ハドラー子育て日記 異世界家族旅行編   作:ウジョー

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アニメ鑑賞編 ザボエラの奇策

「ついにこの日が来たか・・・」

 

ジゼル達と見る かつての戦いの映像

多少の改変はあったが基本的な流れはオレの知る通りだった

つまり・・・

 

「またオレが死ぬわけだ」

 

[!?]

 

オレの膝の上で映像がはじまるのを楽しみにしていたジゼルが動揺し震えた

 

〔そうでしたっけ?〕

 

〔まあ 結局ハドラーさんはここにいるんですが〕

 

〔ハドラーさん 始まる前からネタバレはちょっと・・・〕

 

『ジゼルに見せてよろしいのですか?』

 

「これまでの死とは性質が異なるものだが・・・

ジゼル たとえ何があろうとあのオレから目を離すなよ」

 

[はい ハドラー様・・・]

 

映像がはじまった

オレが動かせる全戦力を自ら率いて バラン戦を終えたばかりのダイ達に

夜襲を仕掛けようとしたが ザボエラに止められた所だ

 

〔なぜザボエラは総攻撃ではなく暗殺を提案したんですか?

総攻撃の方が確実そうですけど〕

 

〔そもそも ザボエラは危険なことは他にやらせて

自分の手は汚さないタイプじゃないの?〕

 

「オレが暗殺案を採用したのはこのときザボエラが言ったように

総攻撃がすでにバルジ島で失敗したからだが

ザボエラが暗殺を提案したのはその方が自分の手柄が大きいからだ」

 

〔なるほど

総攻撃で勝っても手柄はほとんど司令官のハドラーさんのものだけど

暗殺なら実行したザボエラのものになるのか〕

 

〔それに総攻撃は夜襲に気づかれて瞬間移動呪文(ルーラ)

パプニカやロモスに逃げ込まれたらそれだけで失敗確定だもんね〕

 

映像はダイ達の視点に変わっていた

バラン戦の傷の手当を終えたところのようだ

 

〔まだテランにいたんですね

早くルーラでパプニカに帰ればいいのに〕

 

「魔法力は一般的に寝ないと回復しない

ダイとポップが回復するまで身動きはとれんはずだ」

 

〔ハドラーさんみたいにキメラの翼を持ち歩いてないの?〕

 

〔勇者一行はそのあたり抜けてますね〕

 

〔気球に乗って帰ればいいのでは?〕

 

「プカプカ無防備に飛んでいたらオレが叩き落としていたはずだ」

 

〔それもそうか あ ポップが意外と元気だ〕

 

ポップがギラで花びらに穴を空けた

 

「流石ポップだ 制御が難しい閃熱系呪文でこの芸当ができるとは」

 

〔ハドラーさんやジゼルもできるんですか?〕

 

「当然だ」

 

[両手 両足の指でもできるよ 火竜の嗜みだね]

 

〔ヒュンケルが伝説の竜の血を飲むと強くなるって言ってるけど

ダイの無邪気な発言でクロコダイン達が凍り付いた顔してますね〕

 

「ポップの死を間近で見たばかりだ

思うところもあろう」

 

伝説の竜の血か・・・ 

聖母竜は伝説の竜ではあるが所詮聖母竜(おまえ)程度では効果はあるまい

 

『そうでしょうけど 人間が竜の血に興味を持たなければよいのですが』

 

[ハドラー様 私の血を飲んでみます?]

 

「いらん 半分はオレで半分は聖母竜のものだ

どう考えても毒にしかならんし役に立たんぞ」

 

〔魔王の血 いかにも危険な感じですね〕

 

〔ゲームだと強力な呪いのアイテムとか作れそうなやばいやつだね〕

 

〔下手に下水とかに流したら危ないんじゃ・・・

川が猛毒化したり トカゲが巨大化したりとか?〕

 

逆に危険視されすぎたか?

 

『狙われるよりは まだいいでしょう』

 

ポップが外の見はりに外へ出てきたところへ

変身呪文(モシャス)でマァムの姿をしたザボエラがあらわれた

 

〔うわあ えげつない!〕

 

〔妖怪ジジイが好きな人に化けて色仕掛けとか〕

 

〔トラウマものだよね〕

 

『たしかに客観的に見てこれはひどいですね』

 

〔うわ!

ハドラーさんが毒で倒れたポップのトドメにヘルズクローをだした!

アバン先生相手にも使ったことなかったのに〕

 

「・・・このときのオレは戦う前から負けていた

宿敵の弟子や元部下を相手に力押しで戦うことを諦め

ザボエラの策謀に乗った」

 

【男の戦いには・・・

勝ち負けより大事なものがあるんだってことをな・・・!!」

 

「【・・・・・・うぐっ・・・!!!】

ポップのこの言葉は本当に効いた

オレに そしてザボエラにもな」

 

〔うわ ポップ君 ザボエラに怒られながらめっちゃ蹴られてる

ザボエラはこういうとき嘲笑いながら踏みにじりそうなタイプだと思ってた〕

 

『私もそう思ってました』

 

「・・・ザボエラはポップが自分と同類だと思っていたのだろう」

 

〔同類?! 全然似てないよ!?〕

 

「オレやクロコダイン、アバンのような強者に憧れ、求める、弱者(じぶん)

その求める形は違うがな・・・

そんなポップが絶体絶命の中で強者(オレ)に意地を見せた

それが ザボエラのもっとも弱く繊細な所に触れたのだ」

 

ザボエラが感情のまま自分の手でポップにトドメを刺そうとした所で

ポップのもう一人の師 オレの宿敵の仲間

大魔道士マトリフがザボエラの腕を燃やした

・・・あのときは切りとばしたはずだったが

こいつと話していると魔王だった頃をどうしても思い出す

 

【ロカ・・・アバン・・・いいやつはみんな死んで

オレやおめえみたいな悪党だけが生き残っちまった

・・・いやな世の中だよなぁ・・・】

 

「オレも魔王時代の側近バルトス キギロ ガンガディア ブラスを失い

このときのオレの近くにいたのはかつてのオレを知っているザボエラだけ

これが当時のオレの現実だ」

 

〔ザボエラはそんな前から部下だったんですか?〕

 

「オレが魔王時代のあいつは 少々立場が異なる

あやつもあの時よりレベルアップしているが・・・

それまでに捨てたものをポップに見たのかもしれんな」

 

[捨てたもの・・・ですか?]

 

〔あ マトリフの呪文二刀流だ〕

 

〔ゲームでもボスがやるような芸当だね

ハドラーさん驚いてるけどできるの?〕

 

「容易い」

 

   ボッ!        ポン!

   パク!

 

右人差し指にメラ 左人差し指にイオを最小限で発動したが

ジゼルがメラごと右人差し指に食いついてきた

 

「くうな」

 

[あむあむ・・・ つい]

 

〔ベギラゴンの撃ち合い!

このアニメだと意外と少ない魔法のぶつけ合い!〕

 

〔ハドラーさんとポップ君のベギラマの撃ち合い以来かな?〕

 

[ハドラー様が押されてる!!??]

 

『そんなに強いのですか?相手は人間ですよね?』

 

「確かにオレが戦った人間の中で随一の魔法力だったが・・・

ポップのときもそうだったが よく聞けジゼル

魔法において重要なのは魔法力だけではない 集中力だ

動揺がそのまま出る その挙句がこの有様だ ・・・勝てぬわけだ」

 

その後 ザボエラの加勢で一度は押し返したが

駆けつけたダイによりまとめてはねかえされ

 

〔4人分の閃熱エネルギーがハドラーさんに直撃

これって相当危なかったですよね・・・〕

 

「オレの下半身が消し飛んだからな

オレが閃熱呪文を得意とし 耐熱能力が高いからこそ上半身が残ったが・・・」

 

体内の黒のコアが爆発しても不思議ではなかったぞ

 

『あなたのしぶとさのおかげで紙一重でダイ達も助かりましたね』

 

そういうことだ

 

[テレビのハドラー様がおっしゃている

【一蓮托生】とはなんですか?]

 

「結果がどうなろうと死ぬまで付き合え

と 言ったつもりだ」

 

[ハイ!ハドラー様!それ!私も!!]

 

ジゼルが手を上げてくるが お前はなあ・・・ 

 

『どちらかというとそれは私ですよね』

 

結局 この先 オレからザボエラを裏切る形になったが

 

【もっと強い力が必要なのだ!!

・・・そう あの竜魔人バランのような・・・

誰にも負けぬ・・・ 地上最強の力が・・・!!!!】

 

〔ハドラーさんが フレイザードみたいなこと言ってますね〕

 

「たとえミストバーンに頭が上がらなくなっても

デッド・アーマーとの合体を選んだときの気持ちがよくわかる」

 

〔ハドラーさんはザボエラの怪しい研究に自分の体を任せてもいいの?〕

 

「ザボエラ親子の研究は長い時間をかけたものだ

その詳細はともかく 成果物の一部は直接運用したことがある

それに純粋に力を得ようとするあの親子の執念、賭ける価値はあった」

 

〔藁にも縋ったわけではなかったんですね〕

 

ついでに黒のコアを取り除いてくれれば文句なかったがな

 

それはさておきマトリフの手によりアバンの手書きの書

【アバンの書】がダイに渡される

 

〔ダイ君 字読めないの!?〕

 

〔勇者の意外な弱点・・・〕

 

〔懐かしいな ボクもカナダにいたとき日本のマンガ読むの苦労したよ〕

 

〔そもそもあの世界どんな言語なんだ?〕

 

「この世界の人間語とほぼ同じだ

だからお前たちとの会話に不自由がない」

 

〔え?日本語ってこと!?〕

 

「オレは人間語に魔族言語 竜言語も使える

たとえどんな異世界でも会話や文字で不自由したことはない」

 

[私もないかな ハドラー様から教わりましたから]

 

『大抵どこの世界でもどこか共通の法則がありますからね』

 

〔肉体改造よりアバンの書を読んだ方が強くなれたのでは?〕

 

「本を読んだだけで強くなれれば苦労はない」

 

アバンの書を読み上げたレオナ姫がその言葉に何かを決意し

テラン王国を離れるときにダイがバランの面影を思い出したところで

今日の映像は終わった

今回の戦いはオレにとって大きな転機となるものだった

オレの生き方を変えるほどのな・・・

 

『ジゼルがこれを見た意味・・・

いつかその答えを見ることができるのでしょうか?』

 

膝の上に乗っているジゼルをふと見る

 

[? ♡!]

 

目が合うと笑ったジゼル とりあえずリングで叩きのめすとするか

 

『なぜ!?』

 

 

・・・

・・・・・・・

・・・・・・・・・・

 

「ハア・・・ ハア・・・」

 

リングの内外ではオレ以外の全員が倒れている

死屍累々のような光景だがもちろんだれも死んではいない

人化術で人間に近い体となっての戦いの勘をつかんできたが

ジゼル一人にならともかく道場にいた全員の相手は流石に息が切れた

 

[・・・・・・・・・・]

 

オレの目の前で動けなくなったジゼルを見てふと思い出した

 

「ザボエラの毒に倒れ 助けを呼ぶ声すら出せなかったポップが

なぜオレに対しあんなことが言えたと思う?」

 

[・・・?・・・・・・]

 

「後で本人に聞いたことだが・・・悔しかったそうだ」

 

「罠に嵌められ仲間を危険に晒した自分にもだが

自分が憧れた師アバンの仇であるこのオレが落ちるとこまで落ちたことが

師まで貶められたようで悔しくてたまらなかったそうだ」

 

[・・・・・・]

 

「オレの長い戦いの歴史 その中で戦ってきた多くの敵、部下・・・

オレが戦士としての誇りを失い 落ちれば その者たちまで落ちるのだ」

 

   ググ・・・

 

〔そんな話を聞いてしまえば セッシャもこのまま寝ていられないでゴワスな・・・!〕

 

「ほう ミス十両が立ったか」

 

〔私もこのまま倒れていては・・・

送り出してくれた組長の顔に泥を塗ってしまう!〕

 

〔ボクも このまま終わったんじゃ

ボクのライバル達に顔向けできないよ!〕

 

リングの内外で倒れていたジゼル以外のレスラー達が次々と立ち上がってきた

やはりここは よき師よい戦に恵まれているようだ

 

[・・・う・・・]

 

ジゼルも場の熱気に当てられたのか立ち上がろうとしている

そうだ強くなれジゼル

オレよりもアバンの使徒たちよりも

そうすれば・・・

 

[今 ハドラー様よりも強くなったら結婚してくれるって思いました!!]

 

       ガバッ!!

 

「思っとらん」

 

       ベシッ

 

『うわ ひどい』

 

起き上がったジゼルを踏みつぶし・・・

リングを見渡すと レスラーは全員立ち上がっていた

面白い ジゼルが選んだこの修行の場 オレも楽しんでみるか

くくくくくっ!

バルトス、ブラス、キギロ、ガンガディアよ・・・

何故か今日はかつてのようにお前たちを近くに感じる

この環境でジゼルがどう成長するか共に楽しもうではないか

 




暑さでバテ気味のウジョーです
そこにコロナワクチンの副反応の高熱ですっかりダウン・・・
仕事辞めたばかりでよかったとはいえこの夏はかつてない厳しいものに

なかなか治らないと思ったらコロナに感染していてことが判明し入院しました
とてもキツイです 予防策は万全に ワクチン接種済みの両親、祖母は無事ですが
未接種の妹には感染しました ワクチン有効です

感染が広がるコロナ禍に台風と厳しい状況が続きますがおつかれのでませんように

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