ハドラー子育て日記 異世界家族旅行編   作:ウジョー

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七五三編 さらば 愛する地上よ

ここは魔界の入り口・・・

 

「と、書かれてはいるが そう呼ぶには違和感がある」

 

『異世界とはいえ 地上の建物、

試合会場の入り口ですからね

それより早く入りましょう

ジゼルが待つ控室に行かなければ』

 

「わかっている」

 

今日は悪魔超人の若手たちがジゼルの試合を見る権利を賭けて

武を競う武闘大会がこの会場で行われる

人間の見物客も多く集まる大掛かりなものだ

 

「悪魔超人軍の若手がジゼル目当てに全員参加か

この世界の悪魔は阿呆ばかりか」

 

『ジゼルには幼いながらも魔性の魅力がありますから

仕方がないですね』

 

どこか上機嫌な聖母竜のいつもの親馬鹿はさておき

この大会を制すれば悪魔超人軍の中でも頭角を現すことができる

ヒラの兵隊から幹部級への昇格への一歩という野心によるもののはず・・・

 

  \プレゼンターにジゼル嬢がきてるらしいぞ!/

 \このあいだの試合で勝ち取った新衣装のお披露目か?!/

 \ギョギョー 例え悪魔に魂を売っても絶対に勝ち取る!/

 \ゲパーッパッパ 我らこそが悪魔なんだがな/

\カンラカンラ 着物のような衣装だった よく似合いそうだ/

 

若い悪魔たちの話し声が聞こえてきたが

やはり阿呆ばかりのようだ

アホタレ悪魔の若僧共と親馬鹿聖母竜・・・

まったく ろくなのがおらん

 

『あ!あそこがジゼルの控室ですね』

 

  ガチャ!!      バッ!!

 

[待っていました!ハドラー様♡!!!]

 

急にドアが開きジゼルが飛びついてきた

普段着で化粧をしている途中のようだった

ジゼルを胸に張り付けたまま控室に入ると先に会場入りしたヒムと

ジゼルに化粧を施していた様子のメアリがいた

 

{お待ちしていました ハドラー様}

 

〔お久しぶりです ハドラーさん〕

 

「ああ またジゼルが世話になっているなメアリ

感謝する ありがとう」

 

〔いえいえ メイクが得意な人は東女にはいっぱいいるのに

ボクがムリ言って 着いてきたんだから気にしないでください

それよりも 例のアレ そろそろ始まりますよ

今日は最終回ですから みんなでテレビ見ましょう!

ジゼル キリのいいとこまでメイクやっちゃうからこっちに来て

ハドラーさんに少し白粉(おしろい)ついちゃったし〕

 

[「『あ』」]

 

たしかにジゼルが抱き着いてきたオレの胸元に白い粉が少しついていた

ジゼルを引き剝がし 粉を払い ヒムが出した椅子に座った

 

「最終回 これでダイとバーンの戦いに決着がつくということか」

 

映像は〝双竜紋″の力を全開にしたダイと

自らの〝鬼眼″の力を開放したバーン

なりふり構わず互いに死力を尽くした決戦がいきなりはじまった

 

〔アバンあるのはこのアニメじゃ珍しいね〕

 

「アバン?ダイとバーンしかいないように見えたが?」

 

〔あー ここで言うアバンは先生じゃなくて

オープニングソング前に入るストーリーのことで、

あ オープニングがはじまった これも今日で最後か~

いつもと違うところがないか探そ〕

 

『前もこのようなやりとりがあった気がしますね』

 

「さらば 愛する地上よ、か」

 

ダイが真魔剛竜剣を手に バーンへ

最後の一太刀を仕掛けた

 

「あの構えはギガブレイクか」

 

父バランの魂と共に ポップ達に別れを告げるように

繰り出した会心の一撃が鬼眼王となったバーンの腕を粉砕したが

肝心の鬼眼に達するところで

 

[ああっ!?剣が折れた!?]

 

「あの真魔剛竜剣が・・・」

 

思わず自分の首に手をあてる

かつてオレの首を刈りかけたあの剣が・・・

 

「今思えば・・・

意外と肝心なところで切れ味を発揮していないなあの剣

かつてのダイとバランの闘いでもダイに致命傷を与えることなく折れた」

 

〔ハドラーさん それをいっちゃあ・・・

大体そこで切れてたら話もぶった切っちゃうよ〕

 

{うまいこと言うなお前さん}

 

『バランがダイを斬るなんて悪夢でしかありませんよ

そこは剣が折れるべきでしょう』

 

バーンの反撃を受け またも追いつめられたダイに

ポップの言葉が蘇る

 

「閃光のように・・・、か」

 

ダイの剣がバーンを切り裂いていく僅かのあいだに

アバンとの初対決から続いたあの闘いの日々が

閃光のようにオレの頭を駆け巡った

 

空向こうにまで及んだ最終決戦はダイの勝利で

鬼眼王バーンをまっぷたつにすることで終わった

 

『この後のバーンの爆発にダイが巻き込まれた際に

あなたの遺灰と砕け散った輝聖石(アバンのしるし)がダイを守ったのです』

 

ああ このときだったのか

 

『私はこの後あなたの灰と輝聖石(アバンのしるし)の欠片を回収して

落下するダイを地上の仲間達の元へ誘導しました』

 

ほうお前にしてはいい仕事をしていたのだな

 

[ダイ君が帰ってきてみんな楽しそう]

 

〔みんなで勝利を喜び合うってほんとに楽しいんだよね!

あ!アイキャッチ画像が最終回の定番集合絵だ!〕

 

{あ オレもいるぜ!}

 

[ハドラー様がいない・・・あ、もう終わった]

 

「見たところアバンとダイの勇者一行関係者の集合絵だろう

ヒムはともかくオレがいては場違いだ」

 

〔大丈夫だよジゼル こういうアイキャッチは

もう一枚 対比になるものがあるのが定番

王道アニメだからCM後にハドラーさんが

でてるのがあるはずだよ!

あ!家庭用ゲームのCMきた!まだ発売日未定か~〕

 

[ハドラー様いた!!]

 

{オレはこっちにもいた!}

 

〔やっぱり魔王軍サイドもあったね〕

 

『バランもどちらにもいましたが・・・

私はどちらにもいないのですね・・・・・・』

 

・・・・・・まあそれはさておき

勝利の喜びを分かち合うダイ達の前に

あの死神キルバーンがあらわれた

 

[またでた!?]

 

{あんのやろ~ 何回見ても憎たらしいぜ!!}

 

その気持ちはよくわかるが

死神がその正体と切り札の黒の核晶(コア)を明かした

 

「今思えば・・・ オレの最後の一撃

アバンの後ろに透明になって近づいた死神を退けた

オレのヘルズクローが もう少し上の頭に当たっていたら

相当まずかったな 本当に今更だが・・・」

 

〔あ~・・・ たしかに危なかったですね〕

 

アバンとマァムの連携で逃げようとした死神の本体をたおしたが

 

「今の死神の最期が不自然だな

死んだふりをしてリリルーラで逃げたようにも見える

オレも閃華裂光拳を腕で受けたことがあるが

魔族が直撃を受けても体がとけて消えるのは奇妙だ」

 

[え!?じゃあまだ生きてるの!?]

 

{そいつはまずいぜ!

あの場にいたオレたちはあいつは死んだものだと思いこんだままだ!}

 

「アバンすら騙し通したあの死神が逃げた証拠を残すとは思えんが

魔界のどこかで機をうかがっているかもしれんな」

 

ダイとポップが黒の核晶ごと上空へ飛んで行った

そしてダイがポップを蹴り落とし・・・爆発

 

『このときに私とバラン あなたの灰と輝聖石のかけらがダイを守り

それでも瀕死の重傷を負ったダイを天界まで運びました』

 

そしてオレが蘇生されたあのときにつながったということか

 

『もう随分と昔のことのようですね』

 

まったくだ

 

そして映像はダイを探す旅をするポップ達や

間抜け面で王座につくアバンらを流し終わった

 

「この世界の事情はまだわからんことが多いが・・・

よくこれほどの再現映像が作れたものだ

オレの紙芝居など作る必要なかったか」

 

[そんなことありません!!

ハドラー様が私のために作って

ハドラー様の声で語りかける!

あの紙芝居以上のものなんて ありません!!]

 

{そのとおりですハドラー様!}

 

〔まあ 推しのファンサービスとしたら

あれ以上のものは中々ないもんね

ジゼルのプレゼンターもファンサの一環だからがんばらないと!

さあ こっち来てメイクの続きやろうね〕

 

力説するジゼルと同意するヒム

ジゼルの化粧を再開するメアリ

最近作ってなかったがまた紙芝居の続きも作らねばならんか

 

『楽しみですね』

 

気楽なものだな聖母竜 だが悪くない気分だ

 

「ジゼル これを置いておこう

メアリ 後は頼めるか」

 

〔あ!これって・・・〕

 

[楽しみにしてましたハドラー様♡]

 

 

 

 

   カンカンカンカーーーーン!!

 

Winner(ウィナー)レックス・キング~~~~ッ!!

チケット争奪悪魔生き残りマッチ決勝戦

悪夢(ナイトメア)レックス・キングVS悪魔の種子(デーモンシード)ザ・タトゥーンマンの一戦は

レックス・キングの逆襲のザウルス・スプラッシュで見事

東京女子プロレス11月の大大会チケットを勝ち取りました!!

 

【ギョギョーーーギョギョギョ!!!】

 

〔さあ ここで熱気冷めやらぬリングに魔王ハドラーに伴われ歩いてくるのは

女子プロレスラーリトルドラゴン・ジゼル!!

先の七五三ラストマッチで勝ち取った着物衣装に身を包み

プレゼンターとしてリングインだーー!!

その華やかな衣装と お人形さんのような可愛さに

会場のボルテージがさらにあがったーー!!〕

 

「さあ 回復してやろう ホイミ」

 

   パアアーーーー

 

〔ジゼルとともにリングインした魔王が激闘を終えた

レックスとタトゥーンに回復呪文だー!!

まさに魔法!傷ついた両レスラーの傷がみるみる治っていくーー!!〕

 

【グギョギョ~ ありがてえ・・・】

 

「フン 何を勘違いしている

お前も竜を名乗るならその力を直接オレに見せてみろ!!」

 

『大人げない・・・』

 

〔あーーーーっと なんとハドラーが恐竜超人レックス・キングを

片手で持ち上げワンハンドスラムの体勢にはいったーーー!!〕

 

[ハドラー様♡]

 

【カンラカンラ!待ってもらおうか!!

雪華葬い十手ーーーー!!】

 

    ガシィン!!

 

〔あーーーーっと 準優勝者のタトゥーンマンが

右腕の巨大十手でカットに入った!!!〕

 

【これ以上の狼藉は たとえ魔王が相手だろうと

このザ・タトゥーンマンが 許しゃしねえよ!】

 

「ほざくなあッ 若僧どもめがっ!!

ならばオレにたてつく二人まとめて相手をしてやるわっ!!!」

 

〔なんと リング上で急遽魔王ハドラーと若手悪魔ツートップの対決が!!〕

 

{ちょっとまったーーーー!!!!}

 

  ブン 

 ズドォォン!!

 

〔なんとなんとリングの中央に光り輝くオブジェが降ってきた!!

それはまるで巨大なチェスの駒 兵士(ポーン)のようだ!〕

 

 カッ  ギュン  ギン  ジャキン  バギン パシン

 

〔さらに人型に変形した!?

この超人の正体はいったい!?〕

 

{・・・オレはハドラー様の息子でありジゼルの兄

獣王遊撃隊 12番隊員! ヒム!!

可愛い妹とハドラー様のために 助太刀する!}

 

「よかろう

小僧共 ジゼルの手からこの券を受け取りたければ

我ら〖獄炎親子組〗にその力を示すがいい!!」

 

{そういうこった!

おいそこのレックスとやら

ハドラー様の前で(キング)を名乗ろうなんざ

10年早いんだよ!!}

 

【ガギュイーーン!今更そこか!!

なら恐竜王レックス・キングが親子まとめて料理してやるぜ!!】

 

【古今東西~~!さあさ~~~っ

ご用とお急ぎでない方は見てって頂戴!

この〖悪魔歌舞伎(デーモン・カブキ)座〗が〖獄炎親子組〗相手に

面白い見世物を観せてやるぜ~っ

ジゼル嬢も赤コーナーリングサイド特等席でとくと

ご覧あれーーっ!】

 

[はーい がんばってハドラー様!ヒムちゃん!

レックスとタトゥーンも!]

 

     カーーーーン

 

〔闘いのゴングが鳴ったーーーー!!〕

 

 

 

結局この試合はオレ達 獄炎親子組が勝った

サンシャイン達は若手に上には上がいることを

実力で示すことができて好都合だと言っていた

ジゼルの試合の観戦券は人間の技を研究し再戦の為の糧にしろと

オレから若僧2人に渡しておいた

そしてジゼルの回復呪文を受けて安らかに運ばれていった

 

『本当に大人げない・・・ まあ

あなたの闘いを間近で見れたジゼルがとてもご機嫌なので

なによりですけどね』

 

ダイの戦いぶりを見て 体が熱くなり

どうにもおさまりがつかなかった

まさに あのタトゥーンマンが言っていた

〖手舞い足踏めば九十にして老いず

手閑にして脚怠れば十九にして人滞る〗か

あやつもかつて相当老いぼれに痛い目にあったようだ

・・・・・・オレのようにな




今回のハドラー様はブーメラン投げすぎな気がするウジョーです
ダイの大冒険のアニメが終わって土曜日が寂しくなりましたがまだVジャンプの過去編
発売予定のゲームと ネタには不自由なさそうです
後はリンドリの新作情報があれば・・・
アニメ鑑賞ネタはまだやりたい回がかなりたまっているのですがハドラー様の最期は
過去編の最終回を見てからの方がよさそうなのでまだしばらく熟成させつつ
ヒム対ヒュンケルかアバン対死神あたりはボチボチ書くかもしれません

ダイの天界治療は過去の拙作『ハドラー子育て日記』でお読みいただければ幸いです
あれもう7年も前に書いたのか 原作のダイの大冒険連載期間ぐらいたっていたとは

すっかり寒くなってコロナも再び広がりだし年末の忙しさも加わってきました
まずはしっかりとご自愛し お疲れのでませんように


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