ハドラー子育て日記 異世界家族旅行編   作:ウジョー

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居酒屋ハシゴの旅 THE大虎 2

    居酒屋 大虎

 

   ガラ

 

〔らっしゃい〕

 

年季の入ったドアを開け店に入ると店主が煮込みを作っていた

 

〔お 久しぶりやな お客はん〕

 

「ああ 今やってるか?」

 

〔やっとるで

このご時世 夜は遅うまで開けられんから

昼間っからやらんと儲からんのや〕

 

「では煮込みをひとつ

あれはうまかった」

 

〔そういうてくれるお客はんが わては

一番うれしおますで 塩辛もどうだす〕

 

「もらおう」

 

〔おおきに おおきに〕

 

   ガラ

 

〔おっちゃん ビール持ってきたで

お ハドラーさん おいでやっしゃ!!〕

 

〔ボン!もう座って飲む体勢やないか!

まだ昼やぞ 配達はいいんか〕

 

〔昼の野球ニュースを見てくだけやないか

キャンプの映像見れりゃいいんや

おでんひとつ〕

 

〔まったく気楽なもんやな〕

 

「キャンプ?」

 

〔プロ野球はシーズン前にチームで遠征して練習するもんなんや

ここのあぶやトラも今行っとるで〕

 

〔去年の日本一とったんやさかいドルフィンズの扱いが長いとええんやがな〕

 

「ほう 人間たちの間で伝染病が流行っていると聞いていたが」

 

〔そうやな そのせいでキャンプもファンが見に行けん静かなもんや〕

 

〔おっちゃんの店かてこんなぴらぴらぶら下げて仕切りこさえて感染対策してるんやで

プロ野球はもっと大変や

超人レスリングの興行も最近やってへんやろ〕

 

「サンシャイン達はまだ予定がたてられんとは聞いているが」

 

    \\にょほほほほ//

 

  \\グワラグワキーーン!!      バン!!//

 

   \\ばかたれ~!

こんなおいぼれのタマ~ スタンドへほうりこめんでどうする!

おまえのプレイボールホームランをファンに見せたらんかい//

 

\\そうじゃ!鉄っつあんにサービスしとる場合じゃないで

フェンス直撃程度じゃ打ったうちに入るかい!//

 

   \\ほな場外のファンまで届かせてやろうやないか!!//

 

〔・・・岩田監督も五利コーチも元気すぎるで

ありゃ本当に100歳過ぎてもあの調子やな〕

 

〔あの二人から見りゃ あぶも岩鬼もまだまだ小僧や〕

 

「どこの世界も イキのいい老いぼれがいるものだ」

 

『人間の心の強さのあらわれでしょうか』

 

〔そういえばハドラーさん 朝のテレビで見たんやけど

あの空飛ぶ大魔王の城で最後の挑戦とかやってたで〕

 

「ああ あれか・・・ おまえ達もあれを見てるのか」

 

バーンパレスでダイに最後の戦いを挑んだときのことかだろう

もうそこまで話が進んでいるのか

 

『私がダイを通して あなたをはじめて見たのはその時ですね』

 

「・・・そうだったのか」

 

〔ハドラーさんはこんなとこにいていいんでっか?〕

 

「あれは過去の記録を再現したものだ

オレは直接関わっていない」

 

〔へー そうなんやな 今度ここで見ていかんか?〕

 

「まあ 考えておこう

それよりも知恵を借りたい」

 

〔なんやなんや?〕

 

「伝染病の再拡大により東女に預けてある娘のジゼルと

会えなくなったことで母親がうるさくてな・・・」

 

『ジゼルに会えないんですよ!

こちらに何の落ち度もないのに理不尽な!』

 

やかましい

 

「先月 正月休みとやらで会ったばかりなのだが

オレとしては預けたまま数年は放っておくつもりだった」

 

〔わかる!わかるで!

可愛い娘と会いたいのに会えんちゅうのがどれだけ辛いか〕

 

〔おっちゃんはひとり娘と孫を溺愛しちょるさかいな

まあここ一ヶ月でまた爆発的に広がってるから

たとえ親子でも中々会えんちゅうのはこのご時世よく聞く話や〕

 

「オレもジゼルも人間ではないから病気がうつることもないのだが」

 

〔それやったら 理由さえあればなんとかなそうやな〕

 

〔・・・お嬢ちゃんは今 いくつぐらいやねん?〕

 

「たしか生まれてから6、7年ほどだな」

 

『そうですね 竜には誕生日を祝う習慣がないですし

この世界とは暦も違うので人間で言う年齢とは多少違うでしょうが

もうそれほど経ちましたか・・・』

 

〔せやったら 七五三はどうや?

東女はレスラーに伝統行事のイベントレスラーとか積極的にやるんや

ジゼルをそれに推薦してその打ち合わせとかなんやかんや理由を作って

会えるようにするんやないか〕

 

『なるほど』

 

「七五三とはなんだ?」

 

〔子供の成長を祝う伝統行事や

大阪でも東京でもやっとるはずや〕

 

〔ボン 七五三は11月 ずっと先やないか〕

 

〔ようおぼえとるなおっちゃん けどそれは問題ないねん

実際やるとなったら準備は何か月も前からやるもんや

リングコスチュームの用意やらもあるんやで〕

 

〔ぎえええー  ボン それや ナイスアイデアや〕

 

〔そうやろ 

動くなら早い方がええ 企画持ち込んだりするコネは・・・〕

 

「ああ それはオレがどうにかする

ジゼルの装備衣装も竜族用の特殊な仕様で全てオレが作る

今よりもジゼル会うことになるだろう」

 

〔あんた服も作れるんか?

見かけによらんと多才やな〕

 

「だが七五三とやらがよくわからん

装備を作るにしても想像もつかんのだが」

 

   ガラ

 

〔ごめんください〕

 

〔らっしゃい 中島先生ええところに

日本一の画家先生ならジゼルちゃんの着物の絵がかけるやないか〕

 

「ほう」

 

〔おや これはハドラーさんがいらっしゃるとは

どうやら面白そうなお話をしているようですね〕

 

〔せやせやちょっと聞いていきいや〕

 

これまでの話を説明していくと

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

 

〔なるほど・・・一般的な七五三のお着物だと こう〕

 

   サラサラ

 

ジゼルが華やかな服を着た絵がみるみる描きあがっていく

 

『ジゼルかわいい!』

 

なるほど大した腕前だ

 

〔この居酒屋大虎と寅年であることも踏まえまして

トラにちなんだ色合いや意匠を合わせて・・・〕

 

   カリカリカリ

 

新たな紙に新たな絵を描き上げる

黄色と黒を基調としより動きやすく攻撃的な服といえる

 

〔ええな トラの縦縞 決まりやで〕

 

『この服を着たジゼルを直接見たいですね』

 

〔7歳ですと女の子が初めて帯を結ぶ儀式ですから

帯を特徴的に見せていくようにこういった・・・〕

 

〔お~ こらまた合うな~〕

 

  カリカリ

 

〔ハドラーさんと聖母竜さんのカラーを盛り込んで

色合いをこのように袖と帯に・・・〕

 

『あら嬉しい』

 

聖母竜の姿までこの世界にさらされたのか

元の世界よりもその存在が知られているようだな

 

  ぬりぬり

 

次々と描きあがっていく様々な服を着たジゼルの絵

 

『実際作るのはあなたですが

ジゼルに選んでもらいましょうか』

 

妙な話になってきたがこれも一興か




ダイの大冒険アニメ本編が熱すぎて毎週楽しみなウジョーです

ついにハドラー親衛騎団最後の戦い 鑑賞編も本腰入れ、ようかと思ったはずなんですが
つい あぶさんやドカベン読みふけったせいで居酒屋ハシゴの旅になってしまいました
がんばれがんばれドカベンと頑張り続けてくれたおかげでドカベンだけで単行本本数が…

コロナ拡大のニュースに戦々恐々の日々ですが 昭和平成をたくましく生きた
タフガイ揃いの水島新司先生の名作が今こそ必要だと感じます

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