げなかったな

オレも料理習おうかな

 

・・・その後 ハドラー様がジゼルを迎えにくるまで

オレ達はつきっきりでジゼルの子守をした

ジゼルはオレには大分懐いたが 

ヒュンケルには今ひとつ懐いていない

と、いうよりヒュンケルが世話をやきすぎて

逆に反発されているようだ

 

              ヒムはレベルがあがった

 

              ちからが3あがった

 

              すばやさが2あがった

 

              たいりょくが3あがった

 

              かしこさが1あがった

 

              うんのよさが1あがった

 

              さいだいHPが4あがった

 

              さいだいMPが2あがった

 

 

 

              ヒュンケルはレベルがあがった

 

              ちからが3あがった

 

              すばやさが1あがった

 

              たいりょくが2あがった

 

              かしこさが3あがった

 

              うんのよさが1あがった

 

              さいだいHPが4あがった




勉強しなきゃいけないときほど執筆がはかどるウジョーです・

今回は初のハドラー様が一切でてこないヒムの一人称回、
そしてすごい久しぶりのダイの大冒険世界のデルムリン島が舞台と
色々勝手が違いましたがいかがだったでしょうか

お盆時期によくある親戚の年下の子の面倒をいきなり見ることになって
振り回されるお兄さん二人組みのイメージです

連日の猛暑日に熱帯夜 くれぐれもお疲れのでませんように

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