ハドラー子育て日記 異世界家族旅行編   作:ウジョー

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七五三編 最後の一太刀~ベストセレクション

七五三のためにジゼルの新しい武闘着を作るにあたり ジゼルと共にいる時間が必要だと

東女に伝えたところ まとまった時間がとれると提案された日がいくつかありそれを吞んだ

 

当日 後学のために武闘着作りを見学したいレスラーが何人かおり許可した

 

「どうせ秘密にするようなことではない

ジゼル 髪を使うぞ」

 

[どうぞ♡ ハドラー様]

 

ジゼルの髪を数本抜き 持ってきた布に融合させる

 

〔今の何ですか?〕

 

「ジゼルの体に布を合わせる処置だ

ジゼルの急な変化の度に破れていては役にたたんからな

これでたとえ元竜の姿になっても服が邪魔になることはない

ジゼル そこに立て」

 

[はい♡ハドラー様]

 

ジゼルが裸になってオレの前に立ち 肩から布を当てる

 

「この程度か」

 

初リングの武闘着を作ったときから体がほとんど成長していない

リング上や修行中のときは成長したように見えるが

こうしてオレのそばにいるときは小さい体のままだ

 

「精霊に近い竜の外見は心の成長に伴い変わるはずだが

オレのそばに戻るたびに子供返りするのはどういうことか?

変種のせいで成長の仕方が違うのか ジゼルが甘ったれなのか

オレと会うことが成長の妨げになるのであれば考えねばならんが」

 

『おそらく変種のせいでしょう

他に例のない生まれ方ですからこういうこともあるでしょうし

私もジゼルのような産み方の子供は はじめてですから』

 

どちらにせよジゼルの服を作る間は何度かこうして直接会う必要がある

しばらくは様子を見るか

 

「とりあえず 大まかなイメージができた

このまま切る」

 

〔え ハドラーさん型紙は?〕

 

「不要だ」

 

布を軽く切り裂き 丸い穴を空ける

 

   スパン

 

〔え!?布が切れた・・・

ハドラーさん ハサミやナイフは?〕

 

「いらん オレの手で切れぬ布などない」

 

穴からジゼルの頭を通してかぶせ

腕と胴体に合わせ布を切り そのまま縫い合わせた

 

〔ハドラーさん・・・針は?〕

 

「糸に闘気をまとわせれば このまま縫える」

 

   チクチクチクチク・・・

 

〔しかも速い! 真似できる技術が少ないのが残念ですが

ジゼルの体にぴったりはりつくように服ができていく

でもあれってリンコスじゃなくて下着もかねたボディスーツみたい〕

 

「そうだ

デザイン画にある服はこの上に重ねるように布を足して作っていく、

だが 今日はここまでだ

ジゼル これから1週間修行中はこれを着ろ

その上に これまでの服を着ればいい

実際の動きを参考に手直しを繰り返し完成に近づけていく」

 

[それは はじめての作り方ですね]

 

「戦いのための服だ 妥協はせん」

 

〔あの ハドラーさん

着ると強くなる服はプロレスのルール上まずいのですが〕

 

「安心しろ この武闘着の守備力は皆無だ

服のせいで強くなったと勘違いされては本末転倒だ

あくまで服が邪魔にならないための処置にすぎん」

 

   スパ  チクチクチクチク

 

股下も切って縫い合わせ 腹部に脱ぎ着するための切れ目を一ヶ所作り

布一枚から服が出来上がった

 

「とりあえずこれで動いてみろ」

 

[はい ハドラー様!]

 

ジゼルの体の動きを見る 今のところ問題はない

 

〔ハドラーさん 折角ですから あの放送を見ていきませんか?

今日はハドラーさんとダイ君との最終決戦 最後の一太刀の回ですよ〕

 

「・・・あの時か わかった見ていこう」

 

ジゼルが今作った服の上に先程まで着ていた稽古着を重ねて着てオレの膝に乗った

 

「こういうことをしているから子供返りを繰り返すのではないか?」

 

     ポイ!

 

ジゼルをつまんで放り投げた、が

 

     クルクル

 

[ジゼルダーイブ♡♡]

 

2回宙返りひねりでもどってきた

 

「ほう 技は切れるようになったな」

 

    ビシ!

 

    スチャ!

 

手刀で叩き落としたがまた膝の上に着地した

 

『成長は感じたようですし このままでよいのでは』

 

邪魔にならなければな

映像は既にはじまっている

ダイが剣の鞘で魔法剣を強化し

対するオレは生涯最後の一撃のために力を高めている

 

ギガブレイクの構えで向かってくるダイの後ろにバランが

そして剣を持ち替えアバンストラッシュの構えでさらにアバンの姿が映り込み

三位一体となったギガストラッシュがあのオレに直撃した

 

『あなたも最後の一撃を放つ前に

あなたの子供達の姿を背負ってましたね』

 

「・・・互いに最高の一撃だった

あの勝敗には今でも悔いはない」

 

[ハドラー様・・・]

 

   ギュ

 

敗れて朽ちていくオレを見て 今のオレに抱き着いてくるジゼル

ダイに握手を求めていたオレに妙に感心していたが

キルバーンの罠が発動すると悲鳴を上げた

 

「わかっていても 忌々しいものだな」

 

    ミシ

 

ジゼルを引きはがす手に余計な力が入る

魔界の炎に包まれ ポップの機転で直撃こそしのいだが

映像のオレがダイとポップと共に囚われ グランドクルスですら通じない罠を前に

ジゼルもヒュンケル達のような絶望的な表情となっていく

 

[あ・・・あ・・・]

 

そのまま映像が終わった ジゼルが呆然としている

当のオレがこうしてここにいるのだがな

 

[あー!!?次回予告でハドラー様がポップを抱っこしてる!!

一体何が!?]

 

炎の中でオレが力尽きたポップをかばっていた時か

 

『ジゼルにとってはそっちも一大事でしたか

しかし この状態で1週間もお預けとは・・・

こちらの世界の人間たちもひどいことしますね』

 

「やかましいぞジゼル

お前には今作った服を1週間慣熟しなければならん

これの完成のためにな」

 

[・・・いってきます ハドラー様!!]

 

ジゼルを引きはがし命令すると

気持ちを切り替えたのか やけ気味なのか

すぐにとびだしていった

 

「面倒をかける 1週間後 同じ頃合にまた来る」

 

〔はい お待ちしておりますハドラーさん〕

 

レスラー達に告げ 東女を去った

 

 

   ―1週間後―

 

[あれ!?歌が前のに戻ってる!?]

 

〔ホントだ!どうしたんだろ?

節目になるから特殊オープニングかな?〕

 

[まあこれはこれで・・・ えー!!??]

 

『おや これは ダイとバランの親子ゲンカですね』

 

「先週見た映像よりも少し前の出来事だな

オレがまだ魔族の肉体だった頃か」

 

[どういうこと!?あの炎に包まれたハドラー様はどうなったの?!]

 

「ここにいるぞ」

 

〔ちょっとまってジゼル 調べてみるから!〕

 

オレの膝の上で慌てるジゼルを抑えたメアリだったが

 

〔・・・不正アクセス事件のせいで放送スケジュール変更だって

次の放送がいつになるかはまだわかんないみたい〕

 

[?]

 

言葉の意味はよくわからんが どうやらオレが最後を迎える映像はお預けのようだ

 

「ダイとバランの最初で最後の全力対決か

これはこれで見ごたえがあるが」

 

『・・・すごく、胸が痛いです

竜の騎士に戦いの宿命を与えているのは私でもあるのですが・・・

このようなことを想定していたわけでは・・・』

 

竜の騎士の生と死を司る神の使いが何を今更

 

[ハドラーさま・・・]

 

ジゼルが泣きそうな顔でオレを見てくるが

 

「ちょうどいいのではないか

今日作る服の追加部は竜を 聖母竜を元にしたものだ

縁の深いこの二人の戦いが何か参考になるかもしれぬぞ」

 

今日持ってきた布をジゼルに当ててみせると急に上機嫌になった

 

「現金なものだ」

 

〔ジゼルにとってハドラーさんといっしょのこの時間が何よりの楽しみでしたから

いつまでも不機嫌でいるわけないじゃないですか

ね ジゼル〕

 

[♡~]

 

ダイとバランの親子ゲンカの映像が終わった後は

以前作ったジゼルの服の上に 右半身に被さるように布を巻く

 

[これがお母様をイメージした・・・]

 

「竜と言えど戦闘で役に立つことはまったくないがな」

 

『それはしょうがないですね』

 

〔そもそも武器になったりしたら反則ですから・・・〕

 

「どうせ聖母竜は戦いでは役立たずだ」

 

『・・・それもしょうがないですね』

 

  ギュ スパ チクチクチクチク

 

布を巻き 結び 切り 縫うを繰り返し・・・

聖母竜が被さるような形ができあがっていく

 

〔たしかに シルエットが竜っぽいかな?〕

 

「・・・今日のところは これまでだ

1週間後に向けて慣熟しておけ」

 

〔そうだハドラーさん 会社から

リンコスが完成したら 大興行でお披露目を兼ねてジゼルに

新コス着てリングで戦ってほしいそうなんだけど・・・〕

 

「好きにすればよかろう」

 

〔ありがとうございます

そのときはハドラーさんも がんばるジゼルを見に来てくださいね!〕

 

『行きましょう!』

 

ジゼルが戦う姿を見て胸は痛まないのか?

 

『・・・たとえどれだけ痛くても

がんばるジゼルは何があっても見なければなりません』

 

実際痛い目にあうのはジゼルだが

 

 

    ―さらに1週間後―

 

今日の映像はデルムリン島でのアバン・ダイとの戦いか

ダイもポップもまだヒヨコの時だ

 

[・・・はじめてハドラー様の紙芝居で見た時と

前にテレビで見た時 そして今、

内容は同じはずなのに見え方 感じ方がかなり違いますね]

 

「ほう?」

 

『これもジゼルの成長でしょうか』

 

オレの膝の上で小さな体で映像に食い入るこいつが成長、

喜ばしいことであるが とてもそうは見えんな

 

[ああ!?ハドラー様がアバンと目で会話してる!

あれいいな!

ハドラー様に背中向けてアバンのしるしを渡してるし!]

 

「やはり成長しておらんのではないか・・・

そもそもあのときアバンはオレが勧誘のときに口にした

情けという言葉を持ち出してオレと交渉し

許可を出したオレに直接礼も言ったはずだが?」

 

〔そのやりとりは旧アニメでありましたね

新アニメはこういう改変結構ありますよ〕

 

映像では戦いの中 剣を手放したアバンを

拳で追いつめたオレがさらに踏み込む

 

「このような拓けた場所で攻め込むとは

やはりかつてのオレとは戦い方が違うな

オレなら無刀陣や受け流しを封じるために関節技で足を潰し

体力を削りながら洞窟の壁際へ追いつめたからな」

 

[ああっ!?ハドラー様が!?]

 

映像のオレのこめかみにアバンの指が食い込みアバンの自己犠牲呪文(メガンテ)が炸裂した

 

「あれは正直 死ぬかと思ったがな」

 

〔あの爆発でよく生きてますよね・・・〕

 

互いにな・・・

膝の上で震えているジゼルのこめかみを軽く指で押して震えを止める

 

[ハドラー様のぐりぐり気持ちいい~♡

あ あっちのハドラー様復活した

血が出た!!]

 

ジゼルがオレの頭を抑えようとするが

無論今のオレの頭から血がでているわけではない

 

「しかし なぜ今更これほど動揺する?

この映像は既に見ているのではないのか?

紙芝居でも何度か見せたこともあるはずだが・・・」

 

[ハドラー様の紙芝居では魔王様がハドラー様だったことを知らなかったですし

この映像は前に見たときは途中からよくおぼえてないような・・・]

 

〔そういえばあのときのジゼル ハドラーさんがメガンテを受けたときに白目むいてたね

起きたと思ったらアバンストラッシュで両腕を斬られたのを見て気絶して大変だった〕

 

「・・・オレが不甲斐ないばかりに面倒をかけたようだな」

 

そうこう言っている間に映像のオレもダイのアバンストラッシュを受け撤退していた

 

『ダイのアバンストラッシュと名前が胸に刻まれたあのときから

あなたとダイの因縁が生まれたのですね』

 

直接的には、そうだ

 

   スッ

 

自分の胸に手を当てようとして 今はジゼルがそこにいたことに気づく

 

   グ

 

ジゼルの頭を掴み目の前に立たせる

 

「今日の映像は終わったようだな」

 

オレは黒い布を取り出しジゼルの腰に巻く

 

「このまま縫いあげる 動くな」

 

[はい! ハドラー様♡]

 

ジゼルの下半身に合わせ布を切り 縫いつける

ジゼルはとびひざげりやまわしげりなど足技を頼りにするクセがある

足回りには特に注意が必要だ

 

「足の動きを見る 動かしてみろ」

 

[はい!この黒いズボン かっこいいです!]

 

縫い終わりベルトを着けて とりあえず形になった

 

[ハドラー様 このズボンは今の映像のハドラー様が着ていたもの!?

ベルトの形がちょっと違う ひょっとしてこれはハドラー様のお顔!?]

 

「そうだ お前が大魔王を模した飾りをつける必要はない

そしてこれはオレにとって馴染みのある戦闘服だ

これも修行中は使い続けろ

1週間後 様子を見る」

 

ちょうど映像で見た後のせいか やたらはしゃぎ回るジゼルを捨て置き東女を後にする

 

『あんなにかわいいジゼルを捨て置くなんてとんでもない!』

 

知らん 1週間後を楽しみにしろ

 

 

   ―またも1週間後―

 

「・・・これはオレが超魔生物になったばかりの頃か

たしか以前にフロシャイムで見たな」

 

[楽しかったですねハドラー様♡]

 

ダイもポップも既に消耗していたとはいえオレが終始ダイを圧倒したからな

オレとしてもようやく面目躍如したと言える

 

〔ハドラーさん ひとつ聞いてもいいですか?

ハドラーさんの超魔生物への改造ですが元々魔王として地上最強の肉体だったのに

他のモンスターの体のツギハギでそんなにパワーアップするんですか?

それとも覇者の剣の力もあるんですか?〕

 

「あの剣は魔炎気の扱いに慣れるのにちょうどよかったが

肉体改造は単純に力や素早さ 体力の向上だ」

 

・・・後は アバン達の強さを認め オレ自身の糧にできたことか

 

『それは口に出さないのですか』

 

あの映像のオレが言っているではないか

この戦いはオレが優勢なせいかジゼルがはしゃぎすぎる

オレとしては悪い気分ではないが邪魔だ

ジゼルの上半身に布を巻き付け動きを封じる

 

「動くな」

 

目をつぶっても縫えるつもりでいたがちょうどいい機会だ

目の前の映像を参考にするとしよう

 

〔竜 魔族ときてもしかして次は・・・〕

 

「そう これだ」

 

用意していた肩当をつけ形になった

 

[これは・・・!あのハドラー様の・・・]

 

ちょうどポップのトベルーラを追いかけるために展開し

同じ形になった超魔生物時に追加された肩部を縫いつけた

 

〔うわ そっくり!

でもこの首周りや背中のトゲトゲは危ないんじゃないですか?〕

 

「さわってみればよかろう」

 

〔じゃ 失礼して・・・

あ ぷよぷよでやわらかい 何でできてるのこれ?〕

 

「スライムより柔らかく薄い素材だ

格闘の邪魔にならんが守備力も攻撃力もない

肩当を外すときはこの首の部分がのびて広がる」

 

〔フリーザ軍のバトルスーツみたい

この素材ボクもほしいな〕

 

「この世界の素材に手を加えただけだ

自分で探せ もう映像は終わったか」

 

オレの超魔爆炎覇とダイのギガブレイクの激突で

この対決は相打ちとなり互いに落下したところで終わった

 

「今回の追加部は今までよりも大きい

動きを阻害するか様子を見て調整する必要がある

破損は気にせず いや使いつぶすつもりで動け」

 

[はい ハドラー様!]

 

「この武闘着についてはここまでだ

後は調整と修復を繰り返し完成させる」

 

〔ハドラーさん ジゼルの頭や顔は何もしないんですか?

このデザイン画にはドラゴンヘルムみたいなのがありますけど〕

 

「ああ この武闘着はジゼルを形作った生母竜・魔族・超魔生物

そしてその上に竜であるジゼルという意匠だ

あえてドラゴンヘルムをのせずとも 竜そのものであるジゼルの顔が見える形にした」

 

[なるほど わかりましたハドラー様

来週までにこの新しい服で練習を積み 完成に近づけていきます!]

 

「励むがいい」

 

『たしかにこの顔を兜や帽子で隠してしまってはもったいないですね

・・・次に会うのがまた楽しみです』

 

 

 

   ―またまた1週間後―

 

「ほう なかなかのくたびれ具合だ

お前の成長が見て取れる」

 

ジゼルをひっくり返しながら武闘着の様子を見ると

ところどころ破損がある

やはり実際使ってみると問題点がわかる 調整が必要だ

 

『映像がはじまりましたね』

 

「勇者ダイ達一行と大魔王バーンの初戦闘か」

 

[このときハドラー様はどうしていたのですか?]

 

「黒のコアの近距離での爆発のダメージでしばらく動けなかったな・・・

ほう アバンストラッシュの直撃でダイを脅威に感じて

バーンが光魔の杖を持ち出したのか」

 

『ああ!?ダイの剣が折られた!?

真魔剛竜剣に並ぶはずのあの剣が!?』

 

「同時にダイの心も折れたか

バランの死の動揺から立ち直る前にこの衝撃では無理もないが」

 

『あのままではダイが!?』

 

[ハドラー様きたーーーーーー!!!!]

 

「騒ぎ過ぎだジゼル」

 

オレがダイに迫るバーンのカラミティウォールを足場ごと破壊して窮地を救い

バーンと対峙し 反旗を翻す形になるとジゼルの興奮がさらに増した

 

「・・・映像に感情移入しすぎではないか?」

 

〔ハドラーさんの黒のコアの話のときは ジゼルが取り乱して大変でしたよ

ハドラーさんが一方的に裏切られて捨て駒にされたんですから無理ないですけど〕

 

オレは大魔王に対しても昔から野心はあったが

・・・あのとき心底悔しい気持ちはあった

 

『・・・たしかに あ!?人化術が解けかけていますよ!?

竜人の姿に!』

 

人間の小娘の姿から少年竜の姿になった

体も やや大きくなったが服は体に問題なく適応している

本人は体の変化に気づいていないようだが いまのところ大した問題ではなかったが

 

パワーの激突でバーンを押し カイザーフェニックスを握り潰し

一時優勢だった映像のオレがザボエラの術で動きを封じられ一転危機に陥っていた

 

[あの くそジジイ!!!!]

 

激昂したジゼルの人化術が完全に解け 元竜にもどりかけた

流石に人間の建物の中で元竜の大きさはまずい

 

「ジゼル!!」

 

名前を呼ぶ声に魔力を込めて強制的に人化術をかけ

ジゼルを人間の姿に戻した時には

ブロックのキャスリングにより映像のオレ達は救われブロックは死んだ

ブロックもあのときオレの命令を超え 自らの魂に従った

最初で最後の言葉と共にな

呆然と涙を流すジゼルが映像の中で聖母竜の姿に気づく

 

[お母様・・・]

 

「おまえいたのか」

 

『いましたよ 竜の騎士を死を感じて迎えにいきました

あのときダイを拾い上げることができたのはあなたのおかげだったのですね

しかも大魔王バーンに見られていたとは

もしあなたとの戦闘で消耗していなかったら魔法でおとされていたかもしれません』

 

大魔王バーンが飛び去った聖母竜を見送り勝利を宣言したところで映像は終わった

 

[・・・ ・・・ ・・・

ハドラー様、ひとつだけお願いがあります]

 

「ほう 言うがよい」

 

オレにもひとつ考えがある

 

[この新しい衣装に チェスの要素を加えていただきたいのです]

 

「よかろう 1週間後 用意してやろう」

 

 

 

    ―1週間後―

 

「これが おまえのチェスピース 女戦士(アマゾン)の冠だ」

 

サンシャインのかつての愛弟子チェスの化身超人のファンサービス用の玩具だったものだ

サンシャインがどうしても手放せずに持っていたらしいが

ジゼルの服について話したときにいい機会だから使ってくれて託されたものを改造した

 

〔アマゾンって チェスの駒にないよね?

ライダー?〕

 

〔うっきゅきゅ フェアリーチェスの駒だね

たしかクィーンとナイトの動きができる駒だったかな?

でもドラゴンの駒もあるのにアマゾンとは意外なのー〕

 

「そうだ これでその服は完成だ」

 

ジゼルにアマゾンの冠を被せじっくり眺める

最初のデザイン画とは多少異なるが悪くない出来といえる

 

『いいですね!私とあなた そしてあなたの子供達

それぞれが組み合わさり ジゼルが纏う

ジゼルのお祝いの1着目として とてもよい出来かと』

 

ジゼルは全身鏡の前で跳ね回り

様々な角度から確認している

・・・・・・やはり肩当の損傷が目立つ

体のひねりでできる皺は小さいが体の動きに合わせるなら・・・

 

・・・・・・・

服の修復と調整が一区切りつくと ちょうどあの映像がはじまる

 

「またあの映像か オレとダイとの最後の一太刀

・・・思えばダイも随分と逞しくなったものだ

あれほどの大技の激突 オレは超魔生物と化すことで可能となったが

ダイは竜魔人となったわけではない」

 

『そういえばそうですね

あの服やダイの剣だけでなくダイ自身の成長と

ダイの中で生きているバランやあのときの私の影響もあるでしょうね』

 

ダイの中におまえもいたのか まったく気配を感じなかったが・・・

 

[ハドラー様・・・・・・]

 

再びオレとダイ そしてポップが死神の罠により炎に包まれる

 

「・・・・・・やはり許せんな

オレ達の真剣勝負の直後に仕掛けた挙句、

高みの見物で酒を片手に楽しむ死神たちはもとより

この事態を招いたとも言える オレ自身にな・・・」

 

映像が終わり 東女から次回の放映日 1週間後の夜に

ジゼルの新武闘着を披露する試合を組むことが決まったと伝えられた

 

『楽しみですねジゼル』

 

[ハドラー様はどうなってしまうんですか!?]

 

「・・・ここにいるぞ」

 

〔ハドラーさん試合のチケット 他に渡したい人いますか?

第0試合(ダークマッチ)はテレビ放送しないので直接興行を見にこないと

何枚かは会社で用意できますけど〕

 

「何人かこの服を作るために世話になった者たちと

・・・あやつらの分を都合しておくか」

 

〔あやつら?〕

 

『・・・それはとてもよい考えですね』

 




今回は非常に難しかったウジョーです

しかも次回はハドラー様のクライマックス回
拙作のはじまるきっかけにもなった話なだけに逆に書くの難しすぎて・・・
導入部の今回が予想以上に非常に長くなってしまいました

ダイの大冒険 アニメ本編はついに終盤
ハドラー様は亡くなってしまいましたが アニメを楽しみながら続きを書いていきます

すっかり暖かくなってまいりました
心安らかに過ごされますように

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